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生産国アムスの罪

人材

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「タクマさん。子供達に呼ばれて来たんですけど・・・って、これは・・・・」

 子供達に連れられて来たリュウイチは驚いた表情で、タクマとその横にある物をキョロキョロと視線を動かしている。ミカはタイヨウを寝かしつけているので来たのはリュウイチだけだ。

「ああ、こっちがお前が住んで貰う家で、こっちは作業場だ。家の中でも出来るんだろうが、タイヨウもまだ小さいし音がうるさいのは避けた方が良いだろう?で、裏に来ると・・・」
「畑だ・・・さっきまで何もない所だったのに・・・」

 改めてタクマの反則的なスキルに驚いている。

「まあ、家とプレハブに関しては既に仕入れてあったしな。後は基礎を作って乗せ、建物と接合しただけだから。それに畑も魔法で耕してるからな。今日からでもみんなでこっちに移ると良い」
「ありがとうございます!ここまでして貰えるなんて・・・。俺もミカも頑張って役に立てるように頑張ります!」
「まあ、気合を入れてくれるのは嬉しいが、程々にな。畑もかなり大きめに取っているんだ。だから、ここの子供達にも手伝わせるつもりだがそれでも足りないかもしれない。一応人手には当てがあるから今から行って来る。リュウイチはタイヨウが起きたらこっちに移動できるように、アークスに準備をするように言ってくれるか?もちろん、手伝えることはやってくれ」

 そう言ってリュウイチに指示を出したタクマは歩いてすぐの家へと移動した。その家には元暗部の連中が住んでいる。タクマは警備の人数が多いので、交代で農作業もやらせようとしているのだ。ドアの前でノックをすると、中から男の声が響く。

「開いてるからどうぞ!」

 タクマはその声に従い家の中へ入ると、元暗部の連中がリビングで筋トレをしている。

「あ、タクマ様!ようこそ。今日はどうかしましたか?」
「・・・・・リビングで何をやっている?」

 呆れた声でそう聞くと、彼らはさわやかな顔で答えた。

「筋トレです!まだ店の警備は本格化していませんし、体を鈍らせないように鍛えてました!」
「そ、そうか・・・。今日来たのは一つ依頼があってな。新しく来たリュウイチ一家のミカが畑をする事になったんだ。かなり規模も大きくなるし、人手がたりん」

 元暗部の連中の人数はかなり多く、警備に回してもあぶれる物も居るのだ。彼らは体力もあり力仕事も得意な為、タクマはミカのフォローに使う事にした。彼らの運動不足も解消でき、なおかつ畑仕事のフォローも出来るので一挙両得なのだ。

「畑仕事ですか。確かに運動不足解消にはちょうどいいですね。任せてください!ミカさんのフォローはお任せください!」
「ああ。頼むな。それと子供達も手伝いをしてくれるみたいだから頼むな。カイルと話し合って子供たちに何かを仕込むみたいだが、あんまりやり過ぎるなよ?」

 ついでにタクマは釘を刺しておくことにした。彼らはカイルと話をしていて、子供達の訓練について意見を出しているのだ。タクマは子供達を諜報員にするつもりはないのでその辺は理解してもらわなければならなかったのだ。

「やだなぁ。諜報に関しては教えませんよ。俺らがカイルさんに言ったのは、気配の消し方や何かを調べる時の基本を教えた方が今後の役に立つって言っただけで・・・」

 彼らは彼らなりに子供達の将来を考えてくれているようだ。いかに情報を手に入れやすくするかや、気配の消し方については彼らも凄腕に入るのだ。

「それならいいけどな。お前らも子供達の事を大事に思ってくれているのは嬉しいよ」

 タクマは素直に感謝すると、彼らは照れ臭そうに笑っていた。

「俺らは諜報員だったこともあって、家族を持ちませんでした。タクマ様に拾っても貰ってからは、あの子達が俺達にも優しく接してくれたんです。だからあの子達が危ない目に遭わない為には、情報を利用する事も多少は必要だと思ってカイルさんに進言したんです」

 確かに彼らの言う通り、危険な事を予め察知するには情報は重要だ。子供達には危険が迫る前に対処できる方法を教えたいと、タクマをまっすぐ見つめ進言する。

「わかった。その辺の事はカイルとしっかり話し合って進めてくれればいい。それじゃあ畑を始める時には声を掛けるから頼むぞ」

 子供の事もそうだが畑の事もしっかりと引き受けてくれたので。タクマは安心して自宅へと戻って行く。

「あ!おとうさんだ!」

 自宅前に到着すると、さっきまで一緒だった子供達が近寄って来る。満面の笑みでタクマに抱き着きながら甘える。

「さっきまで一緒に居たじゃないか。ん?」
「あのね、お父さんが居る時は一緒に居たいの・・・・ダメ?」

 上目づかいでタクマの返事を待つ子供達は本当に可愛い。タクマは微笑みながら子供達の頭を撫でながら答えてあげた。

「駄目じゃないさ。俺もみんなと一緒に居るのは嬉しいしな」

 喜ぶ子供達に囲まれながら自宅へと戻ったタクマは、夜になる迄の間を子供達と遊びながら過ごしていくのだった。
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