黄泉ノ彼岸葬儀店

TERRA

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EP.13送り火の夜Embers of Farewell

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屋上の風は涼しかった。  

祭りの熱気が遠ざかるにつれ、夜の静けさがゆっくりと降りてくる。  

黄泉は寝転がり、空を見上げた。  

星が点々と散らばっている。  
遠くに光る灯籠の残像が、まだ意識の片隅に揺れている。  

「ねぇ、黄泉。送りたくないって言っちゃダメなのかな?」

棺の声が、耳の奥に残っていた。  

黄泉は目を閉じる。  

俺は、送りたくなかった。  

そんなことを思ったのは、初めてだった。  

仕事だから。  
役目だから。  
そういうものだと、いつも割り切っていた。  

だが、あの時。  

俺は、棺に留まってほしくて。

それが、いけないことなのか。  

黄泉は、そっと手を持ち上げる。  

指先に触れる冷たい夜風が、何かを問いかけるようだった。  

星が静かにまたたき、遠くの灯籠がゆらめく。  

黄泉は、ただ夜空を見つめ続けた。
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