【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇ライブ準備

「むしろ元気って」*優月

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 玲央は少し不思議そうにしてたけど、なんだか嬉しそうに微笑むと、キスが降ってきて、しばらく続いちゃって、そのままぎゅー、と抱き締められた。とくに聞かれなかったので、玲央が綺麗っていうのの説明はしなかった。何回か綺麗って口走ってる気もするから、なんとなく受け止めてくれたみたいな気がする。
 ほんとに。真っ直ぐで綺麗だなって。思う。

 しばらく玲央の腕の中に居て、それから、身支度整えて、外に出た。
 昼過ぎ。太陽は高くて、明るい。駅の方に向かうと人がめちゃくちゃ多くて、玲央がオレの手首をそっと掴んだまま歩いてくれてる。
 なんか、朝まで希生さんちに居て、今までホテルに居て、抱き合ってて。
 出てきてもこんなにまだ明るくて、なんだかすごく不思議な感じ。

 ホテルで玲央がお店を検索してたから、多分そこに向かってるのだと思って、ついていってたのだけど。玲央がふとオレを振り返った。

「先食べよっか。カフェみたいなとこでもいい?」
「うん。そういえばお腹空いた」

 そう言うと、玲央はクスクス笑って、「運動したもんなー」なんて言ってくる。もう絶対からかって、わざとだなーと分かっているのだけど、かぁっと赤くなるオレ。だって思い出しちゃうし。ふ、とまた目を細めて、玲央が頬に触れる。

「すぐ赤くなる」
 楽しそうに笑いながら、そんな風に言う。だって、と思うんだけど、実際、文句は出ない。だって、玲央の顔、優しいから。

 通りがかりのカフェで足を止めて、玲央がオレの顔を見る。「メニュー見てみて。ここで良さそう?」と聞かれて、入り口に置いてあるメニューを確認して、頷く。少し並んで入った店内は。

「オシャレだねー」
 白いテーブルに、白い椅子。荷物を置くカゴすら可愛い。
 ……オシャレっていうより、すごく可愛い感じ。男二人で入る感じじゃないかも。と思って周りを見ると、やっぱり女の子ばかり。
 女の子は目ざとくて、玲央をチラチラ見てる子たちがすでに居る。

「ちょっと可愛すぎた?」
 玲央がクスッと笑ってそんな風に言う。

「ここまっすぐ行ったとこに、行きたい店があるからさ」
「うん。いいよ、ここで」

 サンドイッチとコーヒーを頼んで、お冷を口にする。

「優月、疲れてないか?」

 疲れ?……疲れるようなこと。いっぱいしたもんね……。
 …………っ返事を返すよりも、顔に熱が。

「ライブ行くのに、あんま手加減しなくてごめんな」

 手加減しなくて……。たしかに手加減無しで、なんかいっぱいされたような。……でも、時間的には短かったから、まだだいじょうぶ……とか言うのもちょっと恥ずかしい。

「……玲央は、疲れて、ないの??」
 
 顔は熱いけど、でもむしろ、オレはより、動いてるの玲央だし。……って、動いてるのって恥ずかしいから言えないけど、でも、どっちかというと、疲れてるのは玲央なんじゃと思って、聞いてみると。

「全然」
 けろっとして言う玲央。

「むしろ、元気になったというか? ていうかむしろ、足りないかな」
「――――……」

 ダメだ。
 ぼぼぼぼぼ。

 むしろ元気にっていうのもなんかおかしいし、足りないって言われるのも……! なんかもう、さっきの自分とか、熱っぽくてやらしい顔してる玲央が、頭の中によみがえってきてしまって、もう、無理。
 テーブルに肘をついて、両頬を挟んで俯く。




 

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