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OUTSIDER:ソーマ✕マサムネ
CHAPTER16
しおりを挟む蒼馬は中華街の地下にいた。
湿った空気と薄暗い照明。
壁には配線が走り、いくつものモニターがちらちらと光を放っている。
ここは九龍会の幹部、柳梓豪(リュウ ヅィハオ)のアジト。
盗聴部屋とも言えるこの空間で、彼は世界を監視していた。
「なぁ、いいだろ?」
蒼馬はベッドに寝転がりながら、気だるげに言う。
「いつも協力してやってんだから、たまにはこっちにも情報流せよ」
梓豪は冷めた視線を向ける。
「おい、靴で上がるな」
「いいじゃん別に。どうせ泥より汚ねぇもんついてんだろ?」
「はぁ……お前は相変わらず」
蒼馬はニヤリと笑いながら、足を揺らす。
「それよりさ、頼むよ。(鷲宮)さん」
その名前が口にされた瞬間、梓豪の眉が僅かに動く。
蒼馬と梓豪。
腐れ縁とも言える関係。
悪友に五万円で九龍会に売られた蒼馬。
中学生の頃から、蒼馬は梓豪の管理下にあった。
だが、現在の梓豪は九龍会の地下に閉じ込められ、足にGPSをつけられている。
この空間から動けない。
けれど、ここにいながらにして世界を動かす。
そのためのモニターが、部屋一面に並んでいた。
梓豪は無言でパソコンへ向かう。
「湯川雅……ふん。数年前に噂になった切り裂き魔じゃないか」
画面に浮かび上がる名前。
梓豪の指がキーボードを叩く音だけが響く。
「居場所は……」
モニターに映し出される雅の現在。
街の片隅、古びたアパート。
一見、普通の生活をしているように見える。
けれど、その背景には、未だに消えない影があった。
「……ほう、コイツ…例の失踪したガンビーノの坊っちゃんのオトモダチってわけか」
梓豪が静かに呟く。
蒼馬はその言葉の意味を図りかねながら、ベッドの上で僅かに息をついた。
雅をこの街へ呼び戻そうとしている。
正宗のために。
けれど、それが何を引き起こすのかは、まだ誰にも分からなかった。
闇の境界線が、ゆっくりと揺らぎ始めていた。
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