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回想➀
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最後の宴をそっと抜け出した
もうない明日を思って空元気を出すみんなを
見ていられなくなったから
城の窓枠に腰掛けて外を眺めた
明日にはもうここも炎に包まれるのだろう
『せっかく‥』
『せっかく私たちが栄えさせたのに、だろ
合っているか?』
振り返るとリュデウスがグラスを持って立っていた
こくりとうなづくとグラスを受け取る
リュデウスは近くの壁にもたれた
『分かるなぁ‥俺たちがどれだけ苦労してあの痩せた土地と諦めてた民をここまで持ち堪えさせたか‥あいつらはなーんにも知らんぷりして踏み荒らしに来るんだ』
『‥‥‥』
『カストール‥お前明日の戦へどれだけの情報持ってる』
『兵力の差は少なくとも10倍』
『ああ、そうだ
指揮は誰がとっているかは?』
『どうせアスタだろう』
『その通りだ
あいつもよく飽きもしないで‥』
苦笑してグラスを傾ける横顔を見つめる
こいつも私も明日死ぬのだろう
リュデウスは浅黒い肌とさらさらの黒髪、強い意思を宿した瞳は夜明け前の空の色
カストールは陶器のような白肌と少し癖のある茶髪、思慮深げな瞳は澄んだ空の色
顔の造形は似通っていたが、双子のくせして全然似てないとよく揶揄われる姿
明日にはこの2つの首が敵将たち、そしてアスタの前に並ぶのだ
『‥カスト、不安か?』
『こんな勝ち目のない戦は初めてだからな』
『そうだよなあ
10倍の兵力でこの国を潰すことだけが目的‥
その上指揮はアスタときた
どっからどう見ても死に戦じゃねえか』
不意にリュデウスに髪をわしゃわしゃと撫でられて愛おしそうに見つめられる
『‥‥っああ、死にたくないな
俺はずっとお前と生きていたかったよ』
いつも冷静なカストールの唇が震えた
『ばか
私もだよ』
『リュデウス‥私は、ずっとこの国の民とこの城の連中とお前と過ごせるだけの未来が欲しかった
他には何も要らなかった
みんな‥やっと笑ってくれるようになったのにな‥
私は当たり前の日常が続かないなんて‥考えたこと、なかった』
泣いてるように笑うカストールの肩を慰めるように叩いた
『俺だってその未来を信じていたさ‥
大丈夫、ずっと一緒だ
黄泉でも地獄でも良い
一緒にいこう』
リュデウスの声が響いて落ちた
もうない明日を思って空元気を出すみんなを
見ていられなくなったから
城の窓枠に腰掛けて外を眺めた
明日にはもうここも炎に包まれるのだろう
『せっかく‥』
『せっかく私たちが栄えさせたのに、だろ
合っているか?』
振り返るとリュデウスがグラスを持って立っていた
こくりとうなづくとグラスを受け取る
リュデウスは近くの壁にもたれた
『分かるなぁ‥俺たちがどれだけ苦労してあの痩せた土地と諦めてた民をここまで持ち堪えさせたか‥あいつらはなーんにも知らんぷりして踏み荒らしに来るんだ』
『‥‥‥』
『カストール‥お前明日の戦へどれだけの情報持ってる』
『兵力の差は少なくとも10倍』
『ああ、そうだ
指揮は誰がとっているかは?』
『どうせアスタだろう』
『その通りだ
あいつもよく飽きもしないで‥』
苦笑してグラスを傾ける横顔を見つめる
こいつも私も明日死ぬのだろう
リュデウスは浅黒い肌とさらさらの黒髪、強い意思を宿した瞳は夜明け前の空の色
カストールは陶器のような白肌と少し癖のある茶髪、思慮深げな瞳は澄んだ空の色
顔の造形は似通っていたが、双子のくせして全然似てないとよく揶揄われる姿
明日にはこの2つの首が敵将たち、そしてアスタの前に並ぶのだ
『‥カスト、不安か?』
『こんな勝ち目のない戦は初めてだからな』
『そうだよなあ
10倍の兵力でこの国を潰すことだけが目的‥
その上指揮はアスタときた
どっからどう見ても死に戦じゃねえか』
不意にリュデウスに髪をわしゃわしゃと撫でられて愛おしそうに見つめられる
『‥‥っああ、死にたくないな
俺はずっとお前と生きていたかったよ』
いつも冷静なカストールの唇が震えた
『ばか
私もだよ』
『リュデウス‥私は、ずっとこの国の民とこの城の連中とお前と過ごせるだけの未来が欲しかった
他には何も要らなかった
みんな‥やっと笑ってくれるようになったのにな‥
私は当たり前の日常が続かないなんて‥考えたこと、なかった』
泣いてるように笑うカストールの肩を慰めるように叩いた
『俺だってその未来を信じていたさ‥
大丈夫、ずっと一緒だ
黄泉でも地獄でも良い
一緒にいこう』
リュデウスの声が響いて落ちた
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