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日常編:ミヤビ✕マサムネ/好きになってごめんなさい
雅のラベンダー大作戦
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雅は窓辺に置いたラベンダーの鉢を見つめ、満足げに腕を組んだ。
「いい感じに育ったな!」
薄紫の花が風に揺れて、ほのかに香りを漂わせている。
最初は小さな苗だったのに、水をやり、日光を浴びせ、話しかけたりしていたら、こんなに立派になった。
「よーし、収穫だ!」
ハサミを取り出し、慎重にいくつかの茎を切る。
そのまま乾燥させて飾るだけでもいいが、せっかくなら何か作りたい。雅はスマホを取り出し、「ラベンダー 活用方法」と検索した。
「ラベンダーオイル……は、作るの面倒そうだな。ラベンダーティー?……正宗、飲むかな?」
考えながら画面をスクロールすると、あるアイデアが目に留まった。
ラベンダーのサシェ(香り袋)
「これなら作れそうじゃね?」
早速、材料を買いに出かける。
小さな布袋と紐、ラベンダーの乾燥方法を調べて準備を整えた。
「よし、作業開始!」
ラベンダーを乾燥させ、細かく砕いて布袋に詰める。
紐でキュッと結び、シンプルながらもいい香りが漂う小さなサシェが完成した。
「できたー!」
手に取って深く息を吸うと、ラベンダーの爽やかな香りが広がる。
落ち着くし、良い眠りに誘われそうな気がする。
「これ、正宗にプレゼントしよ。」
翌日、雅は学校で、正宗にサシェを渡した。
「は?何これ。」
「俺の手作りラベンダーサシェ!」
「……えっ、これがあの、こないだ買ったラベンダーってこと?」
「そういうことっ。これ、枕元に置くとよく眠れるらしいぞ。」
正宗は少し呆れながらも、サシェを手に取って香りを確かめた。
「……まぁ、悪くない…かな。」
雅は得意げに笑い、正宗はさりげなくポケットにサシェをしまった。
こうして雅のラベンダーは、さりげなく正宗の日常に溶け込んでいくのだった。
深夜、正宗はベッドに腰を下ろした。
窓の外は静かで、カーテンの隙間からわずかに月明かりが差し込んでいる。
寝る準備を終えた正宗は、ふと枕元に目をやった。
そこには、雅が作ったラベンダーのサシェが置かれている。
「……。」
手に取って、軽くくんくんと香りを確かめる。
ふわっと広がるラベンダーの香り。爽やかで、ほんのり甘くて、どこか懐かしい感じがする。
「……いいにおい。」
呟きながら、サシェをそっと枕元に置く。
雅は「これ、枕元に置けばよく眠れるぞ。」と言っていた。
普段そういうのは気にしない正宗だったが、今夜は試してみようと思った。
ベッドに体を沈めると、心なしかいつもよりリラックスできる気がした。
瞼を閉じると、雅のドヤ顔が浮かんだ。
「ほらな?俺の知識、すげぇだろ?」
思わず苦笑しながら、正宗はゆっくりと眠りに落ちていった。
その夜、彼は珍しく穏やかな夢を見た。
「いい感じに育ったな!」
薄紫の花が風に揺れて、ほのかに香りを漂わせている。
最初は小さな苗だったのに、水をやり、日光を浴びせ、話しかけたりしていたら、こんなに立派になった。
「よーし、収穫だ!」
ハサミを取り出し、慎重にいくつかの茎を切る。
そのまま乾燥させて飾るだけでもいいが、せっかくなら何か作りたい。雅はスマホを取り出し、「ラベンダー 活用方法」と検索した。
「ラベンダーオイル……は、作るの面倒そうだな。ラベンダーティー?……正宗、飲むかな?」
考えながら画面をスクロールすると、あるアイデアが目に留まった。
ラベンダーのサシェ(香り袋)
「これなら作れそうじゃね?」
早速、材料を買いに出かける。
小さな布袋と紐、ラベンダーの乾燥方法を調べて準備を整えた。
「よし、作業開始!」
ラベンダーを乾燥させ、細かく砕いて布袋に詰める。
紐でキュッと結び、シンプルながらもいい香りが漂う小さなサシェが完成した。
「できたー!」
手に取って深く息を吸うと、ラベンダーの爽やかな香りが広がる。
落ち着くし、良い眠りに誘われそうな気がする。
「これ、正宗にプレゼントしよ。」
翌日、雅は学校で、正宗にサシェを渡した。
「は?何これ。」
「俺の手作りラベンダーサシェ!」
「……えっ、これがあの、こないだ買ったラベンダーってこと?」
「そういうことっ。これ、枕元に置くとよく眠れるらしいぞ。」
正宗は少し呆れながらも、サシェを手に取って香りを確かめた。
「……まぁ、悪くない…かな。」
雅は得意げに笑い、正宗はさりげなくポケットにサシェをしまった。
こうして雅のラベンダーは、さりげなく正宗の日常に溶け込んでいくのだった。
深夜、正宗はベッドに腰を下ろした。
窓の外は静かで、カーテンの隙間からわずかに月明かりが差し込んでいる。
寝る準備を終えた正宗は、ふと枕元に目をやった。
そこには、雅が作ったラベンダーのサシェが置かれている。
「……。」
手に取って、軽くくんくんと香りを確かめる。
ふわっと広がるラベンダーの香り。爽やかで、ほんのり甘くて、どこか懐かしい感じがする。
「……いいにおい。」
呟きながら、サシェをそっと枕元に置く。
雅は「これ、枕元に置けばよく眠れるぞ。」と言っていた。
普段そういうのは気にしない正宗だったが、今夜は試してみようと思った。
ベッドに体を沈めると、心なしかいつもよりリラックスできる気がした。
瞼を閉じると、雅のドヤ顔が浮かんだ。
「ほらな?俺の知識、すげぇだろ?」
思わず苦笑しながら、正宗はゆっくりと眠りに落ちていった。
その夜、彼は珍しく穏やかな夢を見た。
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