【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
848 / 856
◇ライブ準備

可愛いよう*優月

しおりを挟む
「あのさ、優月」
「ん?」

 少し神妙な声に首をかしげたオレに、玲央はじっとオレを見つめて、数秒黙る。

「たぶん、一緒にあいつらと移動してると、去年までの夏の話になると思うんだけど」

 そう言って、また少し黙る。
 去年の夏の話、という言葉と、なんだか言いにくそうな玲央の感じに、オレはちょっとピンと来た。

「いろいろ楽しんで過ごしてた、て話なら、別にいいよ??」

 オレがそう言うと、玲央はちょっと口をム、とさせる。

「たぶん、優月はそう言うと思ったけど、一応、ほかの奴から聞くんじゃなくて、オレから言っとく」

 そう言ってから、また少し黙る。

 ……いいのに、ほんとに。
 オレと会う前の玲央が、どんな人とどんな風に会ってても、別に、いまの玲央は変わらないから、いいのに。この話、何回もしてるような。

 それに、たぶん玲央の相手の人たちは、ちゃんと玲央のこと、好きだったんじゃないかなーて思うし。
 逆に好きすぎたら、確かに玲央がしてたことは、その人たちにとったら、寂しくてひどい、ことだっかもしれないけど、でも、別に、恋人として付き合ってないなら、誰とどう過ごそうが、本人たちの自由だし。

 ていうか、世には、恋人として付き合ってたって、浮気する奴とかたくさんいるらしいので……。


「付き合ってる人いなかったから、楽しい人と遊んでた、でいいのに」

 オレがそう言ったら、玲央はなんだか、なんとも言えない顔をして、ふー、といきをついた。
 水を一口飲んでから、玲央はオレをまっすぐに見つめた。


「確かに付き合ってる奴はいなかったけど、たまに会う奴はいたし、皆で遊ぼうとか言って、知らない奴らと遊んでそのまま、とかも、結構あった」

 ふむふむ。
 まぁ、それは予想の範囲内というか。前にも聞いてるし。

「正直、おぼえてない奴もいるかも……」
「……うん」

 そうなんだ。
 それはあんまり聞いたことなかったかな?

 覚えてない……。
 そういうことして、覚えてないなんてあるの??と、オレ的にはとても不思議なのだけど……でもそれは、オレはそれをものすごく特別だと思ってるからで……玲央みたいに、遊びのひとつ、みたいな感じの人からは、大したことがないってことなのかもしれない。

 だとしたら、一夜限りとかは、覚えてないてことも、あるの……かもしれない。

 ふむ。なるほど。
 数秒でそこまでかんがえて、うんうん頷いていると、玲央はちょっと首をかしげた。

「引いた?」

 心配そうな顔の玲央に。

「……っ」

 なんだか、可愛いって思っちゃって。
 え、なに、その珍しいお顔は。
 心配してるの。オレが、引いてないか?

 そんな風に遊んでて、いつも大人っぽくて、余裕だし、オレのこと、いつもからかって、楽しそうにしてるのに。

 すっごい、可愛い……。
 なんだか、話の内容なんて全く関係なく、ただただ玲央が可愛くて、内心悶えまくって、ちょっと、感極まって、涙がにじんだり。

「え」

 玲央がびっくりした顔でオレを見るから、にじんだ涙に気づいたらしい。

「あ、ち、がくて」

 これは……と言いかけて、何て言おうかとぴたりととまった。
 え、玲央がとても真面目に話してくれてるのに、可愛く見えて、キュンてしすぎて涙が出ちゃった、とか言うの? うう。なんか、恥ずかしすぎるような。ていうか、オレの萌えポイント、変って言われそう。
 困って、止まると、玲央はますます困ってる気がする。

「悪い……嫌なのはわかるけど……もう絶対、あんな風にはしないから」

 オレは、うんうん、と頷いた。なんか、あまりに真剣に話すので、ますますオレの変なのを挟めなくて。

「優月とこうなって、あれがほんとに虚しかったって、分かったから。もうしないって約束する」

 まっすぐな、視線。
 その瞳に写ってるのが、それだけでもう、嬉しくなるくらい、カッコいい。

「優月」

 玲央の手が伸びてきて、頭に触れてよしよしと撫でる。

「ごめんな。そういうの、聞くのも、嫌だとは思うけど」

 プルプルプル、と、できる限り何回も、首を横に振る。

 こんな風に撫でてくれるの大好き。
 過去のこと、別に悪くもないのに、謝ってくれるのも。大好き。
 もうしないって、自分から、約束してくれるのも。


「大好き」

 そう言ったら、玲央はちょっと目を丸くして、ん? と首を傾げてから苦笑した。


「引いてたんじゃないのか?」
「……オレが玲央に引くわけないし」


 頭を撫でてくれてた手を取って、きゅ、と握る。


「いまの玲央が大好きだし、信じてる」

 そう言ったら、玲央は、オレが握ってない方の手で、口許を少し隠して。
 それから、そのまま、前髪をかきあげて、少し視線をそらす。


 ……照れてる……??
 またまた、可愛いよう、と泣きたくなる。





(2025.7.11)

前回の質問。
本当にたくさんのお返事をありがとうございました🥺
2が多かったです。
早くよみたい、更新が嬉しいから1というかたたちも、それなりにいてくださいました。
たぶん、2のかたも、本当は分量多くて頻繁にがいいんだろうなぁ、という感じのご意見だと推測🥺

でも私があまり毎日たくさんは無理というのを加味してくださっての2ですよねと✨

1のかたも2のかたも、無理なく楽しく書いてくださいと言ってくださって。優しいかたがたくさんで、涙涙…😭💕✨

読んでるとじんわりでした。
ほっこりじんわり大賞に、いただいたコメントをだしたい…。と思った…。

マシュマロでわざわざ送ってくださったたくさんのかたも、ありがとうございました🥺

けつろん。
なるべく1ヶ月とかはあかないように。
少し意識して、でも、文字数はいままでの感じで。頑張ろうと思います。

一番ブクマも多くて、待ってくださってるかたが多いというのと、このままのペースだと、夏休みがいつくるんだ、という😂のがあるので、
頑張って書きますので、引き続き、お付き合いください💕💕

ありがとうございました🥺😍💕🙌


(アルファさんにコメントくださったぶんは、少しだけ後でお礼を書きますね✨ありがとうございました🥺)



星井 悠里
(フルネームはこれ↑です🤭💕)


しおりを挟む
感想 830

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

処理中です...