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第3話 戸惑いと戸惑いと、戸惑い 俯瞰視点(2)
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(父上っ、なんなんだあれは!? どうなっているんだっ!?)
(わっ、わたしにも分らん! た、ただ、あの装飾……。どこかで見たような気がするが…………駄目だ。まるで思い出せん……)
「いらっしゃるまでに、と思っていたのに……。間に合いませんでしたわね」
ブノアとステファンが激しく戸惑っていると、背後から嘆息が聞こえてきました。そしてそんな息を吐いたクリスチアーヌは、慌てる二人の隣を通って馬車を目指します。
(お、おいっクリスチアーヌ! あれはどこの馬車だ!? どこの誰が乗っているんだ!?)
「……わたくしの口から、お伝えすることはありませんわ。貴方様がいらっしゃると知ったら、あの方はご挨拶をされると思いますから」
通り過ぎる際にかけられた声に淡々と返事をし、そのまま前進を続けて扉の前で止まります。そうすると、ゆっくりと扉が開き――
「おやおや? 何かしらの問題が発生しているようですね?」
優しげな微笑みと細身に纏う穏やかな雰囲気が印象的な、二十代前半に映る美男が降りてきました。
「はい。……ハンデリア侯爵家の当主様と嫡男様が、いらっしゃっています」
「へぇ、あの噂の方々がですか。理由を伺っても?」
「かつて罵り婚約を一方的に解消したのは、魅了という魔法によるものだった。犯人であるナタリーは捕らえられて魅了は解けたから、関係を戻したい。そのように仰られています」
「……なるほど。でしたら、僕の出番ですね」
くすり、と。頷いた後ゆったりと口元を緩めた美男は、柔らかな視線をクリスチアーヌからブノア達へと移します。そしてその目付きのまま穏やかな足取りで、二人へと歩み寄りました。
「噂はかねがね耳にしております。あまりにも愚かな親子――失敬。元婚約者のブノア様と、その父ステファン様でしたね」
「! 貴様…………いい性格をしているじゃないか……!」
「はっはっは、こんな挨拶は初めてだ。……貴様何者だ! さっさと名乗れ!!」
目を剥き、怒りを露わにしたブノアとステファン。彼は一歩前進して鋭く睨みつけ、その直後に3度唖然となることになります。
まず、1つ目。それは――
「承知いたしました。……僕はミレヴォラードにその名を連ねる、オーライエル公爵家の嫡男ヴィクトルと申します」
――突如現れたのは、自分達よりも格が上の他国貴族だった。そう知ってしまったことより、二人は仲良く言葉を失うことになったのでした。
(わっ、わたしにも分らん! た、ただ、あの装飾……。どこかで見たような気がするが…………駄目だ。まるで思い出せん……)
「いらっしゃるまでに、と思っていたのに……。間に合いませんでしたわね」
ブノアとステファンが激しく戸惑っていると、背後から嘆息が聞こえてきました。そしてそんな息を吐いたクリスチアーヌは、慌てる二人の隣を通って馬車を目指します。
(お、おいっクリスチアーヌ! あれはどこの馬車だ!? どこの誰が乗っているんだ!?)
「……わたくしの口から、お伝えすることはありませんわ。貴方様がいらっしゃると知ったら、あの方はご挨拶をされると思いますから」
通り過ぎる際にかけられた声に淡々と返事をし、そのまま前進を続けて扉の前で止まります。そうすると、ゆっくりと扉が開き――
「おやおや? 何かしらの問題が発生しているようですね?」
優しげな微笑みと細身に纏う穏やかな雰囲気が印象的な、二十代前半に映る美男が降りてきました。
「はい。……ハンデリア侯爵家の当主様と嫡男様が、いらっしゃっています」
「へぇ、あの噂の方々がですか。理由を伺っても?」
「かつて罵り婚約を一方的に解消したのは、魅了という魔法によるものだった。犯人であるナタリーは捕らえられて魅了は解けたから、関係を戻したい。そのように仰られています」
「……なるほど。でしたら、僕の出番ですね」
くすり、と。頷いた後ゆったりと口元を緩めた美男は、柔らかな視線をクリスチアーヌからブノア達へと移します。そしてその目付きのまま穏やかな足取りで、二人へと歩み寄りました。
「噂はかねがね耳にしております。あまりにも愚かな親子――失敬。元婚約者のブノア様と、その父ステファン様でしたね」
「! 貴様…………いい性格をしているじゃないか……!」
「はっはっは、こんな挨拶は初めてだ。……貴様何者だ! さっさと名乗れ!!」
目を剥き、怒りを露わにしたブノアとステファン。彼は一歩前進して鋭く睨みつけ、その直後に3度唖然となることになります。
まず、1つ目。それは――
「承知いたしました。……僕はミレヴォラードにその名を連ねる、オーライエル公爵家の嫡男ヴィクトルと申します」
――突如現れたのは、自分達よりも格が上の他国貴族だった。そう知ってしまったことより、二人は仲良く言葉を失うことになったのでした。
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