再会した幼馴染は××オタクになっていました。

星空永遠

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六章 夏、はじまります!

44話

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「あ、黒炎くんがそろそろ着くって連絡がありました」

「黒炎?」

「さっき話してた幼なじみの名前ですよ、変わった名前ですよね。って、私がいうのも変な話ですけど」

あははと冗談まじりに笑う私。しかし、焔さんは「主様が呼んでいるようなので戻りますね」と言ったが、その表情はさっきとは違い焦っていた。
だって、スマホも何も見ていないのにそんなことを言っていたから。ただ、主様っていうのはあの先輩だってことだけはわかる。

「朱里様。私と会ったことは今から来られる方には秘密にしていただけると幸いです。朱里様は夏祭り楽しんでください、では」

そそくさと去っていく焔さん。って、今から来られる方って黒炎くんのことだよね。秘密にする理由は私にはわからない。

「朱里、遅くなって悪かった。って、どうしたんだ?」

「ううん、大丈夫だよ。でも、さっき……あ……」

「さっき?」

やばい。さっそく言っちゃいそうになったよ。綺麗な女性に助けてもらったんだよ! って。

「男の人に声かけられたけど、ひ、一人でなんとか出来たよ」

「それ大丈夫だったのか。俺がもう少し早く着いてれば……本当にごめん」

「謝らないで、私が予定より早く着いちゃっただけだから。……黒炎くん、その手、どうしたの?」

黒炎くんの手をジッと見ると、怪我してるあとがあった。

「木の上から降りれなくなった猫を助けてたら、そのときに引っかかれてな」

「ね、猫ちゃんに?」

そのわりに引っかき傷には見えないんだけど。でも、深い傷ではなさそうだから良かった。黒炎くんが喧嘩してる? ってことはないとは思うんだけど。やっぱり黒炎くんのこと、まだまだわからないことだらけだ。

それがきっと嘘でもいい。私を傷つけないようにしてるんだよね。だけど、少しは私に弱みを見せてくれてもいいのに……と思う私もいた。

「朱里。そのピンクの浴衣、可愛いぞ。俺も浴衣着てくるべきだったか」

「あ、ありがとう。私服でも黒炎くんはカッコいいよ!」

私があれこれ考えている間に褒めるのはやめてほしい。さっきまで暗いこと思ってた私が馬鹿らしく思えてくるから。 
あれ? 私、勢い余って何言って……今の撤回したい。

「俺がカッコいい? 幼なじみとしてでも、その言葉は嬉しいな。アカリにもそう思われるようにもっと努力しなきゃな」

違う。本当は幼なじみとしてじゃないのに。でも、直接本人にカッコいいって言ったのは高校入って初めてだったりするのかな。いつも思ってるけど、それを相手に言うのって勇気いるし、なにより恥ずかしいんだよね。

だけど可愛いって言われたとき、なぜだか焔さんの顔と同じに見えたのはなんでなんだろう。
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