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第1話 異世界に転移しちゃったんだけど?!
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「あの、あなたは……誰です?」
金髪碧眼の細マッチョで顔はすんごいイケメンなんだけど、明らかに不機嫌そうな顔だ。すると私を指差しながら右後ろに振り向く。
「おい、ツォルグ。コイツが俺の番か? なんか男みたいに髪が短いし、なんだかしょぼくないか?」
はい? コイツ? 口悪っ! これはベリショといって男の髪とは違うんだけどね!?
しかも番ってどういう事!?
「召喚に応じたという事はそうでございますねえ」
右後ろから白髪を後ろに束ねたイケオジな執事がにこやかな笑みを浮かべながら現れる。召喚!? どういう事?
「えっ……ここは……?」
「ここはあなたが元いた世界とは、異なる世界でございます」
「えっ!? て事は……異世界!? に転移したって事?」
「そのとおりでございます」
このイケオジ執事も頭に白い角が生えてるから金髪碧眼くんと同類かな? ていうか今さらりと私を召喚したって言ったよね?
「はあ……なんだコイツ、面白くないな」
「はあ?」
私を呼んでいてそんな態度する普通!? 意味わかんなさすぎる!
一気に脳天まで怒りが支配していくのを感じながらそのまま口を開いた。
「いやいや、私を召喚しておいてその態度は何よ!?」
「げっ」
今げっって言ったな!?
「私いきなりこんな所に呼ばれて意味がわからないんだけど! 呼んだならちゃんと説明するなりしなさいよ!」
「はあ……ハズレを引いてしまったか……?」
金髪碧眼くんはこれ見よがしに頭を右手で押さえ始めた。
「ていうか元の世界に戻してよ! 私、さっさと帰ってゆっくり休むとこだったのに――!」
「それは無理だ」
このタイミングで金髪碧眼くんが私の顔をきっと睨みつけてきた。威圧感が凄すぎて私の肩がすくむ。お局看護師とはまた違う怖さかも……。
「君が俺の子を産めば、元の世界に戻してやる」
「え?」「
「そういう事だ」
「くくっ。アルグレート様、まずは自己紹介から話すべきかと」
ツォルグとかいうニヤつくイケオジ執事にそう促された金髪碧眼くんは、アルグレート・グスタフだとぶっきらぼうに名乗った。
「はじめまして。松原乙音です」
「オトネ様、私がツォルグでございます。アルグレート様にお迎えする執事でございます。どうぞ何なりと……」
うやうやしくお辞儀をするツォルグさんに、腕組みをしているアルグレート。後の取巻きの人達はざわざわとざわめきながら私を見ている。
「自己紹介は終わったね。じゃあ、なんで私を帰してくれないか教えてくれる?」
「わかった。ツォルグ。説明を頼む」
「かしこまりました、アルグレート様。……ごほん。この国、アルグース帝国の話から参りましょう」
とりあえずツォルグさんの話をまとめてみる。アルグース帝国には私のような人間と、亜人という人間に何らかの動物の特徴を有する者の2種がいるそうだ。
「亜人の中でも最強種なのが、我ら竜人でございます」
竜人は膨大な魔力と無尽蔵のスタミナを持ち、頭に黒い角が生えていて、腰からは尻尾。飛行時には翼が出る。
ちなみにアルグース帝国の皇族すべてと皇族を由来に持つグスタフ家、オフスキー家、ラメッリ家、イルストーンズ家、エイティン家の五大公爵家は竜人だそうだ。
「ツォルグさんは?」
「私はエイティン家由来の者でございます。兄達がたくさんおりますゆえ、立場は低うございますが」
「へえ……竜人かぁ。それでさっき、アルグレートさんは俺の子供がどうたらって言ってたけどどういう事?」
「そこも説明しないといけないか」
呆れるアルグレートをツォルグさんがまあまあ。とたしなめてくれた。
「説明いたしましょう。まず、我々竜人は人間が相手でないと子が成せないのです」
「そうなの!?」
竜人同士はもちろんの事、竜人と、例えば鳥人など別の亜人との組み合わせでも子がなせないそうだ。
どうやら竜人の男性は精液に魔力と子種があるが、竜人の女性は子宮が魔力の炉になっている。そのため魔力が子宮に流れ込むと、その化学反応で子種が全部消し飛ぶ。なので片割れが魔力がなく、遮るものの無い人間でないと子供が作れない……。という訳だそう。
ちなみに人間は竜人含めてどの亜人とも子がなせるんだって。
「へえ……大変なのね」
「子を作るにはまず自身に適合した人類を召喚する必要があります。アルグース帝国にも人間はいますが適合する可能性は限りなく低いので」
「そしたら私が選ばれた、と」
「そういう事でございます、オトネ様。ちなみにオトネ様のような召喚に選ばれた者を番と呼びます」
そしてこの世界で人間はどの種族とも子がなせる貴重な存在である事もツォルグさんから聞いた。
「アルグレート様はそろそろお世継ぎが欲しい所でございまして」
「俺は望んでないがな」
いやいや、意見割れてるじゃん。ちゃんと話し合った?
「本当はお世継ぎほしくないの?」
「ああ、興味はないな」
「って言ってますけど? ツォルグさん?」
「ツォルグが泣きついてきたから仕方なく君を召喚しただけだ」
なんかツンデレみたいな反応だね? でもそんな怖い目で睨むのやめてくれないかな?
