【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇2人の関係

「セフレの意味」*優月

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「何で、背中向けたんだよ?」
「え。……何となく……?」
「ふーん?」

 耳元でクスクス笑われると。
 くすぐったい。

「……ちょ、と、くすぐったい」

 肩を竦めると、ちゅ、と耳にキスされる。
 びく。

「……れお……?」
「――――……」

 胸の前にあった手が、バスローブから中に入ってきて。
 胸をするりと、撫でた。

「……っ……?」

 後ろの玲央を振り返ろうとするけれど、乳首をきゅ、とつねられて、唇を噛んで俯いた。

「っ……れお?」
「……ここ、気持ちよくなってきた?……」
「……や……」

 両方触れられて、首筋に軽く噛みつかれて。
 ぞく、として顎が上がる。

 気持ちよくなってきたっていうか……。
 最初から、気持ち、よかったし……。

「……ん、ン……っ」

 玲央の手、押さえて、止めてしまう。


「……や……」
「――――……嫌か?」

「……すぐ――――……」
「すぐ、なに?」

「……ぞくぞく、しちゃうから……っ」
「して良いよ」

 首筋に沿って舌を這わされて、びく、と震えてしまう。
 片手が、不意に下に回って、もう反応し始めてたソレを、握りこまれて。

「……っ……やっ……」
「――――……」

「……なん、で……オレ、ばっかり……」
「――――……ん?」

 不思議そうな声を出した玲央が、オレの肩を掴んで、仰向けに寝かせる。ベッドに背を沈めたオレの上に、玲央が覆いかぶさって、上からじっと見つめてくる。

「……どういう意味?」
「……だって……オレ、ばっかり、気持ちよくなって…」

「わざとそうしてるんだけど……?」 
「……ちゃんと、最後まで、して、いいのに」

 そう言ったら、玲央は、少し黙った後、クス、と笑った。

「……言ってんじゃん」
「――――……」

「お前がしてほしいって言うようにしてから、したいって」
「――――……」

「それまで、慣らさせろよ」
「……玲央がやじゃないなら……良いんだけど……」

「嫌じゃない。……つか――――……そうしたいって言ってんだろ。お前は、オレのする事に、ちゃんと反応してればいいから。な?」
「……ん」

「気持ちよかったら、素直にそう言って?」
「……うん」

 頷いていたら、玲央のキスが唇に降ってきて。
 深く舌を絡め取られながら、下も弄られて。

「ん……っ……んん……」

 どっちも気持ちよくて。
 ぶるっと震えて――――……玲央の手であっという間に昇りつめてしまう。


「……反応よくなってきたよな……」
「………っ……」

 玲央がティッシュで手を拭いてるのを、目の端にうつして。
 上がった息を、手の甲で押さえる。


 ……良くなってきた、どころじゃない。
 ……こんなのばっかり、されてたら、おかしくなる。


「なあ、優月?」
「……ん?」

 少し玲央の声の調子が変って。
 真剣な感じの声に、ふ、と見つめ返す。


「……お前さ」
「うん?」


「セフレって、意味分かってる?」
「――――……」


 ……え。

 今さら、その質問……?
 セフレの意味……って。



 ……何が聞きたいんだろ?


 何だかものすごく真剣な瞳で見つめてくる、整った顔を。
 ただ、見つめ返して、数秒を過ごした。


 セフレの意味なんかを聞かれて、固まって数秒。



「うん、意味わかってる、と思う」


 ベッドの上で向かい合って座って、じっと見つめあう。


「……どうして?」

 オレがそう聞くと、玲央は少し唇を引き締めて、オレの頬に、触れてきた。


「セフレって何?」
「何って……セックス……する関係?」

「――――……」

 そのまま言ったら、玲央は、しばらく固まった。


「……お前、ほんとにオレのセフレになりたいの?」
「……だって、玲央と会いたいし……」

「――――……オレ、セフレ、他にもいるけど……」
「それは、最初から知ってるよ……?」

「――――……嫌では、ねえの?」
「――――……」


 ……何が聞きたいんだろ。
 嫌って。

 ……玲央にセフレが他にも居る事を、オレが嫌とか言う権利、無いよね?


