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幼年期
#21 ユートピアと休みの終わり
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教会。
そこはまさに男の欲望の詰まった、ユートピアだった。
ベッドに横たわり、治癒魔法をかけられている俺の目の前に広がる、バインバイン、と体が動くたびに柔らかく揺れる大きな山脈、ブロンドのキレイな髪、そしてそれを隠すかのように着用されている神官服、それがさらにエロスを掻き立てる。
父さん、母さん、ここに天国はあったんです、あったんですよ。
ぐへへぐへへへへ、とつい涎と共に声が漏れてしまいそうになるが、なんとか抑え込む。
バレてないよな?、とシスターの顔を伺うと俺の視線に気がついたのかニコッと笑って笑顔を見せる。
「痛いところが御座いますか?」
「いぇ~ないですぅ~」
今、僕はあなたのお胸のおかげで痛いところなんて考えられません~
俺がそう答えると、シスターの人は満面の笑みを浮かべこう俺に告げた。
「そうですか!それはもうすぐ治療が終わるという証拠ですね!良かったです!」
え?それは困る、治療が終わるということはこの天国のような風景を見られなくなるということ、それは困る。
あれ?あれれ?なんか、脇腹らへんが痛くなってきたぞ~これは治療してもらわないとなぁ~
「あのぅ……ちょっと脇腹らへんが痛くなってきましたぁ」
「本当ですか!?それは大変です!他の治癒員と交代しますね!」
ん?コウタイ?交代?え、お姉さんじゃなくなるの!?ヤダ、小生やだ!
バインバイン、と胸を揺らしお姉さんが呼んできたのは、いかにもベテラン、っていうかお婆ちゃんだった。
「どれどれ……私に見せてみなされ……」
「は、はい……」
いや!いやだ!小生いや!こんなお婆ちゃんに体触られても嬉しくない!いやぁああぁあぁぅあぁ!!
________________________________________________
あれから小一時間、お婆ちゃんの治療をうけた。
粉微塵も嬉しくなかった、きっと俺の顔は腐食種の、腐った顔よりひどい顔をしていただろう。
それはそうとして、治療のおかげで全回復した。
「ん~!全快!!」
気分は少々優れなかったが、最初のお姉さんのことを思い出すと、みるみる良くなった。
身体の方はこれまでの調子と比べるととても良くなり、骨や筋肉に溜まっていた疲れが抜けたおかげか、とても気持ちが良い。
それにしても、まさか教会がこんなにも素晴らしいおっぱいパラダイスだったとは……まぁ貧乳も居たが美人だったため良しとしよう。
……また大怪我でもして来れたらいいなぁ……
と、とても不純な事を考えながらターシャたちの待つ入り口に向かう、二人共切り傷とか打撲とかの軽い怪我だけで良かった、まぁ今回は防具を着込んでいかなかった俺が悪いんだけど。
「いやぁ待たせた?」
「ほんの少しね、でも大丈夫だよ」
「そうか」
俺は軽くターシャにそう返事をし、ミダムに向き直る。
「ミダムさん今回はありがとうございました」
「いえ、こちらこそあんなトラップがあるとは露知らず……申し訳御座いません、主人様になんと顔向けしたら良いか」
「相応の罰は与えられるかもしれませんが、そのときはそのときですね、頑張って下さい」
ミダムはあからさまに落ち込んでしまっている。
ドンマイ、あれは誰も気付かないさ、しょうがない。
俺がそうミダムを励ましていると、レック君が話しかけてきた。
「レイお兄ちゃん、僕……ダメ……だったかな?」
その瞳には涙が溜まっている。
俺は今回、彼に助けられた、勿論駄目なんかじゃない、むしろ、諦めない彼の姿勢は称賛するべきだ。
「レック君、君は俺なんかより何倍も、何十倍も強い、正直穴に飲み込まれたときに俺は諦めた、でも君は諦めなかった、それは誇るべきだ」
「でも、あれはガムシャラで……」
