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生産国アムスの罪

大人達の言い分

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 風呂から上がったタクマはリビングでアークスと話をしている。子供達はカイルと共に孤児院に勉強に行かせていた。カイルには少し早めに戻る様に言って送り出した。

「今日は、夕食はメインを子供達と一緒に俺が作るから。とりあえずサラダと付け合わせだけで良い」
「タクマ様と子供達で・・・ですか?」
「ああ、みんな料理に興味があるみたいだしな。ただ、使用人たちがやってしまうとナイフとかは持たせてないだろ?」
「それは、ナイフを持つには早いと判断したからです」

 アークスは子供達にはまだ早いと判断していた為、敢えてやらせていないようだった。だがタクマはそうは思っていない。

「確かに刃物は子供達に持たせるのは危険だというのは分かる。だけどな。それは武器に限って良いと思うぞ。あの位の年齢からナイフが危険な物だけではないと教えるのも必要だと思う。例え料理中に切ったとしてもすぐ治せるし、禁止する必要はないと思う」
「確かにそれはそうですが・・・」

 タクマの言葉を聞いても、アークスは気が乗らないようだ。

「相手は子供です。いくら注意してもふざけると思うのですけど・・・」
「それは、危険だ、危ないと言うだけならそうだ。だがな、ふざけた場合は痛い目を見ると分からせてやれば馬鹿な真似はしないと思うぞ。あの子達は人の話を聞けるから」

 アークスはタクマが意見を曲げる事が無いと理解したようで、ため息を付きながら了承してくれた。

「分かりました。では必要なものを買って来ましょう」
「まあ、ウチにある物で作れると思うぞ。必要なのは人数分のナイフとまな板位なもんだ」
「早速、トーランで仕入れてきます」

 そう言ってアークスはトーランにナイフを仕入れに出かけていく。

「ちょっと強引だったが、アークスは説得した。後はアレを買っておかないとな」

 タクマは買い物の前に使用人を呼び、理由を話して親たちを呼んでもらう事にした。しばらく待っていると、ファリンを始めとした母親たちが集まってくれた。

「どうしたの?私たちを呼ぶなんて。重要な話?」
「そこまで重要ではないと思うが・・・・今日、家で子供達に料理をやらせようと思っているんだ。手伝いではなく、子供達の手でしっかりと料理をさせるつもりだ。でだ、ウチの子達だけでやらせるのももったいないし、どうだ?一緒にやらせてみないか?」

 タクマは自分が引き取った子供達だけではなく、一緒に住人の子供達も誘ったのだ。

「子供達だけで料理?危なくない?」
「うちの子もまだ小さいし・・・」

 ファリン達母親たちは、まだ小さい子供達に料理をさせるのは乗り気ではないようだ。タクマはアークスにも話した事を繰り返し説明していく。

「・・・なるほどね。料理でナイフ自体の危険さを認識させるのね。タクマ様が一緒に居れば万が一の事にも対応できるわね・・・いいわ。私の子は一緒にやらせてもらえるかしら。遅かれ早かれ料理は仕込もうと思っていたし、良いきっかけになるわ」

 ファリンが了承すると、他の母親たちも次々に了承してくれた。

「夕方になれば孤児院から帰宅するだろうから、ウチに集合させてくれ。まあそこまで難しい物は作らないし、しっかりと監督させてもらうから任せてくれ。あ、夕飯は作るなよ。みんな子供達の成果を見てやらなければならないんだからな」

 そう言って母親に笑いかけると、ファリン達も釣られて笑顔になっていた。彼女たちは自分の子供達がどこまで出来るのか楽しみになって来たようだ。

「そうだ。初めて料理をする事もあるから、時間は掛かると思う。だけど、何も言わずに待ってあげてくれな」

 そう言ってタクマは母親たちを一旦帰らせた。
 タクマは厨房に移動して、冷蔵庫と床下収納をチェックする。今回の料理に必要なのは、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、肉だ。確認すると、問題なく揃っていた。

「さて、あれを買うだけで良いか・・・あっ!子供向けに作らないとだからアレも買っておこう」


魔力残量:∞

甘口カレー粉(フレークタイプ)1KG 10袋:12000

ガラムマサラ 80G 2缶:800

寸胴鍋 高さ50cm 直径50cm 2台:30000

超軽量フライパン 20cm 4個:5000

カセットコンロ 4台:20000

合計:67800

 早速決済をしてその場に出して行く。先ずは野菜を切る事が先なので、邪魔にならない所に置いておく。寸胴だけは設置されているコンロに乗せておいた。

「とりあえずはこんなもんかな。足りないものがあれば、その都度買えばいいや」

 そう言ってタクマはリビングへと戻って行った。すると、手持ち無沙汰になった使用人たちがどうして良いのか分からずにウロウロしていた。

「あ、すまんな。急に決めてしまって。ただ、今日だけは子供達に役目を譲ってやってくれるか?」

 タクマがそう言って頭を下げると、使用人たちは慌てて答える。

「いえ、子供達の為なら賛成なのですけど、何をしてて良いのか・・・」
「ん?じゃあ、俺にお茶を頼めるかな?それが終わったらこっちで話でもしよう」

 使用人たちをリビングに集め、簡単なお茶会が始まるのであった。それはとてもゆったりとした時間で、全員まったりとしている。
 子供達がやり遂げた後の大騒ぎを何も考えていないタクマ達であった。





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