「……セフレとか――――……優月の柄じゃねえなと思うんだけど」
「――――……」


 ……確かに。玲央が相手じゃなければ、そんなのになる可能性、1パーセントも無かったはず。


「玲央じゃなかったら……そんな事言わなかったと思うけど……」
「――――……」


「……だって、もともと……玲央がそういうの、自由なの知ってて、オレ、玲央の所に来たし――――……」
「――――……」

 噂でも知ってたし、美咲や智也にも話聞いたし。
 もともと、セフレがいっぱい居て、そういう事を自由にしてる人っていうの、知ってたし。

 ……そういう人だからこそ、オレに、「寝てみない?」なんて軽く誘った訳で。だから、玲央はきっと、これからも他の人にもそうやって誘ったり、するのだろうし。


「……玲央、何が聞きたいの?」
「――――……セフレなんて、そんな関係……優月はいいのか?」

 いいのかって。
 ……どんな質問???


 さっきから、ずっと、全然分かんないけど。 

 だって、オレは、玲央がどんな人か知ってて。
 他にもいっぱい相手がいるって知ってて。
 
 それでも、玲央が会ってくれる間だけでもいいから、玲央と居たいって。
 ……何でだか、そう思っちゃって。


 ――――……自分でも、こんな想い、よく分からないけど。

 こんなに、訳のわからない関係でもいいから、

 そばに居たいって、生まれて初めてってくらい、強く思って。
 そばに居れるなら、触れたいし、触れてほしいし。

 ――――……でも、こんなカッコいい、こんなモテる人の、恋人になんて、
 絶対なれないのは分かってるし。

 ……セフレで良いって。
 オレ、本気で、思ってるんだけど……。


 ……どういう意味で、玲央は聞いてるんだろう。


「……セフレでいいのって――――……セフレがやだって言ったら、どうするの?」

 そう聞いたら。
 玲央が、黙ってしまった。

 数秒の沈黙に耐えられなくなって。


「うそ。やだなんて、思ってないよ」
「――――…」

「オレ、玲央と会いたいし。……玲央とキスするのも、触ってくれるのも、好き。だから玲央が良いなら、今のまま――――……会ってくれる時に会えたら……嬉しいんだけど」
「――――……」

「オレと会ってない時に、玲央が誰と会ってても、気にしないし」

「……オレが他のセフレと会っても、お前は、いいのか?」
「うん」
「……嫌じゃねえの?」
「……? だって…… もともと知ってて、オレ、玲央と会ったし……」


「オレと付き合う、とかは……考えねえの?」
「……付き合うって?」


「恋人とか――――……思わねえの?」


 玲央の口から出てきた単語に、かなりびっくりしたのだけれど。


「思わないよ」

 即答した。
 ほんのわずかな期待も、悟られないように。


 だって、本当に玲央と恋人なんて。望んでない。



「だって、オレ、男だし――――……玲央の恋人なんて……無理」


 女の子ですら、好きって言ったら終わりなのに。
 男と恋人なんて、玲央がなるはずないし。

 そんな無理、望まない。


 オレは、玲央と、終わりになりたくない。



「――――……分かった」

 玲央が、そう言って、まっすぐオレを見つめた。


「セフレが、良いんだよな? お互い束縛なし、干渉しない。会った時に、楽しむ。で、良いんだな?」
「うん」

「――――……会いたくなったら連絡入れる。お互い都合があえば、会う」
「うん。他には……?」

「……本気になったら終わり。どっちかに恋人ができた時も」
「……ん、分かった」

 ……大体美咲が言ってた通りだな。
 そう思って、頷いた。


 玲央は、何だか珍しく投げやりな感じでポンポン言ってたけど。
 言い終えてオレが頷くと、面白くなさそうな顔で、ため息を吐いた。


「――――……いっこ聞きたいんだけど」
「……うん?」

「……オレが、お前以外の奴、抱くの、ほんとに嫌じゃねえの?」
「――――……」

 なんでそんなこと聞くんだろう。

 ……そりゃすっごく考えたら、嫌だよ。
 ――――……でも、考えないようにしてるのに。

 ……もともと玲央は今までそうしてきてたんだから、
 オレが何か言う事でもないと思って。考えないようにしてるんだから。

 そりゃ――――……一人占めできたら、そんな幸せな事はないけど。
 ……無理だって分かるし。

 恋人でもないのに、そんな、嫌なんて言う権利、あるわけない。


 じっと玲央を見つめながら、うん、と頷いた。 




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