「それが凄いんだ、誰もができるわけじゃない、だから自信を持って、そうじゃないと俺は自信のない君を怒りたくなってしまう、だから、ね?」
「う、うん!自信持つ!」
「だけど」
「だけど?」
「自信を持つのと調子にのる、っていうのは全く違うから、気をつけてね?」
「うん!」
正直意味はわかっていないだろうが、少しは楔代わりになるだろう。
そうして、天国と地獄が混在した一日は幕を閉じた。
_________________________________________________
それからまた同じ生活リズムの時間は過ぎていき、ついに別れの日が来た。
「皆さん、父さん、母さん、ミサ姉さん、お世話になりました」
俺がそう言うと姉さんが抱きついてきた。
「……姉さん、別れのときに毎回されると……なんというか……」
「良いの」
自分の言葉が全否定され、俺は口をつぐむ。
俺がハグされている間にターシャが挨拶を済ませる。
「本当に何処の馬の骨かもわからない私を招待して下さりありがとうございました」
「いえいえ、それにターシャ君にはまたレックを助けてもらったのでね、また来年も来るといい、勿論レイ君も」
「ありがとうございます」
ターシャの挨拶が終わったところでやっと俺は解放される。
「それでは」
俺とターシャは礼儀正しく礼をし、馬車に乗り込む。
「帰りもよろしくお願いします、ミダムさん」
あれから昨日までミダムはこの辺境の地から街まで馬車で行き、買い出しをしては、別荘に戻り、仮眠をとっては、街へ出掛けるという、軽いようで恐ろしく重い罰を受けた。
しかし、今日は送迎があるためか、しっかり寝させてもらえたようで、目の下のクマは目立つものの、顔色は良く、昨日のようにやつれてはいなかった。
若干人間の回復スピードではない気もするが、送ってもらうのだから気にしない、気にするべきだが気にしない。
今回の一連の出来事、すべてミダムに世話になった、ここで、礼を言おう。
「あの、ミダムさん、今回はお世話になりました、ミダムさんが居なかったら正直俺達死んでましたし」
「いえいえ、礼に及ぶことは何もしていませんよ」
するとミダムはなんだかバツの悪そうな顔をする、何故だろうか、助けたのはミダムのはずなのに……俺変なこと言ったかな?
そうして俺の避暑休みは終わりを告げた。
そこはまさに男の欲望の詰まった、ユートピアだった。
ベッドに横たわり、治癒魔法をかけられている俺の目の前に広がる、バインバイン、と体が動くたびに柔らかく揺れる大きな山脈、ブロンドのキレイな髪、そしてそれを隠すかのように着用されている神官服、それがさらにエロスを掻き立てる。
父さん、母さん、ここに天国はあったんです、あったんですよ。
ぐへへぐへへへへ、とつい涎と共に声が漏れてしまいそうになるが、なんとか抑え込む。
バレてないよな?、とシスターの顔を伺うと俺の視線に気がついたのかニコッと笑って笑顔を見せる。
「痛いところが御座いますか?」
「いぇ~ないですぅ~」
今、僕はあなたのお胸のおかげで痛いところなんて考えられません~
俺がそう答えると、シスターの人は満面の笑みを浮かべこう俺に告げた。
「そうですか!それはもうすぐ治療が終わるという証拠ですね!良かったです!」
え?それは困る、治療が終わるということはこの天国のような風景を見られなくなるということ、それは困る。
あれ?あれれ?なんか、脇腹らへんが痛くなってきたぞ~これは治療してもらわないとなぁ~
「あのぅ……ちょっと脇腹らへんが痛くなってきましたぁ」
「本当ですか!?それは大変です!他の治癒員と交代しますね!」
ん?コウタイ?交代?え、お姉さんじゃなくなるの!?ヤダ、小生やだ!
バインバイン、と胸を揺らしお姉さんが呼んできたのは、いかにもベテラン、っていうかお婆ちゃんだった。
「どれどれ……私に見せてみなされ……」
「は、はい……」
いや!いやだ!小生いや!こんなお婆ちゃんに体触られても嬉しくない!いやぁああぁあぁぅあぁ!!
