クソ水晶(神)に尻を守れと心配された件

ジャン

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………………………………………………。
……これはどいう事なのか。
さっぱり分かんねぇ。


確か今日は休みで、貰ったばかりの給料で世話になりっぱなしの団長達3人にお礼をしようと買い物に街に出たんだ。
仲良くなった同僚数人と買い物してたら路地裏で喧嘩騒ぎがあって。
みんなでその騒ぎを収めてたら後ろからいきなり引っ張られて薬草独特の匂いがしたと思ったら視界が暗くなり……。
気付いたらこんな状態。


俺は今、後ろ手に縛られ床に寝転がされていた。
身体に当たる感触が硬いから床だろう。足も縛られているようで、身動きが取れない。ご丁寧に猿轡までされている。
……明らかに何者かに捕まった状況。
見回してみても薄暗い物置部屋のような場所としか分からない。窓もないのか、外の様子さえ分からない。
気配察知の能力を使う。が、頭の中に靄がかかったような状態になり周囲の気配がまるで分からない。
創造魔法も使ってみるが、なんの反応もない。
本で覚えた知識をフル稼働して察しを付ける。どうやら能力も魔力も封じられてるらしい。首に何か金属の物体が嵌められているからこれで封じているのだろう。
諦めて耳を澄ます。床に耳を付けている為、辛うじて階下から話し声が聞こえた。小声で話しているのか内容までは聞き取れないが、確実に2人以上はいる。
扉、と思われる方向から足音が聞こえ咄嗟に目を閉じようと思うが、能力も魔力も封じられてる今少しでも情報を集めるべく思い止まった。


「大人しくしてるみてぇだな。今のうちにやっちまおう」


顔を隠した男が2人、入ってくる。1人が後ろへ回り猿轡を外された。問い詰めようと口を開きかけて言葉にならず、鼻を摘ままれて何かの液体を飲まされた。


「……ぐ…、ごほっ!」


吐き出そうとしたがそれは叶わず飲み込んでしまい、身体の中からジリジリとした熱が広がっていくような感覚がする。咳き込んでいると再び猿轡を噛まされた。


「神に殺されたのが運の尽きだったな」


ハッとした。何故、その事を知っている?
薬を飲ませた男はそれだけ言うと、寝転がる俺の目の前の床に蓋を開けた小瓶を置いてもう1人の男と部屋を出て行く。
その小瓶から薬草独特の匂いと花の蜜のような匂いが漂ってくる。何とも言い難い匂いだが、この香りを嗅ぐと不思議と身体の中で広がる熱が収まるような気がする。匂いを嗅がなければ熱は広がっていくばかりで次第に呼吸も荒くなった。


「…っ、……は…っ」


小瓶から漂う匂いを嗅いで僅かでも熱を押さえ込もうとする。同時に、意識が途切れそうになり顔を背けて香りを嗅がないように息を止める。
すると途端に身体の中の熱が暴れ始める。それを抑えるために小瓶の香りを嗅ぎ、熱を押さえ込み、意識が途切れそうになり…。
何度も何度もその繰り返しで体力も気力も尽きそうだった。じっとりと汗が噴き出し、全力疾走した後のように息が弾む。
早く、早く。何でもいいからこの状況を打開しないと。
縛られた手足を解放しようと床の上でもがく。手首や頬や肩が擦れて血が滲むが、それと同時に電気が走ったような刺激も起こった。


「ふ、……ぐ、ん…っ」


ゾクゾクと背筋が震えて身体の奥が痺れる。
なんだこれ。なんだこれっ。
何処も彼処も気持ち良く感じる。縄で擦れる手足も床で擦れる頬も、自分の髪が揺れる刺激も、全部気持ちいい。
腰がゾクゾクする。むず痒い。気持ちいい。
早く、早く。どうにかして欲しい。
快感ばかりが積み重なっておかしくなりそうだ。
最早小瓶の香りの効果は無く、解放できない熱で悶えるしか出来ない。

どの位堪えていたのか。気を失っていたのかも分からない。朦朧とした頭では何も考えられない。

ふと、何処か遠くで聞き覚えのある声がしたような気がした。
その声は俺の名前を呼びながら乱暴な音を立てて近付いてくる。
こ、こ…。は…やく…。
出せない声を出して応える。


「「シン!!」」


バキバキ!と大きな音を立てて扉が壊された。そこに表れた人物達を見て自然と笑みが浮かんでしまう。
ギル、レイド…来てくれた…。
あぁ、助かった…。やっと解放される…。
2人は床に転がされている俺に駆け寄り抱き起こしてくれる。


「んんっ、ふぁ…っ」


猿轡を外そうとした手が止まる。
様子がおかしい俺に気付いたようで、戸惑いつつも猿轡を外してくれた。


「何があったっ?」


「は、ぁ…っ……変、なクスリ…ッ…あつ、…からだっ…おかし…っ…ん、んンッ」


途切れ途切れに言葉を発するが、説明出来ない。
俺の身体が熱いのか、身体を支えるレイドの体温が気持ちいい。


「恐らく媚薬だ。早く抜かないと狂う」


レイドの言葉にギルが頷き、手足の縄を短剣で切り裂く。ギルに軽く髪を撫でられ額に唇が落とされる。


「すぐに楽にしてやるからな。もう少しだけ辛抱してくれ」


優しく労るように声を掛けられる。次いでレイドが俺を抱き上げた。


「んん…っ!!」


唇を噛んで刺激に堪える。レイドが申し訳なさそうに謝るが、大丈夫だと微かに笑う事しか出来ない。


「レイド、急いで宿舎に運べ。すぐに行く。」


そのままギルは踵を返して部屋を出て行った。
すぐにレイドも行動を起こし、刺激しないよう、それでも急いで騎士団宿舎に向かうのだった。
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