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新生活

子供達の危険度

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 引っ越しも終わりリビングでゆっくりとしていると、子供達が自分たちの部屋から出て来た。

「タクマお父さん。外で遊んでいーい?」
「ん?あんまり遠くに行かなければ大丈夫だぞ。それと湖にも気を付けてな。」
「「「「はーい!」」」」

 ヴァイス達をお目付け役に、子供達は外で遊び始めた。何処の世界でも引っ越しはテンションが上がるのだろう。外で遊ぶ子供達はとてもはしゃいでいる様だった。タクマはアークスに淹れて貰ったコーヒーを飲みながら子供の様子を見ていると、子供達の異常な体力を目の当たりにする事になる。目の前にはヴァイス達に追われる子供達が凄まじい勢いで走っているのだ。どう考えても子供が走る速度ではない。

「タクマ様。どうしましたか?」

 タクマが呆然と子供達を見ていると、アークスが後ろから声を掛けて来た。

「久々に子供達の遊んでいる所を見たが、これは不味いな。無意識に強化魔法をかなりの負荷で使っているな。」
「やはり分かりますか・・・。恐らく鬼ごっこでヴァイス達に負け続けて悔しかったのでしょうね。ある時、突然すさまじい勢いで動くようになったそうです。身体には異常はなかったそうなのですが、体が小さい内に強化魔法を高負荷で使用するのはあまり良い事ではありません。今は強化が筋力の限界まで来ていないので無事ですが、使い続ければ魔力が上がり強化が筋力の限界を超えてしまうのが目に見えています。骨が未発達なので大変危険です。なので体術を教えるのと並行して魔力の操作を教えなければなりません。」

 子供達は、タクマが思っている以上に危険な事をしている様だった。

「これはすぐに対策をしないとヤバい。子供達の魔力もかなり大きくなってる。とりあえずある程度魔力の扱いを教えてからじゃないと、怪我に繋がるな。アークス。子供達を止めておいてくれ。俺は道具を用意する。」
「それは構いませんが、道具で何をなさるおつもりで?」
「とりあえず魔力を制限する魔道具を仕入れる。すべて封印はかわいそうだから半分くらい封じさせて貰おう。」

 そう言って子供達をアークスに任せたタクマは自室へと移動してPCを起動させる。異世界商店を検索し、魔力を制限できる道具を探していく。

魔力残量:∞

カート内

指輪型 魔力制限魔道具(50%制限) 50個:500,000,000

合計:500,000,000

 決済をしてアイテムボックスに送ると一つだけ取り出して鑑定を行なってみる。

指輪型 魔力制限魔道具(50%制限) 所有者:タクマ=サトウ

着装した者の魔力を半分に制限する。

50%以上の負荷の魔力を使用した場合、使用した魔法をキャンセルする。

着装時、指の大きさにフィットさせる。

所有者の許可がないと外す事は出来ない。

(うん。これなら大丈夫だろう。先ずは魔力の操作に慣れさせてから外せるようにしよう)

 確認を終えたタクマは指輪をアイテムボックスに仕舞ってリビングへと戻って行く。リビングには子供達がシュンとした表情で俯いていた。どうやらアークスにこってりと絞られたようだ。

「アークスに怒られたか?アークスが怒ったのは、何もお前たちが嫌いだからじゃない。今の状態で遊んでいると、いつか大きい怪我をするから止めて怒ったんだ。魔法は便利なものだが完全な物じゃないんだ。使いすぎれば自分の体を壊す事だってあるんだ。」

 タクマは強く言わないように気を付けながら、無知なまま魔法を使用する危険度を話していく。

「何も全く使うなとは言ってないんだ。お前たちが魔法の事を学び、魔力の扱いを覚えれば使っても何も言わないぞ。ただ、ヴァイス達と遊ぶために無意識に魔法を使っているみたいだから、これを着けて貰う。今まで通り遊んで大丈夫だが、魔力を半分に制限させてもらう。勉強して魔法の基本を覚えたら外してやるからな。」

 タクマは子供達に指輪を渡し、その場で装備させる。

「みんなはめたな?これで思いっきりヴァイス達と遊んで良いぞ。ただし、魔力を半分以上使おうとすると、魔法はキャンセルされるからな。」

 子供達に使用上の注意を説明すると、遊びを再開して良いと外に行かせる。

(みんな。子供達と遊ぶのは良い事だが、相手の限界も考えて遊んでやってくれ。子供達は体が出来ていないから、俺達みたいに全開で強化をすると体が壊れてしまうんだ。)

 ヴァイス達は子供達に負担を掛けていたことが分かりショックを受けていたようだが、これからは魔道具のお陰で負担がなくなる事を理解できたようだ。これからは子供達の限界を見極めながら遊んでくれるそうだ。

(これから子供達は体術を習ったり魔法について学ぶから、制限が取れるまでは手加減をしてやってくれ。もう少し成長すれば、お前たちとも思いっきり遊べるようになるからさ。)
(((((はーい!)))))

 ヴァイス達も子供達を追って外へと出ていった。

「タクマ様。あの魔道具は何でしょうか?」
「あれは魔力を制限する魔道具だ。全開で強化を使おうとしても発動がキャンセルされるようになってる。」

 タクマとアークスは再び鬼ごっこを始めた子供達の様子を観察する。相変わらず身体強化を使っているようだが、先ほどのような強化は出来ないでいる様だった。それでも子供達は楽しそうに遊んでいる。

「うん。きっちりと効いているみたいだ。これなら負担もないだろう。」
「ええ、あの程度なら大丈夫ですね。」
「まあ、カイルが来ればすぐに教えてくれるだろうから暫くは我慢してもらおう。」

 子供達の遊ぶ姿を見ながら、タクマは入れなおして貰ったコーヒーを啜るのだった。
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