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元の世界では、どこにでもいる平々凡々な男子大学生だった。
まぁ、仲の良い友人もいなければ、恋人なんてもっての外。
BLゲームと漫画と同人誌をこよなく愛するただのオタクだった僕。
そんな僕がこの世界に転生したのは、とある事故にあったのが原因だ。
それは転生しても忘れることも出来ない、悲しい事故だった。
僕の人生で最もハマったゲームであり、腐男子になったきっかけのゲーム『星降る夜の誓い』の待望の続編が発売される前日のでき事だった。
翌日は、大学もズル休みをして、一日中『星降る夜の誓い2』をやり込む予定だったから、食料調達をするべく買い物に出た。
人通りの少ないおやつ時を狙い、散歩がてらゆっくり歩いていると、急ブレーキの音が聞こえた。
目の前には三輪車に乗った小さな子どもが一人。
その子どもに突っ込もうとしている暴走したトラック。
目の前で起こった映画のワンシーンの様な状況に、僕は無意識に走り出していた。
うん。そこまではよかった。
よくある子どもを庇ってトラックに轢かれるとか、トラックにぶつかった瞬間召喚の魔法陣が現れて異世界召喚とか、颯爽と現れたイケメンに子どもごと僕も助けられるとか~
ホントに、そうだったらよかったのに……
結果はもっと悲しい事故。
目の前の子どもを守ろうと走り出した僕は、縁石に躓いて何もないところで頭を強打。
暴走していると思ったトラックは余裕で停車しているし、子どもは僕の声に驚いてしまったせいで三輪車から転倒しちゃったけど、かすり傷すらない様子だった。
つまり、自爆で死にました。
めちゃくちゃ恥ずかしい死亡理由。
ってか、これ元の世界でどんな風に噂されてるんだろ?
どんくさいを通り越して、むしろ憐れまれる事故だと思う。
両親には本当に申し訳ないって思ってる……
でも、そんなことはもう気にしなーい!
目を覚ましたら大好きなゲームの世界に転生していたんだもん!
しかも、推しが目の前で息をして元気に生きている世界。
同じ空気を吸ってるのが申し訳ないと思うけど、嬉し過ぎて神様に感謝の祈りを毎日捧げるのは当然のことだと思う。
まぁ、転生した人物が悪役令息って知った時は、ちょっとショック過ぎて三日くらい寝込んじゃったんだけど……
だって悪役令息だもん。
ユレイユが王太子ルートに進んでくれれば出会えるけど、違ったら会うことすら出来ない。
モブ中のモブだから、遠くから眺めることはできるかもしれないけど、まだ学園にすら通っていない状況だったし……
せめて、ユレイユの親友枠のユフィとかペットのピー助だったらよかったのに……
ユフィだったら入学前から一緒に過ごせていたのに!
幼馴染とか何それズルい!
幼い頃なんて一緒にお風呂に入ってたんだろ?
そりゃ一番簡単な攻略対象だったけどさ……
幼い頃はユレイユより儚くて可愛い子だったのに、学園に入ったらどんどん身長も伸びてイケメンになるんだもん。
ユレイユとユフィのカップリングも大好きだった。
可愛がっていた弟分に攻められるユレイユ、恥ずかし気に赤らめた顔がめちゃくちゃ可愛いの!
ユフィみたいになりたかった……
あ、でも、攻略対象になるのはさすがに我が儘だと思うから、ペットのピー助でも本当によかったんだよ?
ユレイユが可愛がってるピー助。
まあるいおしりに大きな耳、愛嬌のあるつぶらな瞳に大きな鼻。
ピンク色が可愛いマイクロブタのピー助。
学園の寮にこっそり連れ込んじゃうくらいユレイユはピー助のことを可愛がってたし、お風呂とかベッドで一緒に寝るスチルもいっぱいあった。
ユレイユの大切な部分を隠すっていう、重大な役目を持ったマスコット的なキャラだったけど、エッチなイタズラもいっぱいしちゃういたずらっ子。
危うく新しい扉を開きそうになったのは言うまでもない。
僕がピー助になってたら、ちゃんとユレイユの大事な場所を隠せてたかな?
そこはちょっと不安になってしまう。
まぁ、実際転生しちゃったのはどちらでもなく、サブ中のサブである悪役令息なんだから仕方ない!
僕みたいなどんくさい奴が、主人公であるユレイユをちゃんとイジメることができるか不安はあるけれど……
でもここは、全力で悪役令息を演じてみせる!
大好きなユレイユが、最高にハッピーなエンドを迎えられるように、全力で行動するのみ!
だから、僕は学園に編入が決まった瞬間から今まで、ユレイユと王太子アレックス様の王道ハッピーエンドを目指すべく行動してきた。
まぁ、それで僕が断罪されるルートに入ってしまうのは、回避不能だししかたないことだって諦めてる。
でも、推しの幸せが僕の幸せ。
なら、この断罪ルートも喜んで突き進むつもりだ!
どんな断罪ルートになろうと、推しが幸せになるならどんとこい!
