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生産国アムスの罪

兄竜たちと敵本陣

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 一人兄竜たちの所へ戻ったタクマは上空で兄竜を呼び出した。しばらく待っていると悠然とタクマの前に現れた。

『随分掛かっていたな』
「ウチの家族に説明の必要もあったし、こんなもんだろう。それよりも先ずはリンドからの伝言だ。やり過ぎるなってよ」
『そうか・・・母さんがそう言っていたか・・・』

 それを聞いた兄竜は少し落ち着きを取り戻したようだ。

「行動に移す前に、あんたの名前だけでも教えてくれないか?」
『そう言えば名乗って無かったな。下の三体は事が終わったら教える事にして、俺の名はロキソだ』
「分かった。一緒に行くのは良いが計画はどうする?」
『その前に、タクマは自分の結界の外から攻撃する手段はあるか?』

 どうやら、なるべくタクマが目立たないように考えてくれているようだ。

「自分の結界だから干渉して外から攻撃する事は可能だ。本当は使いたくない攻撃方法だがな・・・。どうする気だ?」

 タクマが計画を聞くと、ロキソはザックリとした行動を教えてくれた。

1.アムス城の真上に到着後、すぐに城を不可視の結界で覆う。

2.結界内には、ライル達ととロキソ兄弟だけが降りる。

3.タクマは結界の外から攻撃の準備をしておく。

4.交渉中変な行動をしたものを、合図があったら攻撃。

5.ロキソは王に今回の事を話し、ライルに命令を行った者をその場で処刑。

6.事が終わったら速やかに退却。

『こんな感じで行こうかと思うがどうだ?』
「そうだな。王が馬鹿で無ければそれで大丈夫だろう。ただ、王も一緒になって計画している可能性もあるぞ?」

 タクマが王も共謀していた時の事を聞くと、あっさりとした口調でロキソは答えた。

『その時は王も処刑対象になる。嘘は見抜けるから問題あるまい。』

 ちゃんと最悪に事も考えていると言うのでタクマは計画に同意をした。

「じゃあ、アムスへと行くのは良いが飛んで行くつもりか?」
『ああ、下の馬鹿共を気絶をさせたらお前と共に背中に乗せていくつもりだ』

 タクマは少し考えた結果、一つ提案をする事にした。

「それだと時間が掛かるだろう。アムス城の場所は聞いているから、俺の能力で移動しよう。それなら一瞬でアムスに着くしな。」

 自分が空間跳躍を使って一瞬で移動できることを話すと、ロキソは驚愕の表情を見せた。

『お前が凄い魔力を内包しているのは分かっていたが、まさか空間跳躍の使い手だとは・・・。あの魔法は膨大な魔力を必要とするのに。ただ、その方法で移動できたとして、使用後に動けなければ意味がないぞ?』
「俺が空間跳躍を使おうと言ってる時点で魔力不足を心配する必要はないだろう。移動後に動けなくなる魔法を選択する事はないんだから」

 タクマがそう言うと、ロキソは首を傾げながらも納得してくれたようだ。

『そ、そうか・・・。お前は俺が思っている以上に強いんだな。分かった。下の奴らを気絶させて俺達に乗せた後は、お前に移動を頼むことにしよう』
「了解した。下の奴らをロキソが気絶させるのは間違って殺しそうだし、俺がやってやるよ」

 タクマはそう言って下のライル達を範囲指定して電撃を浴びせる。
 自分達の気付かない所から攻撃されたライル達兵隊は、一瞬で気絶をしていた。それを見ていたロキソの弟達は驚きの顔でタクマ達の方を見上げている。

「さぁて。気絶もさせた事だし、下に行くか」

 タクマとロキソは気絶しているライル達をロキソの弟に乗せる為、地上へと降りていった。地上に下りたロキソは弟達に計画を説明した。未だにタクマの強さを理解しきれていない弟たちは訝し気な表情で覆面姿のタクマを見ていた。
 タクマは計画に支障が出ると困るので、弟達に強めの殺気をぶつける事にした。強めの魔力を弟達に向けて開放すると、彼らはブルブルと震えだした。

「これで認めてもらえるか?」

 タクマが弟達に確認をすると勢いよく首を縦に振っていたので、殺気を収めてやった。そして、ロキソを含めた4体に言葉を掛ける。

「いいか?絶対にやり過ぎるなよ。母親を攻撃されて怒っているのは分かる。俺も家族がやられたら冷静でいられるか分からん。だがな、そう言う時こそ冷静に行動しろ。リンドもやり過ぎるなと言っているんだ。分かってるな」

 ロキソたちが了承したのを確認したタクマは、ライル達兵を弟達に分乗させて移動を開始する事にした。

「ナビ。それじゃあ行こうか」

 タクマはナビを呼び出すのと同時に、スマホを取り出し位置を確認する。

「ターゲットの位置を確認しました。アムス城の上空に出現する補助をします」

 タクマはナビの補助を受けながら全員を範囲してして空間跳躍を発動させた。一瞬でアムス城の上空に到着したタクマ達は眼下に建っている城を見下ろした。

『本当に一瞬なんだな・・・。規格外な奴だ』

 ロキソは呆れた表情でタクマを見る。

「まあ、深く考えても無駄だ。俺はここから更に移動した所で攻撃の準備をする。到着したら念話を送るから待っていてくれ」

 タクマはそう言い残し、未だに呆れた表情をしている兄弟を残して移動を開始するのであった。
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