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服飾の町ファッシー

連れ帰る

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 タクマ達がファッシーへと戻って来たのは夕方だった。すると、門の前でカリオが待っていたのでそのまま部屋へと入って貰う。

「スマンな、ちょっと出かけていた。」
「いや、問題ない。子供の方だが、全部で18人になった。明日の朝一でここに連れてくる予定だ。」
「意外と多かったな。まあ、許容範囲だけどな。体調を崩していたりする子はいなかったか?」
「ああ、幸いと言って良いのか分からんが、皆元気だ。」

 カリオが連れてくる子供達は体調には問題ないそうだが、皆空腹が辛いので早く行きたいと言っているそうだ。

「空腹は辛いだろうし、今からでも連れて行けるぞ。連れてこれるか?」
「ああ、問題なく連れてこれる。だが、いきなり行っても大丈夫なのか?」
「お前が呼びに行っている間に準備をするように言っておく。スマンが連れて来てくれ。」

 子供達が飢えてると聞いたタクマは、すぐに引き取る必要があると感じた。なので、カリオにすぐに迎えに行くように言った。それを聞いたカリオは席を立ち家を出た。

(アークス、今大丈夫か?)
(はい。)
(引き取る予定の子供たちは18人になった。ただ、明日連れて行こうかと思ったんだが、かなり飢えてるらしい。だからこれから連れていく事にしたから。スマンが、今から食事の準備を頼む。)
(分かりました、すぐに準備を行います。あと、寝床と服の準備もしておきます。)
(ありがとう。)

 アークスに話を通してから一時間ほどすると、カリオが子供達を連れて戻って来た。全員を庭に案内して、クリアを掛け綺麗にした後で家に入って貰った。ヴァイス達に驚いて泣き出す子はいたが、タクマの家族だと説明するとビビりながらも理解してくれたようだった。

「初めまして。俺はタクマ=サトウ。これから、俺の家で暮らして貰う事になる。心配しなくても大丈夫だ。俺の家には、君たちと同じ境遇の子達がいる。仲良くしてくれると嬉しい。」
「おじさんの家?」
「ああ、そこに行けばお腹いっぱいご飯を食べる事も出来るし、温かい寝床で寝れる様になる。それに、勉強だって出来る。そこで君たちは新しい人生を送るんだ。」

 そう言ってタクマは、まだ不安そうな子の頭を優しく撫でてやった。

「さて、俺の家はここじゃなくて移動しなきゃいけないんだけど、秘密の道具を使って移動する。俺が良いと言うまで皆で手を繋いで目を瞑ってくれるかな?」

 タクマは子供達に指示をすると、素直に聞いてくれた。そして、カリオに小声で話しかけた。

「カリオ、被害者の人と一緒で良いと言っていたが、ここでやる事は終わったんだ。一緒に行ってくれ。お前が居れば子供達も安心するだろうしな。」
「だが・・・、良いのか?」
「ああ、お前の子供も待っている、嫁もな。」

 カリオはそれ以上何も言わず子供の肩に触れて、目を瞑る。ヴァイス達は大人しく留守番をしててくれるそうなので、早速跳ぶ事にした。全員が強く目を瞑ってくれているのを確認し、自宅の庭に跳んだ。

「目を開けて良いぞ。到着だ。」

 子供達は家の中に居た筈なのに、目を開けたら庭に居る事にびっくりしていた。カリオは何をやったか理解できているらしくタクマを凝視していた。

「皆さまおかえりなさいませ。私は執事のアークスと言います。これから、よろしくお願いしますね。挨拶はこの辺にして、家に入りましょう。ご飯の準備は出来ていますからね。」

 アークスは子供達を連れて家の中へ入って行った。食事と聞いた子供達は嬉しそうについて行った。

「あんた・・・。なんつう移動方法を使うんだよ。」
「まあ、気にするな。それよりも家に入って、家族に会え。アークスに言えば部屋を教えてくれる。俺との約束分かっているな?」
「ああ、屋敷の警備は任せてくれ。」
「もし人手が欲しいなら、アークスに言えば集めてくれるだろう。俺は子供達を少し見たら、あっちに戻る。」

 カリオとタクマは家に入って食堂へ行くと、子供達が泣き笑いの表情で食事をしていた。カリオは給仕をしていたアークスに近寄り、家族の場所を聞いて向かって行った。

「美味しいかい?」
「「「「「うん!!!」」」」

 タクマが子供達に聞くと、涙に濡れた素晴らしい笑顔で返事をしてくれた。

「そうか。これからは此処が君たちの家になる。簡単に言えば俺達は家族になるんだ。此処で、いっぱい食べて、いっぱい遊んで、眠って。大きくなるんだ。」
「「「「はーい!」」」」
「俺は旅が好きだから居ない事も多いけど、アークスが面倒見てくれる。彼の言う事を聞いていい子にしてくれな。」

 子供達は大きな声で返事をしてくれたので、家を空ける時も安心だと思った。

「アークス、後は頼むな。ファッシーの件が終わったら、しばらくこっちに居るから。」
「分かりました。無事のお帰りをお待ちしています。」

 後の事をアークスに頼み、タクマはファッシーへと戻るのだった。
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