異世界では悔いの残らないよう頑張ります!!

建月 創士

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幼年期

#26 弟子なんて取ってない

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 トーナメントは俺とターシャの二年連続優勝で幕を下ろした。

 今、俺達は閉会式が終わり、教室に戻ろうとしている所だ。
 今年は残念なことにターシャとは同じクラスではなく、別のクラスだ、そしてもっと残念なことにニム兄さんはそのまま持ち上がりで俺のクラスの担任になった。
 はぁ……と深いため息をつくとなんだか気持ちが楽になるような気がしたが全くと言っていいほど楽にはならなかった。

 今度は仕事ちゃんとやってくれるのか、とそんなことを考えていると、歩く俺達二人の前に立ちふさがる影があった。
 すわっ、と少し身構えるがそれは二つの理由から数秒もしないうちに意味の無い動きとなった。
 一つ目の理由、影の正体はクルシュとレイラだったから。
 そしてニつ目、二人は俺とターシャの姿を見た瞬間に手を合わせお願いをするようなポーズを取り、頭を下げたからだ。
 その状態で彼らはこう言った。

「「僕(私)を弟子にしてください!」」

 そこに無音の間が訪れる。
 俺とターシャは状況がうまく整理できず少し戸惑うが、無理、とすぐに断る。
 すると彼らはまた諦めていないのか俺たち二人にすり寄ってくる。

「そこをどうか……お願いしますよぅ」
「嫌だよ、こっちだって忙しいんだ」

 俺はまだ鍛冶の鍛錬やその他諸々のやることがあり時間がない、だから、はい良いですよ、などと軽く二つ返事で弟子を取れる余裕なんてあるはずが無い。
 そういうことだから諦めてね、と言おうとしたときにターシャが割り込んできた。

「弟子か~良いじゃん!私はいいよ!」

 oh……そうだった、そうだったよ暇なやつが横にいたわ。
 
「……まぁターシャ頼むわ」
「頼まれた!」

 俺がターシャに頼むとえっへんと彼女は胸を張る。
 大丈夫かなぁ……?、と一抹の不安を抱えていると、俺の新教室に着いた。
 俺とターシャの、ではなく、俺の、だ。
 今年はターシャとは同じクラスではなく違うクラスとなった。
 
「俺ここだから、後でな」
「あ、うん」

 ターシャたちと別れ、俺は教室に入る。
 すると俺を出迎えたのはクルーゼを含め多数のクラスメイト。
 その殆どが祝福の言葉やトーナメントのときのことへの追求だった。
 ……といってもクルーゼは後ろで俺の様子を見てわらっているだけだが。
 うむうむ、苦しゅうない苦しゅうない。

 俺がクラスメイトの対応をしていると、後ろからニム兄さんの声がした。

「はいはい、集まってないで座れ~」

 その声を聞いてか俺の周りからクラスメイトが離れていく。
 だいぶ離れていった頃俺は自分の席に座り、兄さんの方を向く。
 
「とりあえず、レイ、おめでとう、朝のHRを始めます」
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