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生産国アムスの罪

パミル王都へ

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 自宅へと戻った翌日。タクマは王都へと行く事にした。事後報告になるがコラル侯爵に話しておくためだ。

『ん?タクマ、どこへ行く?』

 そう言ってロキソは頭の上にネーロを乗せて現れ、玄関を出ようとしていたタクマに話しかけてきた。

「随分と仲良くなったようだな。まあ、ここに住むなら必要な事だしな」
『こ奴らはみんな素直でかわいいな。』

 ロキソ達は帰ってきた日に話し合いを行い、ロキソとリンドがタクマの家に住むことになった。ボルタたちはリンドの住んでいた地に住むことになり、アムスが変な事をしないか見極める役を買って出たのだ。

『で?お前は何処へ行くのだ?』
「ここの地がパミル王国の領地内だってのは話し合いで話しただろう?今回の件を報告して置かないとな」
『何故だ?バレていないならそのままでも構うまい』

 ロキソの言う事は正しくもあるが、他国で火竜が暴れた事はきっとバレる。恐らく各国に諜報員を配置しているだろうし。そしてタクマの許にはジュードがいるのだ。予め理由を話しておかないと後々面倒になると考えていた。タクマはそれをロキソに説明する。

『なるほど。それでは俺も一緒に行こう。お前だけに説明を任せるのは忍びないからな。』

 そう言ってロキソはタクマと同行を申し出た。その言葉を聞いたネーロは一つ提案をして来た。

「キキ、キキ。(ご主人、王都に行くならリュウイチ達も連れて行ってあげて)」
「そうだな。じゃあ、護衛を任せても大丈夫か?」
「キキ!(任せて!じゃあ、呼んでくるね!)」

 そう言ってネーロはリュウイチ達を呼びに行ってしまった。
 しばらく待っているとリュウイチ夫婦とタイヨウがタクマの元へとやってきた。

「タクマさん。どうしたんですか?ネーロがこっちに来いってジェスチャーをしていたので来たんですけど・・・」
「ああ、これからリンドの一件を説明しに王都へ行くから一緒にどうだ?ネーロに護衛に就かせるから大丈夫だと思うけど」
「良いんですか!?一回行ってみたかったんです。・・・あ、でもタイヨウが危ないかも・・・」

 リュウイチ達は王都に行ける事を喜んでいたが、タイヨウはまだ小さすぎるので躊躇したようだ。

「タイヨウは王都に一緒に行って俺が預かろう。俺にも慣れてくれてるし、大丈夫だろう。な、タイヨウ?」
「あー、あうー。」

 タクマの言葉に返事をしている様に声を出したタイヨウに一様にほっこりとしてしまった。

「じゃあ・・・お言葉に甘えて良いでしょうか?」
「ああ、じゃあ、こっから抱いて行こうか。タイヨウ、よろしくな」

 ミカからタイヨウを預かって抱き上げると、まだ小さい手でタクマの頬を叩いていた。

「おお、やんちゃだな。元気に育っている様で良かった。それじゃあ早速跳ぶぞ」

 タクマは同行する者を範囲してして王都のコラル侯爵邸へ跳んだ。無事に到着したタクマ達はその場で声を上げて中の者に声を掛けると、速やかに室内へと案内された。

「さて、侯爵様が来る前にこれを渡しておく。初めての王都だしな。好きに買い物してくると良い」

 タクマはアイテムボックスから1,000,000Gを取り出しリュウイチに渡した。その後は少し待っているとコラル様が現れた。

「タクマ殿か。今日はどうしたのだ?まだちょっとした雑事が残っているので帰る事は出来ないのだが・・・」
「今日は大事な報告がありましてお伺いしました。こちらの二人はついでだったので買い物に行かせる予定です」

 そう言うと、使用人たちが表まで送ってくれることになった。

「タイヨウ。タクマさんの言う事を聞いていい子で待っていてね」
「あうー!」

 タイヨウは笑顔でリュウイチ達を見送っている様だった。

「では早速話を始めるか。こっちもちょっとした話があるしな」

 タクマとロキソはコラル様の後について行き執務室まで移動していく。

「さて、タクマ殿の報告は後にしよう。どうにも嫌な予感しかしないからな」

 コラル様はそう言って自分の報告から始めた。
 王国内で研究中だった禁術及び禁忌魔法は4つ。全ての研究を中止させ、資料は城に集められている。研究に従事していた者は全員が契約魔法を用いて秘密を厳守させることを行ったそうだ。少しでも洩らせば厳罰に処される。
 調べてられていない遺跡もいくつかあるそうだが、その場所は全てタクマに譲渡される事が決まったらしい。

「譲渡を断る事は無理だ。渡される遺跡は禁術が眠っている可能性が高いらしい」
「分かりました。その辺はお任せします」
「でだ。禁術等が確認されていない遺跡に関しては発掘を続けることになっている。万が一発見されれば確実に報告を行い、速やかにタクマ殿に管理を移譲する」
「丸投げですね。まあ、神罰のリスクを考えればそうするしかないのでしょうが」

 タクマはウンザリしながらコラル様の言葉を聞く。

「そう言ってくれるな。実際に神罰を受けた国があるのだ。皆、禁術に関する事に関わりたくないのが本音だろう。だったら見つけ次第タクマ殿に丸投げをするしか方法が無い」
「その辺は俺が資料を見て判断します。危険な様なら破壊して、安全を確認してから土地を国に返納しましょう」

 今は土地を貰っても使いようが無いので、安全を確保した後で国に返納する事を提案した。だがコラル様は首を縦に振る事はなかった。

「君が持て余すと言うのも分かる。だが、一度譲渡した物を王が受け取るとは思えん。何があるか分からんし、君が持っておくのがよかろう。君の家族達の保養所でも造ったらどうだ?」
「そうですか・・・。分かりました。預かっておく事にしましょう」
「さあ、私の報告はこれで終わりだ。一服したら君の話を聞かせて貰おう」

 コラル様はそう言って使用人を呼んで一服を促すのだった。

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