……できれば、痛かったり苦しかったりしないルートにしてください。
まぁ、仲の良い友人もいなければ、恋人なんてもっての外。
BLゲームと漫画と同人誌をこよなく愛するただのオタクだった僕。
そんな僕がこの世界に転生したのは、とある事故にあったのが原因だ。
それは転生しても忘れることも出来ない、悲しい事故だった。
僕の人生で最もハマったゲームであり、腐男子になったきっかけのゲーム『星降る夜の誓い』の待望の続編が発売される前日のでき事だった。
翌日は、大学もズル休みをして、一日中『星降る夜の誓い2』をやり込む予定だったから、食料調達をするべく買い物に出た。
人通りの少ないおやつ時を狙い、散歩がてらゆっくり歩いていると、急ブレーキの音が聞こえた。
目の前には三輪車に乗った小さな子どもが一人。
その子どもに突っ込もうとしている暴走したトラック。
目の前で起こった映画のワンシーンの様な状況に、僕は無意識に走り出していた。
うん。そこまではよかった。
よくある子どもを庇ってトラックに轢かれるとか、トラックにぶつかった瞬間召喚の魔法陣が現れて異世界召喚とか、颯爽と現れたイケメンに子どもごと僕も助けられるとか~
ホントに、そうだったらよかったのに……
結果はもっと悲しい事故。
目の前の子どもを守ろうと走り出した僕は、縁石に躓いて何もないところで頭を強打。
暴走していると思ったトラックは余裕で停車しているし、子どもは僕の声に驚いてしまったせいで三輪車から転倒しちゃったけど、かすり傷すらない様子だった。
つまり、自爆で死にました。
めちゃくちゃ恥ずかしい死亡理由。
ってか、これ元の世界でどんな風に噂されてるんだろ?
どんくさいを通り越して、むしろ憐れまれる事故だと思う。
両親には本当に申し訳ないって思ってる……
でも、そんなことはもう気にしなーい!
目を覚ましたら大好きなゲームの世界に転生していたんだもん!
しかも、推しが目の前で息をして元気に生きている世界。
同じ空気を吸ってるのが申し訳ないと思うけど、嬉し過ぎて神様に感謝の祈りを毎日捧げるのは当然のことだと思う。
まぁ、転生した人物が悪役令息って知った時は、ちょっとショック過ぎて三日くらい寝込んじゃったんだけど……
だって悪役令息だもん。
ユレイユが王太子ルートに進んでくれれば出会えるけど、違ったら会うことすら出来ない。
モブ中のモブだから、遠くから眺めることはできるかもしれないけど、まだ学園にすら通っていない状況だったし……
せめて、ユレイユの親友枠のユフィとかペットのピー助だったらよかったのに……
ユフィだったら入学前から一緒に過ごせていたのに!
幼馴染とか何それズルい!
幼い頃なんて一緒にお風呂に入ってたんだろ?
そりゃ一番簡単な攻略対象だったけどさ……
幼い頃はユレイユより儚くて可愛い子だったのに、学園に入ったらどんどん身長も伸びてイケメンになるんだもん。
ユレイユとユフィのカップリングも大好きだった。
可愛がっていた弟分に攻められるユレイユ、恥ずかし気に赤らめた顔がめちゃくちゃ可愛いの!
ユフィみたいになりたかった……
あ、でも、攻略対象になるのはさすがに我が儘だと思うから、ペットのピー助でも本当によかったんだよ?
ユレイユが可愛がってるピー助。
まあるいおしりに大きな耳、愛嬌のあるつぶらな瞳に大きな鼻。
ピンク色が可愛いマイクロブタのピー助。
学園の寮にこっそり連れ込んじゃうくらいユレイユはピー助のことを可愛がってたし、お風呂とかベッドで一緒に寝るスチルもいっぱいあった。
ユレイユの大切な部分を隠すっていう、重大な役目を持ったマスコット的なキャラだったけど、エッチなイタズラもいっぱいしちゃういたずらっ子。
危うく新しい扉を開きそうになったのは言うまでもない。
僕がピー助になってたら、ちゃんとユレイユの大事な場所を隠せてたかな?
そこはちょっと不安になってしまう。
まぁ、実際転生しちゃったのはどちらでもなく、サブ中のサブである悪役令息なんだから仕方ない!
僕みたいなどんくさい奴が、主人公であるユレイユをちゃんとイジメることができるか不安はあるけれど……
でもここは、全力で悪役令息を演じてみせる!
大好きなユレイユが、最高にハッピーなエンドを迎えられるように、全力で行動するのみ!
だから、僕は学園に編入が決まった瞬間から今まで、ユレイユと王太子アレックス様の王道ハッピーエンドを目指すべく行動してきた。
まぁ、それで僕が断罪されるルートに入ってしまうのは、回避不能だししかたないことだって諦めてる。
でも、推しの幸せが僕の幸せ。
なら、この断罪ルートも喜んで突き進むつもりだ!
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……できれば、痛かったり苦しかったりしないルートにしてください。
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