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第59話 どうしたらいいのかわからないんだけど
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あれから数日が経過したが、つわりはアルグレートの勧めで専用の魔法薬を飲む事になったが、あまり効果を得られず酷いままで、食べられるものが大分かぎられている。
朝食も受け付けられなかったので、部屋のベッドに寝転がっていた所、メイドがひとり、シルバートレイに何かを乗せて現れた。
「オトネ様。チップスをお持ちしました」
「ありがとうございます……」
メイドが持ってきたチップスは、じゃがいもを薄く切って揚げたもの。これ系はまだなんとか食べられる。母親がつわりが酷い時はフライドポテトや揚げ芋をよく食べていたと話していたのを思い出し、試しに昨日食べてみた所今まで通りに食べる事が出来たのだ。
「それでは失礼いたします」
シルバートレイの上に置かれたチップスは、白い箱のようなお皿の中に敷き詰められたペーパーの上に転がっている。お手拭きもちゃんと置かれているのはありがたい。
「いただきます」
パリッと1枚チップスを食べる。塩気は元いた世界で販売されていたものと同じくらいだけど、分厚さや食感はこっちの方が上だ。
「美味しい……」
私はそのまま全部チップスを食べてしまった。こんな時にアルグレートがいてくれたらとは思うのだけど、彼と会う回数が明らかに減っている。
理由はアルグレートはツォルグさんから私の身に何かあってはいけないので距離を取った方がいい。と言われているからなんだけど、会えないのもそれはそれでさみしい。
「アルグレート、何してるかな……」
私がこのまま子どもを産めばアルグレートとの関係が終わる。確かに元の世界に戻りたいけど、アルグレートと会えなくなるのも辛いなと考えていた。
召喚されたばかりの頃は戻りたい一心だったのに今はアルグレートと一緒にいたい気持ちもあるから本当に複雑になっている。
「どうしたらいいんだろう……」
窓から景色を眺める。外は快晴で雲ひとつない。そして青い空を鳥が数羽羽ばたいているのも見えた。
やがて外の景色を眺めるのにも飽きた私はベッドの上に大の字になり、そのまま目を閉じる。
◇ ◇ ◇
次の日の朝、この日の朝、アルグレートが医者を連れて現れた。
「君はあまり食事を口に出来ていないと聞いた。薬の強度を上げるのはどうだ?」
私は迷わずにお願いします。とアルグレート及び彼が連れてきた中年くらいの亜人の男性の医者に伝える。
「わかった。もっと早くに気がついていれば……」
「アルグレートは悪くないよ。薬が効かない事なんてよくあるから」
アルグレートがこれ以上しょんぼりしないように作り笑いを浮かべていると、彼はそうだ。と切り出す。
「今日、君が妊娠したと公表する事にする」
朝食も受け付けられなかったので、部屋のベッドに寝転がっていた所、メイドがひとり、シルバートレイに何かを乗せて現れた。
「オトネ様。チップスをお持ちしました」
「ありがとうございます……」
メイドが持ってきたチップスは、じゃがいもを薄く切って揚げたもの。これ系はまだなんとか食べられる。母親がつわりが酷い時はフライドポテトや揚げ芋をよく食べていたと話していたのを思い出し、試しに昨日食べてみた所今まで通りに食べる事が出来たのだ。
「それでは失礼いたします」
シルバートレイの上に置かれたチップスは、白い箱のようなお皿の中に敷き詰められたペーパーの上に転がっている。お手拭きもちゃんと置かれているのはありがたい。
「いただきます」
パリッと1枚チップスを食べる。塩気は元いた世界で販売されていたものと同じくらいだけど、分厚さや食感はこっちの方が上だ。
「美味しい……」
私はそのまま全部チップスを食べてしまった。こんな時にアルグレートがいてくれたらとは思うのだけど、彼と会う回数が明らかに減っている。
理由はアルグレートはツォルグさんから私の身に何かあってはいけないので距離を取った方がいい。と言われているからなんだけど、会えないのもそれはそれでさみしい。
「アルグレート、何してるかな……」
私がこのまま子どもを産めばアルグレートとの関係が終わる。確かに元の世界に戻りたいけど、アルグレートと会えなくなるのも辛いなと考えていた。
召喚されたばかりの頃は戻りたい一心だったのに今はアルグレートと一緒にいたい気持ちもあるから本当に複雑になっている。
「どうしたらいいんだろう……」
窓から景色を眺める。外は快晴で雲ひとつない。そして青い空を鳥が数羽羽ばたいているのも見えた。
やがて外の景色を眺めるのにも飽きた私はベッドの上に大の字になり、そのまま目を閉じる。
◇ ◇ ◇
次の日の朝、この日の朝、アルグレートが医者を連れて現れた。
「君はあまり食事を口に出来ていないと聞いた。薬の強度を上げるのはどうだ?」
私は迷わずにお願いします。とアルグレート及び彼が連れてきた中年くらいの亜人の男性の医者に伝える。
「わかった。もっと早くに気がついていれば……」
「アルグレートは悪くないよ。薬が効かない事なんてよくあるから」
アルグレートがこれ以上しょんぼりしないように作り笑いを浮かべていると、彼はそうだ。と切り出す。
「今日、君が妊娠したと公表する事にする」
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