「三条美玲の炎上」スピンオフ・田中翔の業務日誌

中岡 始

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2024年5月8日

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2024年5月8日

連休明けの青海の宿は、いつもとは違う特別な空気に包まれていた。ゴールデンウィークが終わり、館内は一旦落ち着きを取り戻したものの、今日の宿泊客には特別なVIPゲストが含まれている。ファッションインフルエンサーであり、モデルとしても人気の高い三条美玲様が、プライベートでの滞在を予定しているのだ。チェックインの際にフロントで対応するのは、隼人だ。

隼人とは同期入社であり、入社以来ずっと一緒にフロントで働いてきた。お互いに信頼し合い、チームとして補い合う関係だ。隼人は青海の宿でも特に評判の高いフロントスタッフで、その落ち着いた接客態度や細やかな気遣いには、常に感心させられる。美玲様のようなVIPゲストに対しても、隼人なら完璧なホスピタリティを提供するだろうと思っていた。

午後3時、美玲様がチェックインのためにフロントに現れた。長い髪を整え、上品で洗練された佇まいは、まさに雑誌やSNSで見る通りの姿だ。その美しさには息をのむものがあったが、プロフェッショナルとして、冷静に対応しなければならない。隼人はいつも通りの落ち着いた笑顔で、「お待ちしておりました、三条様。ようこそ青海の宿へ」と丁寧に迎えた。

隼人の対応を見ながら、私は彼の横で業務を補佐する。チェックインの手続きを進める中で、美玲様の視線が時折隼人を追いかけていることに気づいた。特に目立った動きではなかったが、その小さな仕草からは、すでに隼人への関心が見て取れる。今はまだ単なる気のせいかもしれないが、私はなぜか一抹の不安を覚えていた。
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