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幼年期
#13 偽りの記憶の塊
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目を開けると、目の前は白い空間で、そこには前世の記憶の映像の塊が散りばめられていた。
普通なら驚く状況だが、なんだか落ち着く雰囲気があり、驚こうにも驚けなかった。
記憶の残り方はさまざまで、ある記憶は地面に張り付き、ある記憶は空中に浮いていた。
そして俺の体も前世の中山祐也の体に戻っていた。
前世の体の重さを体感し、少し憂鬱になる。
そして、その空間を少し歩いていくと、大きなもやがかかった記憶が見つかった。
他の記憶と比べて大きく、懐かしかった。
しかし、懐かしくはあるものの俺の記憶にはそんな雰囲気がある記憶はなかった。
そして、その記憶がどうしても気になり、手を触れると周りにあるもやのようなものが、電気を発したかのようにビリッと反応する、まるで、その記憶を思い出させたくないかのように。
しかし、俺は手を突っ込み続けた、何故だかはわからないが本能がそうさせた。
そして、核のようなものに手を触れるとそれが光輝き、もやが一斉に霧散し、消え、光が俺を包み込んだ。
______________________________________
光が収まり、目を開けると、そこは遥か昔に俺が卒業した小学校だった。
そこで俺は小学校の頃の記憶が良いものしか無いことに気が付いた、悪いこともたくさんあったはずなのに…
何か大事なものがあったはずなのに…
そうしていると目の前を少年が駆けて行った、その後ろを小学生の頃の俺が追いかける。
「おい、祐也!遅れんなよ!」
「待ってよ~ハァ…幹太…くん…ハァハァ」
幹太…あっ…
そこで小学生の頃の嘘で塗り固められた幹太くんの居ない記憶が砕け散り、バラバラの正しい幹太くんとの記憶があらわになる、目の前で記憶の断片が復元され、復元しては早送りで再現される。
お揃いのヒーローのアクセサリーを幹太くんから誕生日に貰った記憶はターシャにプレゼントを貰った時と全てが酷似していた。
夕焼け、台詞、動作の全てが。
それらから昨日の涙が出たのだと確信した。
しかしそこで一つ疑問が生まれた
なんで俺は幹太くんの事を忘れてたんだ?と。
その考えに至った瞬間急に早送りが止まった。
その記憶は…幹太くん…南 幹太という俺の親友だった男の子が俺と一緒に事故にあい、俺が記憶を無くし…
幹太くんが亡くなった日、の記憶だった。
あぁ…思い出したくなかった…なんで…なんで…あのとき、手を触れずにいなければ…手を離していれば…こんな…こんなこと!!っあぁぁあぁあああァアァアアアア!!
そこであのもやの理由がわかった、あれは俺の本心だったのだ、思い出させたくない記憶を今の俺に見せないようにするシールドだったのだと。
俺は目の前で繰り広げられる記憶の光景を目の当たりにしながら俺は悔やみ、泣き叫び、発狂する。
鮮明に記憶が脳裏に焼き付けられ一生忘れられない記憶となった。
______________________________________
その日は晴天で外で遊ぶには暑すぎる夏の日だった。
俺は幹太くんを含む6人の友達と楽しくいろいろな遊びをして楽しんでいた、その友達の中には俺を虐めていた奴も居た。
だけど俺はやっぱり鈍臭くて、いつも鬼ごっこでは最後まで鬼になり、かくれんぼでは頭隠して尻隠さずをそのまま表したかのような隠れ方をしたり。
そして、どうしても上手くいかない俺を助けてくれたのが幹太くんだった、正直俺に甘すぎるの助け方もあった。
幹太くんは俺の親友でもあり憧れでもあった。
運動神経抜群で、優しくて、リーダーシップがあって、カッコ良かった。
俺にとって幹太くんの存在は大きかった。
そして、その存在は突如として俺の記憶からは抹消された。
遊び終わり、俺は幹太くんと駄弁りながら家に帰っていた帰路の途中、青信号を確認し、横断歩道を歩いていると、俺たちの歩いてる所に黒いワンボックスカーが猛スピードで突っ込んできた。
そして、反応しきれなかった俺達は車に跳ねられた。
幹太くんは突っ込んできたワンボックスカー側で歩いており、跳ねられた瞬間にボンネットとフロントガラスに体と頭を強く打ち付け、意識不明の重体となり、死亡した。
