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第7話 脱毛クリーム便利ではあるんだけど
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さっそく顔の産毛と首から下に脱毛クリームを塗りたくる。脇毛やVIOラインにもくまなく塗り込むとメイドがお手を拝借のポーズを取った。
「塗り終えましたら、手を叩きます」
「1回ですか?」
「そうでございます」
メイドに言われた通りに手をパン! と叩くと身体中にフランベみたく青い炎が駆け巡り、焼けるような痛みに襲われる。
「いったぁ!」
めっちゃ痛いんだけど! と思ったらすぐに痛みが引いた。
メイドがシャワーを浴びてクリームを流してくれると産毛は綺麗さっぱり無くなっているのに気がつく。
「ほ、本当に全部消えてる……!」
「これがこの脱毛クリームの効能でございます。ちなみに一度使うと二度と生える事はございません」
え? これ永久脱毛だったの? まじで?
「便利でしょう?」
まあ便利ではあるけど……永久脱毛なのはもっと早くに知りたかったな……。だけど1回で済むのはありがたい。
「魔法を使えばまた元通りになりますので、お気になさらず」
「元に戻す事も出来るのですか」
へえ……魔法って便利だなあ。本当に幼い頃よく見ていたアニメや児童書と同じ感じだ。
身体の皮膚も何ひとつ異常は無いし、むしろ艶が増したようにさえ見える。下着とバスローブな寝間着を身に着けた私はそのままベッドへと移動した。
「では、失礼いたします。就寝前にお飲み物は飲まれますでしょうか?」
気が利くな、さすがはメイドと言った所かな。
「じゃあ、お白湯をください」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
そしてメイドが持って来たのは魔法瓶に入ったお白湯だった。この世界にも魔法瓶はあるようでちょっとだけ安心する。
「この容器だと熱が長持ちするそうなので、こちらに致しました」
「お気遣いありがとうございます」
ここのメイド達皆看護師としてもやっていけそうだな。気遣いできて仕事が早いからお局達からも気に入られそうだし感心してしまう。
まあ、廊下でマリアについての話をしていた事はちょっと……だけど……。まあそんな時もあるか。
「失礼いたします」
ぺこりと丁寧に頭を下げてから部屋を退出していくメイドを見送った私は、ベッドの上に大の字になった。
異世界にやってきて、契約を交わして、これから竜人の公爵と結婚して子供を作る。子供を作らないといけないんだ……。
「子供作らないといけないんだよね。そんなにうまく行くかなあ……」
呟きが絵画で彩られた天井にかき消されていくような気がした。
「塗り終えましたら、手を叩きます」
「1回ですか?」
「そうでございます」
メイドに言われた通りに手をパン! と叩くと身体中にフランベみたく青い炎が駆け巡り、焼けるような痛みに襲われる。
「いったぁ!」
めっちゃ痛いんだけど! と思ったらすぐに痛みが引いた。
メイドがシャワーを浴びてクリームを流してくれると産毛は綺麗さっぱり無くなっているのに気がつく。
「ほ、本当に全部消えてる……!」
「これがこの脱毛クリームの効能でございます。ちなみに一度使うと二度と生える事はございません」
え? これ永久脱毛だったの? まじで?
「便利でしょう?」
まあ便利ではあるけど……永久脱毛なのはもっと早くに知りたかったな……。だけど1回で済むのはありがたい。
「魔法を使えばまた元通りになりますので、お気になさらず」
「元に戻す事も出来るのですか」
へえ……魔法って便利だなあ。本当に幼い頃よく見ていたアニメや児童書と同じ感じだ。
身体の皮膚も何ひとつ異常は無いし、むしろ艶が増したようにさえ見える。下着とバスローブな寝間着を身に着けた私はそのままベッドへと移動した。
「では、失礼いたします。就寝前にお飲み物は飲まれますでしょうか?」
気が利くな、さすがはメイドと言った所かな。
「じゃあ、お白湯をください」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
そしてメイドが持って来たのは魔法瓶に入ったお白湯だった。この世界にも魔法瓶はあるようでちょっとだけ安心する。
「この容器だと熱が長持ちするそうなので、こちらに致しました」
「お気遣いありがとうございます」
ここのメイド達皆看護師としてもやっていけそうだな。気遣いできて仕事が早いからお局達からも気に入られそうだし感心してしまう。
まあ、廊下でマリアについての話をしていた事はちょっと……だけど……。まあそんな時もあるか。
「失礼いたします」
ぺこりと丁寧に頭を下げてから部屋を退出していくメイドを見送った私は、ベッドの上に大の字になった。
異世界にやってきて、契約を交わして、これから竜人の公爵と結婚して子供を作る。子供を作らないといけないんだ……。
「子供作らないといけないんだよね。そんなにうまく行くかなあ……」
呟きが絵画で彩られた天井にかき消されていくような気がした。
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