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EP.2Memoria et Tea記憶と紅茶
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しおりを挟む柔らかな木漏れ日が降り注ぐ静かな庭園。
風がそっと緑葉を揺らし、光が水面に映るように、穏やかな時間が流れていた。
丸いティーテーブルには三人分の紅茶が並び、それぞれのカップからは優雅な香りが漂っている。
黄泉は紅茶の表面を眺めながら、暇そうにスプーンを動かし、棺は慣れない手つきでカップを手に取っていた。
そして、対面に座るのは、一人の老婦人、碧野透子。
「タイムカプセル?」
棺はカップを置き、首をかしげる。
「ええ……。子供の頃に、仲の良いお友達と埋めたのよ。」
透子はそっと微笑む。
彼女の手は静かにティーカップを持ち上げ、慎重な動作で口元へ運ぶ。
優雅な仕草。
まるで時間の流れを忘れたかのような、落ち着いた空間だった。
棺は興味深そうに前のめりになり、続ける。
「それって、見つけたいってこと?」
透子は紅茶をゆっくり飲み込み、小さく息を吐いた。
「私はその後すぐに引っ越してしまって…。結局、掘り出せたかどうかも分からないままなの。」
黄泉はカップの縁を指で弾き、軽い音を鳴らした。
「まぁ、そりゃロマンだねぇ。昔埋めたものを、今になって掘り返すってのは。」
棺は考え込む。
「……それって、何が入ってるの?」
透子はふっと目を細める。
「初恋の人からのラブレター。」
その言葉に、棺は少し驚く。
透子は静かに微笑みながらカップを傾け、ふふっと笑った。
「こんなお婆さんにもね、初恋があったのよ。不思議かしら?」
棺は思わず、恥ずかしそうに視線をそらした。
「いや、そんなこと…。素敵だと思います。」
黄泉は無言でカップを回しながら、無造作に息を吐く。
「んじゃ、探しに行きますか」
その一言が、次の行動を決定づけた。
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※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※他サイト掲載
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