勇者太郎の冒険【小説版】

ヨシダ

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~第三章~

第16話 こわいぞ!女戦士クラス

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パーティーへ加入してくれる仲間をスカウトする為戦士クラスへとやって来た太郎。
しかし太郎が来た教室は、男の戦士ではなく女戦士のクラスであった。
ダサい、弱そう、かっこ悪いの三拍子で見事女戦士に舐められていた太郎であったが、どうも太郎の名を聞いた途端女子達の様子が変わったように思える。
女戦士クラスの少女一人が声を上げた。

「まさかあんた、あの武田・ゴンザレス・Jrに勝ったという……あの勇者太郎イサモノタロウ!?」

どうやら先日の勝負がほかのクラスでも噂になっているようだ。

「えっ?あの武田くんが!?あの『抱かれたい勇者ランキング』一位の武田くんがこんなのに負けたの!?」

このクラスの女子共は随分と邪なランキングを作っているようだ。

「えっ?抱っこされたいの?ゴンザレス力持ちだもんね」

太郎はと言うとなにやら素っ頓狂な感想を述べている。違う、そうじゃない。

金髪少女は改めて太郎を値踏みするような目で見つめ、高飛車に言い放った。

「ふうん、という事はあんた、結構強いのね」

「強くないよー」

本当に強くない。ただの偶然が産んだ勝利だったのだから。

「いい?私たち女戦士はね、自分より弱い勇者にはついて行かないの。実際に戦い自分よりも強い勇者と認めた相手について行くのよ」

「あの~、そもそも俺達間違えちゃっただけで、あなた方をスカウトしに来たわけじゃないんですよう」

なにやら話が間違った方向へ進みそうなので、太郎は角を立てないように説明をした。
ところが女戦士たちの口からは全く見当違いな返事が返ってきた。

「なによ!そんな嘘ついて、私達と戦うのが怖いのね!」

(何故そうなる?)

それどころか女戦士たちは口々に太郎を罵倒し、もうケチョンケチョンである。

「そもそもあいつが武田くんに勝ったのも怪しいわよね」

「何かの間違いじゃない?弱そうだし」

またもや言い返せない太郎は涙目で呟いた。

「集団の女子はモンスターより怖いよ……」

この空気に耐えられなくなった太郎は、安倍に声を掛けて教室から出ようとした。しかし、余りにも馬鹿にされたせいで、安倍の闘争心に火が点いてしまったようである。

「お前ら上等じゃねえか!おい太郎!この際仲間とかはどうでもいいからこの女ども泣かせたれ!」

「はあ!?」

喧嘩っ早い安倍はすっかり女戦士達相手に戦う気満々である。それはいいとして、何故お前が戦わず太郎に戦わせようとするのか。

「おいブス共!今から太郎がお前らをボコボコにするからな!」

安倍の売り言葉に女戦士は買い言葉。

「フン!やれるもんならやってみなさいよ!」

そして太郎はますます涙目で安倍を責めるのであった。

「ちょっと!安倍!お前はなんちゅう事を言ってくれたんじゃ……」

「だって言われっぱなしで悔しいじゃんよー」

それならお前が戦えよ……。

「わかったわ、それなら勇者太郎イサモノタロウ。私達と勝負よ!」

すっかり女戦士達を敵に回してしまった太郎は、(いや大体は安倍のせいだけど)このおっかない女戦士達と戦う羽目になってしまった。
なにがおっかないってこの女戦士達、勝負が始まる前から太郎にメンタル攻撃を仕掛けてくる。

「大体あんな奴がこの学校に居る事自体間違ってるのよ、身の程知らずもいいところよね」

「武田くんに勝ったっていうのも自分ででっち上げた嘘じゃない?ありえないもの」

「この生き恥さらし!」

「死ねばいいのに!」

まさしく女の嫌な部分を凝縮したように、太郎は悪口でネチネチと攻められた。

「もうやめてェ!」

豆腐メンタルの太郎はいじめられて泣き出しそうである。

「ったく、集団になると強気なのは女の七不思議だな。おいガサツ女共、うちの太郎をいじめてんじゃねえよ!」

かばってくれるのはありがたいが、そもそも安倍が火に油を注いだせいで勃発したようなものである。

「なによガサツって!私達の女子力馬鹿にしないでよ!」

女戦士達は口々に反論する。今の段階では勇者対女戦士と言うより、安倍対女戦士集団の口喧嘩のようだ。

「けっ、なーにが女子力じゃ」

「今日だってアロマキャンドル焚いて原宿のポップコーン食べながら女子会するんだもん!」

「なんだそのオッサンが女性誌で得たような女子会のイメージは……。とにかく太郎!ほれ行け!GO!」

「やだよぉ、女の子となんて戦えないよ」

ヘタレな太郎だが一応その辺りはわきまえている紳士のようだ。

「ていうかそもそも安倍が戦えばいいじゃん!お前僧侶の癖に魔法バリバリ使えるくらい強いんだしさ!」

安倍は確かに僧侶だが、いわゆる白魔法を駆使する回復役ではなくバリバリの攻撃タイプである。僧侶って一体。

「ヤだよ人間は。モンスターは殺せるけど人間は恨まれるだろ」

「お前はいつも口ばっかりだよ……。やるのはいつも俺……」

太郎の愚痴など聞きもせず、安倍は再び女戦士に啖呵を切る。

「という事で勝負だ!女共!」(太郎と)

金髪少女がそれに答える。

「いいわ、じゃあこっちも代表者を決めてあげる。一対一で勝負よ!」

「や、やっぱり戦わなくちゃダメ?」

すでに戦う前からメンタルがボロボロの太郎だったが、いよいよ女戦士と戦う羽目になってしまった。
一体太郎の勝負はどうなってしまうのだろうか……。

【つづく】
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