「私があなたの子供を産んだら、元いた世界に戻してくれるのね?」
睨むなら睨み返すだけだ。舐められたら終わり。そんな世界でやってきたんだから。
「ああそうだ。約束する。君とはそれまでの関係だ」
アルグレートの冷たい声が、私の黒髪ベリショの上に降りかかってきた。
金髪碧眼の細マッチョで顔はすんごいイケメンなんだけど、明らかに不機嫌そうな顔だ。すると私を指差しながら右後ろに振り向く。
「おい、ツォルグ。コイツが俺の番か? なんか男みたいに髪が短いし、なんだかしょぼくないか?」
はい? コイツ? 口悪っ! これはベリショといって男の髪とは違うんだけどね!?
しかも番ってどういう事!?
「召喚に応じたという事はそうでございますねえ」
右後ろから白髪を後ろに束ねたイケオジな執事がにこやかな笑みを浮かべながら現れる。召喚!? どういう事?
「えっ……ここは……?」
「ここはあなたが元いた世界とは、異なる世界でございます」
「えっ!? て事は……異世界!? に転移したって事?」
「そのとおりでございます」
このイケオジ執事も頭に白い角が生えてるから金髪碧眼くんと同類かな? ていうか今さらりと私を召喚したって言ったよね?
「はあ……なんだコイツ、面白くないな」
「はあ?」
私を呼んでいてそんな態度する普通!? 意味わかんなさすぎる!
一気に脳天まで怒りが支配していくのを感じながらそのまま口を開いた。
「いやいや、私を召喚しておいてその態度は何よ!?」
「げっ」
今げっって言ったな!?
「私いきなりこんな所に呼ばれて意味がわからないんだけど! 呼んだならちゃんと説明するなりしなさいよ!」
「はあ……ハズレを引いてしまったか……?」
金髪碧眼くんはこれ見よがしに頭を右手で押さえ始めた。
「ていうか元の世界に戻してよ! 私、さっさと帰ってゆっくり休むとこだったのに――!」
「それは無理だ」
このタイミングで金髪碧眼くんが私の顔をきっと睨みつけてきた。威圧感が凄すぎて私の肩がすくむ。お局看護師とはまた違う怖さかも……。
「君が俺の子を産めば、元の世界に戻してやる」
「え?」「
「そういう事だ」
「くくっ。アルグレート様、まずは自己紹介から話すべきかと」
ツォルグとかいうニヤつくイケオジ執事にそう促された金髪碧眼くんは、アルグレート・グスタフだとぶっきらぼうに名乗った。
「はじめまして。松原乙音です」
「オトネ様、私がツォルグでございます。アルグレート様にお迎えする執事でございます。どうぞ何なりと……」
うやうやしくお辞儀をするツォルグさんに、腕組みをしているアルグレート。後の取巻きの人達はざわざわとざわめきながら私を見ている。
「自己紹介は終わったね。じゃあ、なんで私を帰してくれないか教えてくれる?」
「わかった。ツォルグ。説明を頼む」
「かしこまりました、アルグレート様。……ごほん。この国、アルグース帝国の話から参りましょう」
とりあえずツォルグさんの話をまとめてみる。アルグース帝国には私のような人間と、亜人という人間に何らかの動物の特徴を有する者の2種がいるそうだ。
「亜人の中でも最強種なのが、我ら竜人でございます」
竜人は膨大な魔力と無尽蔵のスタミナを持ち、頭に黒い角が生えていて、腰からは尻尾。飛行時には翼が出る。
ちなみにアルグース帝国の皇族すべてと皇族を由来に持つグスタフ家、オフスキー家、ラメッリ家、イルストーンズ家、エイティン家の五大公爵家は竜人だそうだ。
「ツォルグさんは?」
「私はエイティン家由来の者でございます。兄達がたくさんおりますゆえ、立場は低うございますが」
「へえ……竜人かぁ。それでさっき、アルグレートさんは俺の子供がどうたらって言ってたけどどういう事?」
「そこも説明しないといけないか」
呆れるアルグレートをツォルグさんがまあまあ。とたしなめてくれた。
「説明いたしましょう。まず、我々竜人は人間が相手でないと子が成せないのです」
「そうなの!?」
竜人同士はもちろんの事、竜人と、例えば鳥人など別の亜人との組み合わせでも子がなせないそうだ。
どうやら竜人の男性は精液に魔力と子種があるが、竜人の女性は子宮が魔力の炉になっている。そのため魔力が子宮に流れ込むと、その化学反応で子種が全部消し飛ぶ。なので片割れが魔力がなく、遮るものの無い人間でないと子供が作れない……。という訳だそう。
ちなみに人間は竜人含めてどの亜人とも子がなせるんだって。
「へえ……大変なのね」
「子を作るにはまず自身に適合した人類を召喚する必要があります。アルグース帝国にも人間はいますが適合する可能性は限りなく低いので」
「そしたら私が選ばれた、と」
「そういう事でございます、オトネ様。ちなみにオトネ様のような召喚に選ばれた者を番と呼びます」
そしてこの世界で人間はどの種族とも子がなせる貴重な存在である事もツォルグさんから聞いた。
「アルグレート様はそろそろお世継ぎが欲しい所でございまして」
「俺は望んでないがな」
いやいや、意見割れてるじゃん。ちゃんと話し合った?
「本当はお世継ぎほしくないの?」
「ああ、興味はないな」
「って言ってますけど? ツォルグさん?」
「ツォルグが泣きついてきたから仕方なく君を召喚しただけだ」
なんかツンデレみたいな反応だね? でもそんな怖い目で睨むのやめてくれないかな?
「私があなたの子供を産んだら、元いた世界に戻してくれるのね?」
睨むなら睨み返すだけだ。舐められたら終わり。そんな世界でやってきたんだから。
「ああそうだ。約束する。君とはそれまでの関係だ」
アルグレートの冷たい声が、私の黒髪ベリショの上に降りかかってきた。
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