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パミル王都 孤児院再生編

初報酬

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 タクマとコラルは先に宰相の執務室へと戻っていた。持ち主である宰相は子供達とヴァイス達に対する報酬を取りに行っているので戻っていない。

「タクマ殿。分かっているとは思うが、子供達の報酬はしっかりと管理するのだぞ。あの子達はまだ幼いのだから」
「管理はアークスにさせようと思ってます。ですがその前に自分が苦労して受け取る報酬なのでしっかりと見せようと思っています」

 子供達には働けば報酬が貰えるとしっかりと分かって欲しいのだ。今回は相手が国なので報酬の規模は大きいが、どこへ行っても報酬のシステムは変わらない。労働をした結果で報酬を得る、これを体験してもらいたくて依頼をやらせたのだから。

「子供達に見せるには額が大きすぎるのではないか?少し減らした方が・・・」
「いえ。あの子達が得た報酬は包み隠さずに全部見せます。減らして見せても意味がありませんから」

 タクマとコラルが子供達の報酬の扱いについて話していると、宰相が沢山の子袋を持って持ってきた。

「待たせたな。本来は直接渡すのが良いのだろうが、相手は子供だ。何度も来させるのは忍びない。保護者であるタクマ殿が報告をしたと言う事で、報酬を払う。子供達には一人200,000G、ヴァイス殿たちは全員で1,000,000Gだ」
「ありがたく頂戴します」

 タクマは全員分の報酬をアイテムボックスにしっかりと保管する。

「では、次に君の報酬だ。騎士の報告では、既に建物が建っていると報告を受けている。しかも二棟も」
「大きい建物が孤児院で、もう一つは学舎です。帰りにちょっとした調整は必要ですが、概ね問題ないかと思っております」

 タクマはそう言って魔導具について説明を始めた。

「なるほど・・・悪意や敵意を持った者が入れない魔導具か・・・魔石で結界を維持するのか」
「ええ、魔石は軍が演習に外へ行けばいくらでも手に入るでしょう?魔石を消費するタイプでも問題はないかと思うのですが」
「うむ、その辺は問題ないと思う。だが、その魔導具を購入するとなるとな・・・」
「言っておきますが、この魔導具は俺が孤児院に必要だから仕入れたので、報酬をさらに上げるとかはないですよ。予定してる報酬で大丈夫ですから」

 その言葉を聞いた宰相は安心したように表情を和らげる。

「そ、そうか。だったら魔道具の設置は問題ない。後で設置した場所は教えて貰うがな」
「分かりました。帰りにでもやっておきます」
「わかった。こちらも報酬の準備を整えておくから、また明日に城へと上がってくれ」

 タクマは報告と提案が終わりコラル邸に戻る事になった。コラルはまだ話があるので帰るのは後になるそうだ。
 コラル邸に戻って来ると、庭で子供たちが笑顔で迎えてくれた。

「ただいま。そろそろ暗くなるし中に入ろうか」

 全員で応接室へと移動してくると、フロンが一人でタクマを待っていたようだ。

「お、おかえりなさい。あ、あの・・・」

 フロンはタクマに挨拶をするが、何か緊張している。恐らく先ほどの答えを伝えようとして緊張しているのだろう。

「ただいま。その様子だと話し合いは終わって答えは出たのかな?」
「はい。全員タクマ様のお宅に行きたいと決まりました。ですが・・・本当に良いんですか?」

 行きたいと意思決定したのは良いのだが、大人数で行くと迷惑になるのではと心配になったと言う。

「大丈夫だ。全員を面倒見る位何でもない。今はゆっくり休む事だけを考えてれば良いから」
「?おとーさん。フロン達が湖に来る?」
「ああ、暫く湖でゆっくりしてもらうんだ。みんな大歓迎だよな?」
「うん!湖楽しいよ!」
「広いし遊び放題!」

 子供たちは、フロン達が湖に来ることに大賛成だった。遊び相手が出来る事を喜んでいるのもあるのだが、何より衰弱している孤児たちにとってあの環境は必要と思っていたようだ。

「ありがとうございます!すぐにみんなに話してきます!」

 フロンは嬉しそうに顔を上げて部屋へと戻って行った。タクマは使用人にちょっとだけ人払いを頼んだ。話す事があるからだ。

「さて、これが何か分かるか?」

 タクマはアイテムボックスから小分けにされた報酬を取り出す。

「お金?」
「そうだ。これはお前たちが王都中を動き回って依頼を完遂した報酬だ。一人200,000Gある」
「すごーい!」
「初めての報酬?」

 子供達は自分達のやった事が報酬として返って来た事を実感したようだ。

「こうして、報酬が払われたって事は依頼者の役に立てたと言う事だ。みんなが頑張ったおかげで依頼者の目的は達成されたんだ、誇って良い事だと思う」
「僕達ちゃんと出来たんだね」
「役に立てた!」
「うれしいねー」

 子供達は笑顔で達成感を味わっている。タクマは子供達を撫でてて褒めながら話を続けた。

「で、だ。この報酬はお前たちが手に入れた物だから好きに使っていいぞ。どう使うかは自由だ」

 そう言って子供達に投げかける。子供達は真剣な顔で考えて答えを口にした。

「今は使わなーい」
「大事にとっとくー」
「大人になったら使うー」
「おとうさん、持っててー」

 子供達は貯蓄を選択したようだ。理由を聞くと、すごくシンプルな理由だった。今は、自由に遊べて美味しい食事もできる。温かい風呂にも入れて、温かい布団でも寝れている。欲しかったの物は全て持っていると笑って言った。

「そうか。じゃあこのお金はアークスに預かってもらおう。俺が預かっていると必要な時に居ない可能性があるからな。この金はお前たちの物なのだから、必要な時は自由に使って良いんだからな」

 タクマはそう良い聞かせて、お金を帰るまで預かることにした。

「よし!今日はお前たちがしっかり頑張ったお祝いをしよう!晩御飯はお父さんが作るか」

 そう言ってタクマは使用人に100,000Gを渡し、必要な食材を用意して貰う事にした。子供達のお祝いなのでかなり気合を入れるのだった。


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