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新生活

鑑定と末路

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 自宅へ戻って来たタクマ達はリビングで話の続きを始めた。2人はこの先の指針になる話の為、若干緊張した面持ちだ。タイヨウは物心もついていないので緊張感もなく眠っている。

「さあ、何を話すにしても鑑定が先だな。それをやっておかなければ先に進まないし」
「は、はい。よろしくお願いします」

 タクマはまず、竜一を鑑定して行く

名前:リュウイチ=ミヤタ

種族:上位人族

年齢:25

スキル:鑑定(中)、身体強化(中)、ものづくりの心得(中)、付与(中)、魔法の心得(中)

称号:鬼子母神の加護、ヴェルドの加護

(へえ、どうやら職人よりのスキルだな。って事は日本で職人をしていたのかな?)

「先ずはリュウイチから行こう。まず持っているスキルを説明していくぞ。」

 リュウイチの鑑定(中)というのは、物の状態やそれに付与されているものが詳しく分かるようだ。もちろん物の名前なども分かると出ている。身体強化はものづくりに必要だろうからあるのだろう。これは戦闘にも使えるので使い勝手も良い。ものづくりの心得はその名の通り制作の才能の事だ。その後の付与は、作った商品に魔法を付与できるものの様だった。称号は鬼子母神様とヴェルドの加護がしっかりと付いていた。
 それを聞いた竜一は納得したように口を開く。

「僕は日本で銀細工の職人でした。趣味で鍛冶もやっていたのでそっちに特化したスキルになったんですね。」
「恐らくな。これだけあれば、職には困らないだろう。もしやる気があるのなら色々と準備はしてやるぞ?」

 タクマはリュウイチの自立の為には必要だと思い、設備の用意を提案した。

「良いんですか?是非お願いしたいです!」
「ああ、作ったものは家の店で売れるし一石二鳥だろう」

 そう言ってタクマはリュウイチを落ち着けてからミカの鑑定を行なっていく。

名前:ミカ=ミヤタ

種族:上位人族

年齢:22

スキル:礼儀(大)、ダンス(大)、植物育成(中)、身体強化(中)、水魔法(中)、土魔法(中)

称号:鬼子母神の加護、ヴェルドの加護

(こっちは随分と農業に特化してるな。まあ、聞いてみれば分かるか)

 ミカにスキルの構成を説明していくと、彼女も納得しているスキルのようだ。彼女の実家は農家で、小さい頃から手伝いをしていたそうだ。礼儀に関しては、やはり子供の頃から日本舞踊をしていたそうなのでそれが影響してると予想が出来た。ダンスは日本舞踊をしていた事が影響しているのだろう。

「私はあまり役に立てなそうな気が・・・」

 あまりに地味なスキル構成なのが気になっているようだが、タクマは励ますように声を掛ける。

「落ち込む必要はないだろう。君のスキルは農業に向いているんだ。家の周辺で野菜を作れば、リュウイチと同じように店で売れば良いんだ。充分に役に立つじゃないか」

 タクマの言葉に気を取り直したミカはやる気になっていた。

「スキルの構成は分かったようだが、それを使いこなすには時間が掛かると思う。だが、慌てる事はないからじっくりと自分の力を使えるようになってくれ。最近ここの子供達も魔法などを学んでいるから一緒にやれば良い。」

 そう言ってタクマは最後にタイヨウの鑑定を行なう。

名前:タイヨウ=ミヤタ

種族:上位人族

年齢:6ヶ月

スキル:スキル成長促進(大)

称号:鬼子母神の寵愛

(へえ、子供なだけあって将来性のあるスキルが付いているな)

 鑑定結果を2人に伝えると、声を上げて喜んでいた。それもそうだろう。自分の子供が才能豊かに育つのが分かっているのだ。

「喜ぶのは良いが、育て方を間違えると大変な事になるからな。それだけは気を付けろよ。強い力を持つならしっかりと内面も育てないとな」
「「はい!!必ずちゃんとした子に育てて見せます!」」

 2人はタイヨウの将来の為にやる気を漲らせていた。

「じゃあ鑑定も終わった事だし、俺は家の準備をしてくるよ」

 タクマは自分だけで表に出てくると整地してある土地の端の方へと移動して新しい家を設置する。新しく設置した家はどちらも2LDKだ。子供が小さい内は問題ないだろう。デボラの家も一人なので充分な広さは確保できている。リュウイチ一家とデボラの家の準備を終えたタクマはゆっくりと自宅へ帰って行った。
 大人数での夕食も終わり、リビングで少しだけ晩酌をして自室へと戻って来た。ヴァイス達は自分達の定位置で休んでいる。

「・・・寝るか・・・。」

 タクマはこの後の展開を考えながらベッドに入り眠りに就いた。眠りに就いた途端いつもの空間へと来ていた。

「すいません。寝ている所を」

 ヴェルド様は申し訳なさそうに謝罪をする。

「いえ、彼らが居たら話せないでしょうし。大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。では話していきましょう」

 ヴェルド様の話はタクマの予想通り、マジルの件だった。いくらタクマが王を処刑し、魔法陣を壊したからと言って終わりではないのだ。当然魔法陣を研究しているものも居るし、記録も残っているだろう。それに王の決定に同調した者の対処等、色々と懸念材料はあったのだ。

 ヴェルド様が教えてくれた結果はこんな感じだ。
 マジルで召喚に関係した者は、全て死んだそうだ。あの国で召喚に関する反対派ごく少数だったらしい。召喚に賛成し、召喚の事を知っている者は全員、神の鉄槌を受け絶命したそうだ。方法については一切教えてくれなかったが、無関係な者は全員無事な様にやっているそうだ。そして、反対した者に言葉を残したそうだ。万が一再び同じ過ちをした場合、マジルに所属している全ての国政関係者を今回と同じように粛正すると伝えたそうだ。

「本来ここまで干渉する事はないのですが、あの国はやってはいけない事をしたのです。これで済んだことを感謝すべきです。タクマさんの居た世界の神たちが帰還を考えずにこちらへ来た場合、あの国は民を道連れに滅びる所でした。」

 どうやら鬼子母神様達はタクマの予想以上に怒っていたようだ。

「なるほど。やらかした人間の処遇は分かりました。ですが、研究者たちが残した資料はどうするのですか?」
「それに関しては大丈夫です。粛正を行うと同時に全て処理する事が出来ましたから。あと、タクマさんに恨みを持つ可能性のあった人に関してですが、王家の家族は全て粛正しています。全員が召喚に関係していましたから。騎士たちに関しても、タクマさんは顔を隠していた為にバレていないので大丈夫だと思います」

 ヴェルド様は自分が予想できる厄介事は全部対応してくれていた様だったのでお礼を言っておく。

「こちらの過ちでこのような事になったのです。これぐらいは当然ですよ。タクマさん。今回はこのような事なってしまい申し訳ありませんでした。」

 タクマは素直に謝罪を受け取り、ヴェルド様が悪い訳ではないと口にした。

「話はこれで終わりですが、彼らにもう一度だけ謝っておいてもらえますか?」
「分かりました。必ず伝えますね。」

 ヴェルド様は少し申し訳なさそうな顔をしてタクマを送り出してくれるのだった。

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