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隼人の妹(2)
しおりを挟む今日お兄様に同席してもらったのは、もし隼人の彼女がいた時に1人では耐えられないと思ったからだ。
隼人の家の玄関に着く。隼人と、隼人の家の使用人さん達が何名か、それとあの隼人の彼女が出迎えてくれた。絵里ちゃんと赤ちゃんが居る部屋に案内される。
気分としては正式な彼女になったのかという思いと、隼人への思いをはっきりと自覚してしまっていたため苦しくなってしまった。が、心配をさせてしまってはいけないと、仮面を貼り付けた。
赤ちゃんに会う前にしっかりと手洗いと消毒はした。
絵里ちゃんは元気に私達を出迎えてくれた。お祝いの言葉と、出産祝いを渡す。
隼人の妹の愛由美ちゃんは丁度オムツを交換してもらった後のようで機嫌よく目を開けていた。
愛由美ちゃんは目がぱっちり二重で鼻筋も通っており将来美人になる事間違いないだろう。
本当に可愛く、目なんかキラキラしていてまるで宝石みたいだった。抱っこをさせてもらったが、赤ちゃん特有の匂いがした。とてもふわふわぷにぷにで、隼人があんなに溺愛してしまうのも無理はないだろう。
私とお兄様は暫く愛由美ちゃんを堪能させてもらった。
そんな時隼人の母絵里ちゃんが、私の持ってきた出産祝いを開けても良いだろうかと尋ねてきた。
皆の前で見られるのは恥ずかしかったのだが、止める理由もなくそれを了承した。
それを見てとても喜んでくれた。
「手作りと気づかないぐらい、とても良い仕上がりねー。ありがとう。早速今日着せるわね。」
とお世辞コミコミでも褒めてもらえたことが素直に嬉しかった。
「おばさまー、私にも見せて。」
「いいわよ。ほら、エマも見て。」
・・・。
「エマ?」
私が発した言葉に頭の整理が追いついていなかったのだが、皆はさも当たり前のように話を続ける。
「有紗最近エマに会って無かったから気づかなかったか?でも面影もあるし・・・それはないよな?」
「えー?でもエマ、昔会ったことある人に自己紹介しても気付いてくれる人いないよ?でも有紗ちゃんは流石に気付いてたよね?」
私の反応を見て察した絵里ちゃんがフォローを入れてくれる。
「有紗ちゃんはエマに会ったの随分前だものね。この子大きなパーティーとか嫌いですぐにサボるから。今回は私が妊娠したから、少しは役立つことがあるか持って姉さんに言われてきたみたいだけど。
女の子は年々綺麗になっていく物だから気付けなくても仕方のないことよ。ふふふ。」
私はとんでもない思い違いをしていたのではないかと恥ずかしくなる。
ゆっくりとエマの方へ向き直る。エマと会ったのは小学校5年生の隼人の誕生日の時だ。その時妙になつかれた外国のお姫様みたいな可愛い女の子がいた。その子の名前が確かエマだったはずだ・・・。後々聞いた話しでは、エマは隼人の母親絵里ちゃんのお姉さんの子供。私より5歳も年下だったはずだ。こんなに大きくなる事があるだろうか?
私は驚き過ぎて、何も言葉を発せないでいたが、皆の反応からしてあのエマで間違いないようだ。
「ぇえーっ!変わり過ぎてびっくりしました。確かに(外国のお姫様みたいなところは)面影あるけれど、あんなに小さかったのに・・・。」
見た目だけでいえば、私と歳が変わらないように見える。
「もう、有紗ちゃんったら失礼しちゃう!いつまでも子供のままなわけないじゃない!じゃあお出迎えした時私の事なんだと思っていたのかしら!」
「隼人の彼女だとばかり・・・。」
「「「「はっ?」」」」
今度は愛由美ちゃんに構ってばっかりで話しに入ってこなかったお兄様まで驚いている。
「「そんなわけないだろー。(でしょー)」」
と隼人とエマの2人に怒られた。隼人は何か諦めたように溜息を吐いただけだった。しかしエマは自国に彼氏がいるらしく、そんな勘違いをされるなんて心外だとコンコンと怒られた。
ゆっくりしていってと言われたが愛由美ちゃんと絵里ちゃんの負担になってはいけないのでおいとまさせてもらった。
その際絵里ちゃんが
「ここまで気付いていなかったのも驚いたけど、隼人もまだまだねー?」
と言っていた。その言葉の意味がよくわからなかったが返事をせずに帰路についた。
帰りの車の中でもお兄様と愛由美ちゃんの天使っぷりを語り合った。勿論家に帰って歌恋には勿論、他の従業員達にも聞かせて回った。両親はなかなか帰ってこない為長文の感想文のような物を送っておいた。
隼人には彼女はいないようだし、昔遊んだ可愛いエマにも会えたし、とっても嬉しい1日となった。
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