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◇進展?
「心臓が痛い」*優月
しおりを挟む玲央に触れられていると、なんか、ほんとに、眠くなってくる。
「あ、そういえばね?」
「ん」
「幼馴染に、何回か美容院に連れていかれてさ。毎回シャンプーされてるとほんとに寝ちゃって……」
「――――……ふうん……」
「優月どんだけ寝不足なのっていつも怒られるんだけどね。寝不足じゃなくても寝ちゃうんだよね……」
ふ、と、優しく笑う玲央の声。
……なんか、めちゃくちゃ好きだなー……。
「じゃあ今度時間ある時、お前は湯船でお湯に入れたまま、洗ってやるよ」
「ほんとに寝ちゃうよ?」
「いいよ。気持ち良さそうなお前、見たいし」
クス、と笑いながらそう言ってくれる。
ほんと、優しいなー……。
「ん、おしまい。流すから ちょっと下むいて」
言われるまま下を向くと、優しい手が泡を流してくれる。
「優月、顔あげて」
シャワーを掛けられて、終わった気配に目を開けると。
その後、また髪に触れられて。ふわ、と良い匂いがしてくる。
「何の匂い?」
「トリートメント」
「……いい匂い」
「……昨日とかは、なんか色々お前にしてたら―――……付けるの忘れたんだよな……」
玲央が苦笑いしてる。
「そうなんだ…… あ。そういえばさ、玲央も、ひげ生えないの?? 朝も剃らないよね?」
「玲央も、って? もってなに?」
玲央がクスクス笑いながら、聞いてくる。
「オレ父さん譲りで、ほんとに体毛薄くて。父さんもひげ剃ってんのほとんど見たことないし、オレもそうだから、気にしてなかったんだけど…… 玲央も生えないの?」
「――――……オレ、脱毛してる」
「えっ。そうなの?脱毛って男もするの? あ、そっか。コマーシャル見たことあるような……え、玲央、してるの?」
びっくりしてまじまじ見上げると。
玲央が、ぷ、と笑った。
「ひげ剃り面倒だし。去年、甲斐と行ったんだ」
「へえええ? なんかすごい……見せて??」
「見せてって……」
苦笑いしてる玲央の顔をじーーと見るけれど。
綺麗なだけで、特になんの形跡もないし。
「……脱毛したかどうかって、見てもわかんねーぞ?」
クスクス笑う玲央に、頬を挟まれる。
そのまま、引き寄せられて、唇が重なってきた。
「――――……っん……っ?」
舌、絡んでくる。
……まだ、見てたのに……。
……まあ……全然、分かんなかったけど……。
「……ふ――――……っ……ン…… 」
「……は。なんか、お前の髪から、オレのリンスの匂いがするの、変な感じ……」
「――――……」
「……なんか。オレのって感じ……?」
クスクス笑って、またキスされる。
玲央のキスって、いきなり深すぎて。とてもついていけない。
「……ん……っ……」
「――――……可愛いな……お前」
「……っ……」
熱っぽい瞳で見つめられると、なんだか、胸がドキドキして、うるさい。
「んー……ほんとそろそろ出ないとな……」
キスが離されて、優しく頬がなぞられる。
そのまま、首筋に指が滑って。
ぞくん、として、少し退くと。
ふ、と笑んだ玲央に、ちゅ、と頬にキスされる。
「……~~……っ……」
胸が、きゅん、として。
……しすぎて。
もう無理。
なんかもう、耐えられなくて、思わず、しゃがみこんだ。
1回、玲央から離れたくて。思い切り顔も隠す。
「え?……――――……は? 優月? どーした?」
肩に触れられる。
「優月? なに、具合悪い?」
「――――………分かんない……心臓が痛い」
「心臓?何だそれ」
「――――……っドキドキするのが、痛くて無理だから……ちょっと一旦、離れたい……」
「……は??」
「……とりあえず、オレのこと、置いて、先出て……?」
「――――……」
少し後、ぷ、と笑われて。
脇に手が入って、立ち上がらされてしまう。
先出てって頼んだのに……。
「――――……こんな風に、しゃがんで逃げられたの、初めてなんだけど……」
クッと、可笑しそうに笑ってる。
「……そんなこと言ったって――――……ん、ぅ……」
めちゃくちゃ、深く、キスされる。
だから、もう、時間無いって――――……
短時間で、ものすごい深いキスをして、玲央は、唇を離した。
「――――……優月、最初より息吸えるようになったろ?」
くす、と笑って。玲央の唇がまた重なってくる。
「――――……ん、……っ」
「キスも、ちょっとうまくなってきたよな……?」
ぺろ、と唇舐められて。そんな風に言われて見つめられると。
かああっと熱くなる。
「玲央が……すごい、キス、ばっかりするから――――……」
「まあ…… お前には、ずーっとキスしてたいから」
「……」
「あとでもっとめいっぱいキス、しような?」
そんな風に言われてまた真っ赤になるしかない。
ふ、と笑った玲央に、ちゅ、と軽く唇を合わせられた。
もうなんか。熱くなることばっかり、されて、言われて。
本気で、熱、出そうな気がしてくる。
太刀打ちできなすぎて、ただ、目の前の優しい瞳を、見上げるしかできなかった。
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