ただ書きたくて書いた小説集

みつきりほ

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1話完結集

いとこの誕生日

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「うーん。」

ショッピングモールのおもちゃ屋さんで、色んなおもちゃを見ながら、俺は悩んでいた。

笑真しょうま、いいの見つかった?」

一緒に来てくれた友達の一絆かずきがそう言った。

「いや、どういうのがいいのかわからなくて。一絆、どれがいいかな?」
「いとこ、いくつなんだっけ?」
「5歳になるよ。」
「5歳の女の子か…。このおままごとセットは?」
「この間会った時に、『飽きた』って言ってたんだよなあ…。」
「そうなんだ。やっぱり、聞いた方が早くない?」
「いや、サプライズであげたいんだよ。その方が喜んでもらえるかなって思って。」
「そっか。それにしても、偉いなあ。いとこに誕生日プレゼント買ってあげるなんて。僕なんて、いとこに渡したことないよ。まあ、いとこが年上なのもあるかもしれないけどさ。」
「そうなの?」
「うん。」

一絆はそう言った。普通はそういうもんなのかな?

「あ、いたいた!」

そう言いながら現れたのは、友達の健丈けんじょうだった。

「お前、どこ行ってたの?」

一絆はそう言うと、健丈は俺らの前に何か出した。

「見て!これ、懐かしくない?俺らが小さい時に流行ってたうがい薬の変形ロボット。」
「え、何それ。」
「懐かしい!変形させたら、口からうがい薬が出てくるんだよな!」
「嫌じゃない?それ。」
「え、一絆知らないの?これ。5年前ぐらいに流行ってたんだっけ?」
「違うよ、俺が4歳の時だから…10年ぐらい前?」
「知らない。流行ってたこと知ってたとしても、これは買わない。」
「なんだよ、下から出てくるよりましだろ?」
「健丈の聞いてもっと嫌になった。」
「あれじゃない?手から出てくる方が良かったんじゃない?手からビーム的な。」

俺は一絆が思ってることを考えて、そう言った。

「あー、目から出てきても買ってるかも。目からビーム的な。」
「いや、買わねえよ。普通のうがい薬買うわ。そんなことより、笑真、誕生日プレゼント決めないとだろ?」

あー、そうだった。健丈のせいで忘れてた。

「そうだよ、こんな話してる場合じゃなかった。健丈、何でそれ持ってきたんだよ!」
「健丈の話に乗っかったのはお前だけどな。」
「あーどうしよう、早く決めないと、いとこに渡せなくなる。」
「え、今日渡すの?」

一絆はそう言った。

「ん?そうだよ?」
「「え?」」
「そりゃそうでしょ、今日誕生日何だから。」
「「え??」」

2人とも驚いている。

「え、お前のいとこ今日誕生日なの?」
「そうだよ?言ってなかったっけ?」
「え、こういうのって普通誕生日より前の日に事前に買っとかない?」
「当日買って渡した方が驚くかなって。」
「まあ、確かに驚いたよ、ある意味僕らは!」
「いとこ一緒に住んでるわけじゃないんだろ?先に買っておいてもバレないんじゃない?」
「…ごめん、健丈の言ってることよくわからなかった。」
「何でだよ!」

一絆はそう言った。当日買った方がいいと思ったんだけどなあ。

「そんなことより、早く選ばないと。あと1時間後には帰っちゃうから。いとこの家族、俺の家の近くのおばあちゃん家に今いるんだよ。」
「なら、本当に先に買っとけよって感じなんだけど…。」
「どうしよう、この前会った時『子ども向けのものには飽きたので』って言ってたんだよなあ。」
「じゃあ、お前来る店間違ってるぞ。」

一絆はそう言った。

「あ、そうだ。そのいとこのお母さんに、いとこの好きなおもちゃが何だと思うか聞いてみたら?」
「確かに。ナイスアイディアだよ健丈!」
「いとこのお母さんに聞くのはいいんだ。」
「俺のお母さんに電話すれば繋げてくれそう…。ちょっと電話してくる!」

俺は電話をし、終わった後2人のところに戻った。

「なんて言ってた?」
「なんか、意外性があるもので、ロボットものが好きだって言ってた。」
「…これじゃねーか!」

一絆は、健丈が持っているうがい薬変形ロボットを指差しながら言った。

「これ、意外性ある?」
「あるだろ!これにしろよ、笑真!」
「ごめん、これいとこ持ってるんだよね。」
「持ってるのかよ!」

結局、俺は悩みに悩んだ結果、おままごとセットを買っていとこにプレゼントした。いとこは、

「最近、ロボットもの飽きてたから助かる!」

と言いながら遊んでくれた。
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