俺は跳ねられた瞬間に車の進行方向に撥ね飛ばされ右腕と左足を折り、アスファルトに転がった時に頭を打った影響で記憶を失った。
そして、意識が戻ってからは嘘の話で頭が一杯になった、どれも楽しい記憶ばかりで、とても楽しみながら話を聞いた。
もちろん、その話には幹太くんは登場しなかった、きっと息子の俺が罪悪感に捕らわれないため、と親が気を使って言わなかったんだろうと思う。
そして、間違いの記憶を植え付けられた状態で29歳まで生き、親に毒殺された。
______________________________________
今思うと変な所がたくさんあった、ある一定の日にちだけ親が親戚は遠いところに居るのに近くの墓地に墓参りに行ったり、友達と話が噛み合わなかったり。
憎いアイツらが俺を虐めた理由も今ならわかる、きっと幹太くんが死んで、俺が生きていたからだろう。
そしてそのことにキレて俺を虐めて笑っていた…と。
全ての辻褄が綺麗に歯車のように組み合わさり全てを形作っていく。
忘れたい、忘れたい、と何度も口に出して自分の頭を殴るが、完全に脳裏に焼き付いた記憶は剥がれてくれない。
そんなとき白い空間にこんな声が響いた。
「忘れんなよ!!これは俺とお前だけのヤクソクだ!!」
「うん!ヤクソク!!」
ヤクソクの内容の記憶が綺麗に切り取られており、全くといっていいほど思い出せない。
そして、一時止まっていた涙がまた頬をツッーと伝った。
ヤクソク…約束ってなんだったっけ…ごめん…幹太くん…俺、忘れちゃったよ。
そして、そんなことを言ったとき、俺の視界はブラックアウトした。
______________________________________
目を覚ますと、ベッドのシーツは涙でグッショリと濡れていた。
目頭が痛い、泣きすぎで目が腫れているようだ。
体を起こすと、まだ外は暗く、調度朝日が昇るところだった。
「そっか…今日魔法祭か…」
俺は素早く顔を洗い、最近サボり気味だった早朝ランニングに出掛けた、古い懐かしい記憶を胸に。
普通なら驚く状況だが、なんだか落ち着く雰囲気があり、驚こうにも驚けなかった。
記憶の残り方はさまざまで、ある記憶は地面に張り付き、ある記憶は空中に浮いていた。
そして俺の体も前世の中山祐也の体に戻っていた。
前世の体の重さを体感し、少し憂鬱になる。
そして、その空間を少し歩いていくと、大きなもやがかかった記憶が見つかった。
他の記憶と比べて大きく、懐かしかった。
しかし、懐かしくはあるものの俺の記憶にはそんな雰囲気がある記憶はなかった。
そして、その記憶がどうしても気になり、手を触れると周りにあるもやのようなものが、電気を発したかのようにビリッと反応する、まるで、その記憶を思い出させたくないかのように。
しかし、俺は手を突っ込み続けた、何故だかはわからないが本能がそうさせた。
そして、核のようなものに手を触れるとそれが光輝き、もやが一斉に霧散し、消え、光が俺を包み込んだ。
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光が収まり、目を開けると、そこは遥か昔に俺が卒業した小学校だった。
そこで俺は小学校の頃の記憶が良いものしか無いことに気が付いた、悪いこともたくさんあったはずなのに…
何か大事なものがあったはずなのに…
そうしていると目の前を少年が駆けて行った、その後ろを小学生の頃の俺が追いかける。
「おい、祐也!遅れんなよ!」
「待ってよ~ハァ…幹太…くん…ハァハァ」
幹太…あっ…
そこで小学生の頃の嘘で塗り固められた幹太くんの居ない記憶が砕け散り、バラバラの正しい幹太くんとの記憶があらわになる、目の前で記憶の断片が復元され、復元しては早送りで再現される。
お揃いのヒーローのアクセサリーを幹太くんから誕生日に貰った記憶はターシャにプレゼントを貰った時と全てが酷似していた。
夕焼け、台詞、動作の全てが。
それらから昨日の涙が出たのだと確信した。
しかしそこで一つ疑問が生まれた
なんで俺は幹太くんの事を忘れてたんだ?と。
その考えに至った瞬間急に早送りが止まった。
その記憶は…幹太くん…南 幹太という俺の親友だった男の子が俺と一緒に事故にあい、俺が記憶を無くし…
幹太くんが亡くなった日、の記憶だった。
あぁ…思い出したくなかった…なんで…なんで…あのとき、手を触れずにいなければ…手を離していれば…こんな…こんなこと!!っあぁぁあぁあああァアァアアアア!!
