39 / 41
少年期
#34 始まりの始まり 後編
しおりを挟む
世界は色を変えた。
大地に唐突として現れた赤黒い魔法陣により色を“変えられた”の方が正しい表現だろう。
その魔法陣により、大気は濁り、空は曇天となり、そして野鳥は鳴き叫び、空へと羽を広げる。
そして、クルシュも顔を歪ませ、狂気を孕んだ笑みを浮かべる。
そして、その整った顔立ちからは想像出来ない程の表情で空へと思いを馳せる。
「あぁ……!!この時を、この時を……僕は!!いいや!!俺は!!魂をこの勇者の器の身体に受肉されたあの日から!!この時を待っていたんだ……あぁ……あぁ、“魔王様”……アッハァ……俺は……今日、あなたのもとへ、勇者を、あの憎き最弱最強の女勇者の力を届けに参ります……俺があの少年の役を果たし……そして、もう一度、暗黒の時代を……アハ、アハハハ!!!ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
会場の人間は彼の狂気に溢れた発言を理解できず、唖然とし、口を開けている、中にはくだらない冗談だ、笑っている者すらいる。
「あなた達は我が魔王復活の為の最初の犠牲者となります……光栄に思ってくださいね」
瞬間、観客の姿はそこにはなかった、いや“観客の形をしたものはそこにはいなかった”、あるものは四肢がもぎ取られ、悲鳴を上げているものや、あるものは皮膚が焼けただれ観客席と一体化してしまっているものもいる。
会場一帯に断末魔が、蔓延し、響き渡り、そして、すべてが死を告げる。
原因はわかっている、だが、わからない、そんな魔法陣などないはずだから、誰も知り得ないから、まず、理解することを許されないから。
ただ一つわかっていること、それは、この魔法陣はただの魔法陣ではない、当たり前のことだが、むしろそれしかわからない、他を知ったとしてもすぐにその後死人と化すため意味などない。
この魔法陣はただひたすらに、そこに存在している生命という生命を蹂躙するためだけに作られた魔法陣。
生命を滅ぼすことのみを許された魔法陣。
先程までは押していたレイラも今となっては両腕を両断され、肩にはポッカリと穴が空いてしまっている。
息はしているが、意識はなく、あと数分で死に絶えることであろう。
クルシュはその体に近づき力一杯踏みつける、レイラの口から血と何かが混ざりあったものが飛び出る、声など出ない、出るものは血やぐちゃぐちゃになった臓器のみだ。
それをクルシュは歪んだ表情で何度も何度も何度も踏みつける、その顔は恍惚の表情に歪んでいる、歪んだ表情に無邪気さを孕ませたその表情はまさに狂気の具現化と言っていいだろう。
「あ~来ましたね~?レイ先輩、ターシャ先輩……あはぁ……」
そしてクルシュは新しい玩具を見つけた子供のようにカタカタと笑い続けるのだった。
大地に唐突として現れた赤黒い魔法陣により色を“変えられた”の方が正しい表現だろう。
その魔法陣により、大気は濁り、空は曇天となり、そして野鳥は鳴き叫び、空へと羽を広げる。
そして、クルシュも顔を歪ませ、狂気を孕んだ笑みを浮かべる。
そして、その整った顔立ちからは想像出来ない程の表情で空へと思いを馳せる。
「あぁ……!!この時を、この時を……僕は!!いいや!!俺は!!魂をこの勇者の器の身体に受肉されたあの日から!!この時を待っていたんだ……あぁ……あぁ、“魔王様”……アッハァ……俺は……今日、あなたのもとへ、勇者を、あの憎き最弱最強の女勇者の力を届けに参ります……俺があの少年の役を果たし……そして、もう一度、暗黒の時代を……アハ、アハハハ!!!ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
会場の人間は彼の狂気に溢れた発言を理解できず、唖然とし、口を開けている、中にはくだらない冗談だ、笑っている者すらいる。
「あなた達は我が魔王復活の為の最初の犠牲者となります……光栄に思ってくださいね」
瞬間、観客の姿はそこにはなかった、いや“観客の形をしたものはそこにはいなかった”、あるものは四肢がもぎ取られ、悲鳴を上げているものや、あるものは皮膚が焼けただれ観客席と一体化してしまっているものもいる。
会場一帯に断末魔が、蔓延し、響き渡り、そして、すべてが死を告げる。
原因はわかっている、だが、わからない、そんな魔法陣などないはずだから、誰も知り得ないから、まず、理解することを許されないから。
ただ一つわかっていること、それは、この魔法陣はただの魔法陣ではない、当たり前のことだが、むしろそれしかわからない、他を知ったとしてもすぐにその後死人と化すため意味などない。
この魔法陣はただひたすらに、そこに存在している生命という生命を蹂躙するためだけに作られた魔法陣。
生命を滅ぼすことのみを許された魔法陣。
先程までは押していたレイラも今となっては両腕を両断され、肩にはポッカリと穴が空いてしまっている。
息はしているが、意識はなく、あと数分で死に絶えることであろう。
クルシュはその体に近づき力一杯踏みつける、レイラの口から血と何かが混ざりあったものが飛び出る、声など出ない、出るものは血やぐちゃぐちゃになった臓器のみだ。
それをクルシュは歪んだ表情で何度も何度も何度も踏みつける、その顔は恍惚の表情に歪んでいる、歪んだ表情に無邪気さを孕ませたその表情はまさに狂気の具現化と言っていいだろう。
「あ~来ましたね~?レイ先輩、ターシャ先輩……あはぁ……」
そしてクルシュは新しい玩具を見つけた子供のようにカタカタと笑い続けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる