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27 作戦決行
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帰宅早々喉が渇いたところに手渡したチューハイは、最も度数の高いストロング。
酒に頓着しない朝霧は何も気にせず飲んでいるけれど。
「朝霧、大根おろしやって。手はおろすなよ」
「それ、俺の心配じゃないな」
「当たり前だろ、大根おろしに赤が混じるとか嫌すぎる!」
大根おろしを朝霧に任せ、俺はだし巻きを作る。
チャチャット卵を溶いて、熱したフライパンにジュワアと広げた。
少しずつ巻かれていくだし巻きを、興味深そうに見つめる視線を感じる。
よし、ストロングはもうすぐ飲み干すな。
「そういやお前って焼酎とかワインとか、そういうのどうなの?」
「別に……何でも飲む」
「なら、これ飲め」
俺は大体ビールとチューハイくらいしか飲まねえから、何かの機会にもらったまま放置していたハイボールを出してやった。今日は他にワインの缶も買ってある。冷蔵庫の中は色んなアルコールが出待ち中だ。
さて、どのくらいもつかな?
黒い笑みを浮かべながら、皿にだし巻きを滑らせた。
「……すげぇ」
「だし巻きが?」
頷く朝霧が、ふるふるのだし巻きを一枚一枚めくろうと試みている。
おい、余計なことせず普通に食え。
放置されている大根おろしを添えてやると、思い出したかのように卵に載せ、そっと口へ運んだ。
「うま……。佐藤、これ美味い」
「そうか。フツーのだし巻きだけどな……まあ、良かった」
首を捻りながら、先に揚げておいた唐揚げをトースターで温め直して出してやった。
こいつ、卵が好きなのか?
何出しても美味いって言うけど、そんな気がする。なんとなく、目の輝き的に。
ええと、他に何があったか……枝豆、ポテト、漬け込んだきゅうり……。
「佐藤は食わないのか?」
「食うよ、俺も食うけど先にちょっとつまんだからな~」
だし巻きを見つめて葛藤していたらしい朝霧が、ホッと表情を寛げた。いや、取らねえよ。食いたかったらだし巻きくらい自分で作るわ。
代わりに唐揚げにチュッとレモンを搾ってひと囓り。
今日の唐揚げは居酒屋仕立て、少々塩分強めで喉が渇くだろ?
「朝霧、お前レモンかける?」
「どっちでもいい」
「そっか、俺もどっちでもいいっつうか、両方食いたい。こっから半分かけるぞ」
「ああ」
飯は極力控えめにして、先に酒を飲ませたい。
スパークリングワインとビール、ストロングの缶をテーブルにスタンバイさせて、さらにもう一品つまみをテーブルに追加しておく。
「これ何だ?」
「味噌焼きにぎり……ミニミニサイズってとこ?」
あくまでつまみだからな! がつがつ食うんじゃねえよ?!
順調に酒の消費が進んでいるけれど、朝霧が酔ってるかどうかは……分かんね! 全然わかんねえ!
くそ、まあいい、別に潰すつもりは……大いにあるが、本来の目的は潤滑油効果だからな。
「それで? SNS、登録したんだろ? もう何か投稿した?」
「まだだ」
「えー、やってみないと分かんねえだろ? とりあえず何か投稿してみろよ」
「でも、最初の投稿は大事だと言われた」
ああ、宮城さんか。
うーむ、確かに最初の投稿はちゃんと朝霧の顔付きで投稿してほしい。こいつ頻繁に投稿しないだろうし、長く目に付くことになるだろうからな。
「まあな、名刺みたいなもんだ。これからよろしくお願いしますって気持ちで、画像付きで自己紹介しなきゃな」
「なんで画像がいる?」
「SNSにはニセモノもいるわけ。お前しか撮れないお前の画像が証拠になんだよ」
「そうか……」
おお、納得した?
おもむろにスマホを取り出した朝霧が、躊躇なくパシャリとやった。
ド正面で撮られた真顔画像に、思わず吹き出してしまう。
「証明写真かよ! そうじゃねえよ、もうちょいせめて角度をつけてだな……」
「角度?」
「上でも下でも横でもいいから、とりあえず真正面から撮るな。ええい、こうだこう!」
朝霧のスマホを取り上げ、構えた腕は斜め上! 小顔テクとして右手にはデカめの唐揚げ! それをちょこっとだけ口の端で咥えて! 目線だけ上!
どうだホラ、ちょっと勘違いキモい系男子自撮りのできあがり……。違うんだ、これは顔のいいヤツがやったら良い感じになるんだ……。
「……いつもの佐藤と違う」
「こ、これは一例であって……も、盛れててかわいいだろ?」
「ああ」
……今『ああ』って言った?
ちょっとした自虐だったのに! そこは流さずツッコんでほしかったよ朝霧君!!
酒に頓着しない朝霧は何も気にせず飲んでいるけれど。
「朝霧、大根おろしやって。手はおろすなよ」
「それ、俺の心配じゃないな」
「当たり前だろ、大根おろしに赤が混じるとか嫌すぎる!」
大根おろしを朝霧に任せ、俺はだし巻きを作る。
チャチャット卵を溶いて、熱したフライパンにジュワアと広げた。
少しずつ巻かれていくだし巻きを、興味深そうに見つめる視線を感じる。
よし、ストロングはもうすぐ飲み干すな。
「そういやお前って焼酎とかワインとか、そういうのどうなの?」
「別に……何でも飲む」
「なら、これ飲め」
俺は大体ビールとチューハイくらいしか飲まねえから、何かの機会にもらったまま放置していたハイボールを出してやった。今日は他にワインの缶も買ってある。冷蔵庫の中は色んなアルコールが出待ち中だ。
さて、どのくらいもつかな?
黒い笑みを浮かべながら、皿にだし巻きを滑らせた。
「……すげぇ」
「だし巻きが?」
頷く朝霧が、ふるふるのだし巻きを一枚一枚めくろうと試みている。
おい、余計なことせず普通に食え。
放置されている大根おろしを添えてやると、思い出したかのように卵に載せ、そっと口へ運んだ。
「うま……。佐藤、これ美味い」
「そうか。フツーのだし巻きだけどな……まあ、良かった」
首を捻りながら、先に揚げておいた唐揚げをトースターで温め直して出してやった。
こいつ、卵が好きなのか?
何出しても美味いって言うけど、そんな気がする。なんとなく、目の輝き的に。
ええと、他に何があったか……枝豆、ポテト、漬け込んだきゅうり……。
「佐藤は食わないのか?」
「食うよ、俺も食うけど先にちょっとつまんだからな~」
だし巻きを見つめて葛藤していたらしい朝霧が、ホッと表情を寛げた。いや、取らねえよ。食いたかったらだし巻きくらい自分で作るわ。
代わりに唐揚げにチュッとレモンを搾ってひと囓り。
今日の唐揚げは居酒屋仕立て、少々塩分強めで喉が渇くだろ?
「朝霧、お前レモンかける?」
「どっちでもいい」
「そっか、俺もどっちでもいいっつうか、両方食いたい。こっから半分かけるぞ」
「ああ」
飯は極力控えめにして、先に酒を飲ませたい。
スパークリングワインとビール、ストロングの缶をテーブルにスタンバイさせて、さらにもう一品つまみをテーブルに追加しておく。
「これ何だ?」
「味噌焼きにぎり……ミニミニサイズってとこ?」
あくまでつまみだからな! がつがつ食うんじゃねえよ?!
順調に酒の消費が進んでいるけれど、朝霧が酔ってるかどうかは……分かんね! 全然わかんねえ!
くそ、まあいい、別に潰すつもりは……大いにあるが、本来の目的は潤滑油効果だからな。
「それで? SNS、登録したんだろ? もう何か投稿した?」
「まだだ」
「えー、やってみないと分かんねえだろ? とりあえず何か投稿してみろよ」
「でも、最初の投稿は大事だと言われた」
ああ、宮城さんか。
うーむ、確かに最初の投稿はちゃんと朝霧の顔付きで投稿してほしい。こいつ頻繁に投稿しないだろうし、長く目に付くことになるだろうからな。
「まあな、名刺みたいなもんだ。これからよろしくお願いしますって気持ちで、画像付きで自己紹介しなきゃな」
「なんで画像がいる?」
「SNSにはニセモノもいるわけ。お前しか撮れないお前の画像が証拠になんだよ」
「そうか……」
おお、納得した?
おもむろにスマホを取り出した朝霧が、躊躇なくパシャリとやった。
ド正面で撮られた真顔画像に、思わず吹き出してしまう。
「証明写真かよ! そうじゃねえよ、もうちょいせめて角度をつけてだな……」
「角度?」
「上でも下でも横でもいいから、とりあえず真正面から撮るな。ええい、こうだこう!」
朝霧のスマホを取り上げ、構えた腕は斜め上! 小顔テクとして右手にはデカめの唐揚げ! それをちょこっとだけ口の端で咥えて! 目線だけ上!
どうだホラ、ちょっと勘違いキモい系男子自撮りのできあがり……。違うんだ、これは顔のいいヤツがやったら良い感じになるんだ……。
「……いつもの佐藤と違う」
「こ、これは一例であって……も、盛れててかわいいだろ?」
「ああ」
……今『ああ』って言った?
ちょっとした自虐だったのに! そこは流さずツッコんでほしかったよ朝霧君!!
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