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あれから小一時間、お婆ちゃんの治療をうけた。
粉微塵も嬉しくなかった、きっと俺の顔は腐食種の、腐った顔よりひどい顔をしていただろう。
それはそうとして、治療のおかげで全回復した。
「ん~!全快!!」
気分は少々優れなかったが、最初のお姉さんのことを思い出すと、みるみる良くなった。
身体の方はこれまでの調子と比べるととても良くなり、骨や筋肉に溜まっていた疲れが抜けたおかげか、とても気持ちが良い。
それにしても、まさか教会がこんなにも素晴らしいおっぱいパラダイスだったとは……まぁ貧乳も居たが美人だったため良しとしよう。
……また大怪我でもして来れたらいいなぁ……
と、とても不純な事を考えながらターシャたちの待つ入り口に向かう、二人共切り傷とか打撲とかの軽い怪我だけで良かった、まぁ今回は防具を着込んでいかなかった俺が悪いんだけど。
「いやぁ待たせた?」
「ほんの少しね、でも大丈夫だよ」
「そうか」
俺は軽くターシャにそう返事をし、ミダムに向き直る。
「ミダムさん今回はありがとうございました」
「いえ、こちらこそあんなトラップがあるとは露知らず……申し訳御座いません、主人様になんと顔向けしたら良いか」
「相応の罰は与えられるかもしれませんが、そのときはそのときですね、頑張って下さい」
ミダムはあからさまに落ち込んでしまっている。
ドンマイ、あれは誰も気付かないさ、しょうがない。
俺がそうミダムを励ましていると、レック君が話しかけてきた。
「レイお兄ちゃん、僕……ダメ……だったかな?」
その瞳には涙が溜まっている。
俺は今回、彼に助けられた、勿論駄目なんかじゃない、むしろ、諦めない彼の姿勢は称賛するべきだ。
「レック君、君は俺なんかより何倍も、何十倍も強い、正直穴に飲み込まれたときに俺は諦めた、でも君は諦めなかった、それは誇るべきだ」
「でも、あれはガムシャラで……」
「それが凄いんだ、誰もができるわけじゃない、だから自信を持って、そうじゃないと俺は自信のない君を怒りたくなってしまう、だから、ね?」
「う、うん!自信持つ!」
「だけど」
「だけど?」
「自信を持つのと調子にのる、っていうのは全く違うから、気をつけてね?」
「うん!」
正直意味はわかっていないだろうが、少しは楔代わりになるだろう。
そうして、天国と地獄が混在した一日は幕を閉じた。
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それからまた同じ生活リズムの時間は過ぎていき、ついに別れの日が来た。
「皆さん、父さん、母さん、ミサ姉さん、お世話になりました」
俺がそう言うと姉さんが抱きついてきた。
「……姉さん、別れのときに毎回されると……なんというか……」
「良いの」
自分の言葉が全否定され、俺は口をつぐむ。
俺がハグされている間にターシャが挨拶を済ませる。
「本当に何処の馬の骨かもわからない私を招待して下さりありがとうございました」
「いえいえ、それにターシャ君にはまたレックを助けてもらったのでね、また来年も来るといい、勿論レイ君も」
「ありがとうございます」
ターシャの挨拶が終わったところでやっと俺は解放される。
「それでは」
俺とターシャは礼儀正しく礼をし、馬車に乗り込む。
「帰りもよろしくお願いします、ミダムさん」
あれから昨日までミダムはこの辺境の地から街まで馬車で行き、買い出しをしては、別荘に戻り、仮眠をとっては、街へ出掛けるという、軽いようで恐ろしく重い罰を受けた。
しかし、今日は送迎があるためか、しっかり寝させてもらえたようで、目の下のクマは目立つものの、顔色は良く、昨日のようにやつれてはいなかった。
若干人間の回復スピードではない気もするが、送ってもらうのだから気にしない、気にするべきだが気にしない。
今回の一連の出来事、すべてミダムに世話になった、ここで、礼を言おう。
「あの、ミダムさん、今回はお世話になりました、ミダムさんが居なかったら正直俺達死んでましたし」
「いえいえ、礼に及ぶことは何もしていませんよ」
するとミダムはなんだかバツの悪そうな顔をする、何故だろうか、助けたのはミダムのはずなのに……俺変なこと言ったかな?
そうして俺の避暑休みは終わりを告げた。
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