上 下
183 / 281
生産国アムスの罪

開示と驚愕

しおりを挟む
 タクマがPCを取り出したところで、王がいったん止める。

「ちょっとまて。これではタクマ殿もやり辛そうだからソファーとテーブルを用意させよう」

 そう言って宰相に用意させるように指示する。それを待つ間、タクマはコラルに小声で話かけられていた。

「タクマ殿。本当に良いのか?仕入れの方法は君の商売にとって肝となる物だろう?」
「この能力自体が俺以外に使えない固有の能力ですから。知った所で真似は出来ないですよ。俺が仕入れ方法を敢えて話していないのはめんどくさいのもありますが、家族に手を出されるのは困るからです」

 タクマはそう言ってコラルの質問に答える。今後、商店をやって行く上で、貴族用の商品は完全に異世界商店から仕入れるつもりなのだ。その時に仕入れ先を聞かれないようにしたかったのだ。ここに居る者達に知らせて秘匿だと言っておけば、きっとどうにかしてくれるだろうと目論んでいる。

「確かにここで聞いておけば、店を紹介する時に詮索はしない様には出来るな・・・そこまで考えての情報の開示か」
「ええ。ここで話しておけば、紹介する貴族はこちらを詮索したり手を出す事はありませんよね。何せそんな事をすれば、この世界では手に入らないような物を手にするチャンスは二度と来ないのですから」

 もともとタクマはトーランでやる商店は一般と貴族でしっかりと線引きをするつもりなのだ。一般は誰でも入れて購入も可能だが、貴族の店は全く違う。来店するにはその都度紹介状を必要とし、紹介の無い者は入店すらできなくしようと考えていた。なので紹介状を出せる人間は少なくしておきたいのだ。その辺の事をしっかりと話しておくつもりでいた。
 小声で話していると宰相が戻って来て、謁見の間にはソファーとテーブルが用意された。全員が着席するとタクマは口を開く。

「とりあえず今日は私の能力を説明する為に何かを購入しないといけないんですが、何を仕入れましょうね?」

 タクマはこの場で空間跳躍の魔導具は購入しない事にした。何故かと言うと、王の認証用魔導具は特別製なのでじっくりと吟味したいからだ。

「この場では空間跳躍の魔導具は仕入れないのか。では、君が普段商業ギルドと取引している商品でどうだ?」

 やはり色々と調べていたらしい王は、普段仕入れているであろうコショウで実演をするように言う。

「パミル様がそう言うのであればそれでも良いですけど、今回はサービスで購入しますからある程度融通しますよ」

 タクマがそう言うと、全員口を揃えて「酒で!」と言う返答があった。

「好きですねぇ。分かりました。では私が普段飲んでいる酒を買いましょうか」

 そう言ってタクマはテーブルの上にPCを置き、異世界商店を起動させた。

「面妖な魔導具だな。さっきまで黒かった板の一部が光りながら文字とか絵が浮かんでる」

 PCのモニターに興味を示していたのだが、そこを説明する気はさらさらない。

「そこは説明しなくても良いでしょう。それよりもこちらです。こうやって欲しい物を検索して、見つけたら数量を決める。で、決済を行います」

 タクマは実際に見せながら仕入れ方法を説明していく。

「では金を用意・・・」
「あ、お金はいりませんよ」

 王が金を用意させようとしていたので、要らないと言っておく。

「この世界に来たばかりの頃はお金が支払い方法だったのですが、今は成長して自分の魔力で支払いが可能になっております。」

 異世界商店の使用方を三人は唖然とした表情で聞く。

「ん?どうしたんです?」
「い、いや。タクマ殿の言ってることが正しければ、君は相当な魔力を持っている事になる」

 そう。三人が驚いているのはタクマの持っている魔力が膨大だと理解したのだ。通常の宮廷魔導士で魔力は2000も無いのだ。筆頭の宮廷魔導士でも3000前後だった。タクマの言い方では、異世界商店の殆どの商品は購入できない事になる。

「で、では、タクマ殿の魔力は・・・」
「画面を見ていれば分かると思いますよ」

 タクマはそう言っていつもの酒をカートに入れる。

魔力残量:∞

ザ マッカ○ン レアカスク700ml 6本:126,000

ダイアモンドネックレス  2本:700,000

合計:826,000

 決済しようとしたのだが、三人に止められる。

「こらこらこら!なんだその合計は!?明らかに魔力が足りんだろう!?しかも違う物も買ってるだろ!」

 どうやら王たちは魔力残量の単位が分かっていないらしい。

「あー、皆さんこの単位は分かります?」
「分からん。それよりも買い過ぎだ!」

 タクマの指さしたところには無限の単位が表示されている。

「このマークは無限と言う意味の記号です。だからいくら仕入れても問題ないですよ」

 タクマは常識はずれな事を平然と話す。

「む、む、む、無限だと・・・それでは魔法が・・・」
「使い放題ですね」

 驚愕の表情で呟く王にタクマはあっさりと答える。あまりの驚きで固まっている三人にタクマは話しを続ける。

「今は私の仕入れ方法の話です。そっちは後にしましょう。とりあえず、商品と数量が決まったら決済します」

 支払いを済ませた酒とアクセサリーはテーブルの上に出す。

「とまあ、こんな感じで仕入れていました」
「で、でたらめすぎる・・・・」

 王を含めた三人は現れた商品を呆然としながら見つめるのであった。



しおりを挟む

処理中です...