そこであのもやの理由がわかった、あれは俺の本心だったのだ、思い出させたくない記憶を今の俺に見せないようにするシールドだったのだと。
俺は目の前で繰り広げられる記憶の光景を目の当たりにしながら俺は悔やみ、泣き叫び、発狂する。
鮮明に記憶が脳裏に焼き付けられ一生忘れられない記憶となった。
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その日は晴天で外で遊ぶには暑すぎる夏の日だった。
俺は幹太くんを含む6人の友達と楽しくいろいろな遊びをして楽しんでいた、その友達の中には俺を虐めていた奴も居た。
だけど俺はやっぱり鈍臭くて、いつも鬼ごっこでは最後まで鬼になり、かくれんぼでは頭隠して尻隠さずをそのまま表したかのような隠れ方をしたり。
そして、どうしても上手くいかない俺を助けてくれたのが幹太くんだった、正直俺に甘すぎるの助け方もあった。
幹太くんは俺の親友でもあり憧れでもあった。
運動神経抜群で、優しくて、リーダーシップがあって、カッコ良かった。
俺にとって幹太くんの存在は大きかった。
そして、その存在は突如として俺の記憶からは抹消された。
遊び終わり、俺は幹太くんと駄弁りながら家に帰っていた帰路の途中、青信号を確認し、横断歩道を歩いていると、俺たちの歩いてる所に黒いワンボックスカーが猛スピードで突っ込んできた。
そして、反応しきれなかった俺達は車に跳ねられた。
幹太くんは突っ込んできたワンボックスカー側で歩いており、跳ねられた瞬間にボンネットとフロントガラスに体と頭を強く打ち付け、意識不明の重体となり、死亡した。
俺は跳ねられた瞬間に車の進行方向に撥ね飛ばされ右腕と左足を折り、アスファルトに転がった時に頭を打った影響で記憶を失った。
そして、意識が戻ってからは嘘の話で頭が一杯になった、どれも楽しい記憶ばかりで、とても楽しみながら話を聞いた。
もちろん、その話には幹太くんは登場しなかった、きっと息子の俺が罪悪感に捕らわれないため、と親が気を使って言わなかったんだろうと思う。
そして、間違いの記憶を植え付けられた状態で29歳まで生き、親に毒殺された。
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今思うと変な所がたくさんあった、ある一定の日にちだけ親が親戚は遠いところに居るのに近くの墓地に墓参りに行ったり、友達と話が噛み合わなかったり。
憎いアイツらが俺を虐めた理由も今ならわかる、きっと幹太くんが死んで、俺が生きていたからだろう。
そしてそのことにキレて俺を虐めて笑っていた…と。
全ての辻褄が綺麗に歯車のように組み合わさり全てを形作っていく。
忘れたい、忘れたい、と何度も口に出して自分の頭を殴るが、完全に脳裏に焼き付いた記憶は剥がれてくれない。
そんなとき白い空間にこんな声が響いた。
「忘れんなよ!!これは俺とお前だけのヤクソクだ!!」
「うん!ヤクソク!!」
ヤクソクの内容の記憶が綺麗に切り取られており、全くといっていいほど思い出せない。
そして、一時止まっていた涙がまた頬をツッーと伝った。
ヤクソク…約束ってなんだったっけ…ごめん…幹太くん…俺、忘れちゃったよ。
そして、そんなことを言ったとき、俺の視界はブラックアウトした。
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目を覚ますと、ベッドのシーツは涙でグッショリと濡れていた。
目頭が痛い、泣きすぎで目が腫れているようだ。
体を起こすと、まだ外は暗く、調度朝日が昇るところだった。
「そっか…今日魔法祭か…」
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