勇者太郎の冒険【小説版】

ヨシダ

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~第三章~

第17話 女戦士・富子登場

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話の流れで女戦士と戦う事になってしまった太郎。女戦士クラスからは代表者が選ばれる事になった。

「ねー誰が行く?」

「私やりたーい」

女子達はまるで遊びにでも行くかのようなテンションで話し合っている。
それにしても、こんなに可愛らしい(しかも際どいビキニを着ている)女の子と戦わなくちゃいけないのか……。

「や、やっぱ無理だよぅ。女の子と戦うなんて……」

と言いつつちょっと嬉しそうである。
その時、一人の少女が名乗りを上げた。

「あたしが行くわ!」

少女の名乗り出に女戦士達も一斉に盛り上がる。

「富子ちゃん!うちのクラスで一番可愛くて強い富子ちゃんが行くのね!」

「えっ?可愛くて強い!?」

可愛いの一言にますます嬉しそうな太郎。お前って奴は……。

少女たちの間を縫って、その可愛くて強いとか言う少女が太郎の前に立ちはだかった。

「あたしがこのクラスで一番可愛くて強い……マンモス富子よ!」

そこに居たのは……まあ、なんというか、うん。非常に豊満な、肉感的な、グラマラスな……。
すまない、つまるところデブ。彼女、マンモス富子は非常にぽっちゃりとしたマシュマロボディな女子だったのだ。

「嘘吐けーっ!どこが可愛いんじゃーっ!詐欺じゃねーかーっ!」

あまりのショックに激怒した安倍は歯に一切の衣を着せず罵声を飛ばした。余程むかついたのだろう。

「ふふん、あたしのグラマーでキュートな姿に驚いたようね」

一方富子は今の罵声が全く聞こえていなかったのか、腹の脂肪を揺らしながら高慢に言い放っている。
ポジティブなのか勘違いなのかわからんが、この女自分をいけてる女子だと思い込んでいるらしい。

「俺は今目に映る脂肪過多人間の常軌を逸したフォルムに驚いている」

安倍は相変わらず辛辣な言葉で富子を罵倒し続ける。いつにも増して歯がヘアヌードな男である。

「あぁー!?なんだってー!?もういっぺん言ってみろやーっ!?」

流石に今の言葉は聞こえたようで、富子は安倍にメンチを切った。

「何度でも言ってやらーこの肉塊がーっ!てめぇはグラマーじゃなくてデブなんだよ!デブ!」

安倍の言葉を聞き女戦士達は口を揃えて反論する。

「ひっどーい、富子ちゃんのどこがデブなのよ」

「富子ちゃん全然痩せてるのにー」

全方向どこから見ても肥満体に対してどこが「痩せている」のか。女特有の謎のお世辞を言いながら女戦士達は富子を褒めるのであった。

「なんで女は可愛くもねーのに可愛いといい太っているのに痩せてると言うんだ……?」

すっかりシラけてツッコむ気も失せる安倍。

「いや、ゆるキャラ的な生き物だと思えば一周回って可愛いかも?」

太郎、それはフォローになっていない。

「とにかくこっちの代表は決まったわよ。富子ちゃんの女子力見てごらんなさい」

「うるせー!女子力言うな!」

余裕綽々の女戦士達だが、太郎は未だ乗り気ではない。

「いくらなんでも女子は殴れないよ……」

その時、富子がこれでもかというドヤ顔でこう言った。

「私の女子力は53万です」

「ぶん殴りてぇ」

この瞬間、女子は殴れないと言っていた太郎に熱い闘志が芽生えたのだった。

「女子は殴れないって言ったけど、あいつは殴ってもいいかな?」

「構わん、羅刹になれ太郎よ」

修羅の炎を燃やす太郎など恐るるに足らずと言った様子で、富子は高飛車に言い放つ。

「どこからでもかかってらっしゃい!」

「ちょっと待って」

女戦士の一人が声を掛ける。

「せっかくだから最高の舞台を用意してあげるわ」

そう言うと、壁にあるスイッチを押した。
するとその瞬間、教室の床に穴が開き、何かがせり上がってきた。

「マジでなんなのこの学校!」

そこに現れたのはプロレスリングだった。教室の中心にプロレスリングが出来上がったのだ。

「何故……」

呆気にとられている太郎と安倍に富子が言った。

「戦士とは己の肉体で戦うもの。このリングであたしと勝負よ!」

「ひええええっ!?」

なんと太郎は、ただでさえウエイト的な問題で差があり過ぎな富子とプロレス勝負をする事になってしまったのだ。

「プロレスなんてそんなもん出来るわけないじゃん!」

「文句言うな太郎!あの女力士ぶっとばしてこい!」

「安倍は他人事だからそう言えるんだよ。もしあの子に怪我でもさせたら女子全員から責められるよ!?女子なんて敵に回したらある事ない事言いふらされて、ハイエナの群れみたいにジワジワとなぶり殺しにかかってくるよ!」

お前は過去に何があった?

「とにかくあんな体の大きい子とプロレスなんて絶対嫌だからね!」

「嫌だじゃねえやるんだよ太郎!立て!立つんだジョー!」

「それはボクシングだろ……」

「なに馬鹿な事言ってるのよ。さっさとリングに上がりなさい!」

結局太郎は、女戦士・マンモス富子とプロレスする羽目になってしまったのだった。
ところでマンモスって、本名?それともリングネーム?

【つづく】
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