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子供達の新たなる一歩と開店準備編

アイテムの確認

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 翌朝。タクマは庭に出て、瀬川雄太の遺産をしっかりと鑑定しておく事にした。

「まずは使えるかどうか確認しないとな」

 最初に出したのはコンロが5つだ。全て同じものだとは思うが、一応確認する。

魔導コンロ
・使用者が魔力を流すと火がつく。魔力の量によって火力を調整できる。
・魔力が少ない人でも使えるように、魔力を圧縮してから変換する。
・使用者が魔力を流すのが基本だが、所有者の魔力を溜めて使用する事が出来る。
・所有者の他に、使用者を20人まで登録できる。

「へえ、これならだれでも使えるな。良い仕事をしている。じゃあ、次を見よう」

 5つ全てが同じ鑑定結果だったので、次はオーブンを調べる事にした。ちなみオーブンは2台ある。鑑定の結果は魔導コンロと同じ仕様だったので、すぐにオーブンは片付けた。

「次はこれか・・・」

 アイテムボックスから取り出したのは蛇口だった。蛇口は4つある。水道管が繋がるはずの場所には青い魔石が嵌っている。

魔導水道
・使用者が魔力を流すと水が出る。
・所有者の魔力を溜めて使う事も出来る。
・所有者の他に、使用者を20人登録できる。

「見たまんま水道か。これも俺が所有者登録して魔力を溜めておけば問題はない」

 蛇口を片付け、いよいよ大物だ。目に前に出したのは大型冷蔵庫を模した魔導具だった。

魔導保管庫
・アイテムボックスのスキル移植された魔導具。
・アイテムボックスと同様に内部は時間が止まっている。
・容量は∞
・所有者の他に、使用者を20人まで設定できる
※所有者登録時に制作者瀬川雄太のメッセージあり。

「おいおい・・・アイテムボックスのスキルを移植だと?しかもメッセージが残ってるのか・・・」

 タクマは早速魔導保管庫の所有者登録をする。すると頭の中に声が響いた。

『遺産を継承した転移者にこのメッセージをおくる。君たちが欲してやまない食材と、調味料を保管しようとこの魔導具を作った。どうか有効に使って欲しい。君がこっちの世界で一生使っても余りある食材を揃えてある。そもそも食材を集めたのは、俺が食いたいと言うのが主だったが、いつか食堂でもやろうかと思っていたんだ。結局できそうもないがな・・・まあ、そんなわけで沢山の食材が入っているから使ってくれ。戦うのが嫌になったら食堂でもやると良い。俺のチートを駆使して大量の食材と調味料を用意してるからな。・・・・それと良い事を教えてやろう。この保管庫には米がある。一応数十トンはあるから枯渇はないとは思うが、欲しくなったら邪神の封印地の近くにある村を訪ねてみろ。その村が今も存在しているかは不明だが、俺はそこで米を手に入れたからな。あと、このメッセージが終わったら保管庫のドアに触れてみろ。中身が分かるようになってる。使用者も登録をすれば中身が分かるぞ。じゃあ、これでメッセージは終わりだ。どうか君が幸せな人生を送ってくれることを祈っている』

 瀬川雄太のメッセージを聞き終わったタクマは、黙って保管庫のドアに触れた。すると頭の中には膨大な量の食材や調味料の在庫が流れ込んでくる。

「・・・・ありがとう。有効に使わせてもらうよ。・・・まさか、異世界商店以外で米は勿論、醤油、味噌が手に入るとはな・・・」

 保管庫を片付けて家に入る頃には、外は朝日に照らされ清々しい空気が辺りには漂っていた。起きて来た子供達と食事を済ませて執務室へと移動した。子供達はカイルと共に孤児院へと向かっている。
 タクマはアークスを呼んで、この日の予定を話し合う。

「タクマ様。この後はどう動きますか?」
「俺は商業ギルドに行って、業態をレストランに変更する事を言いに行く。アークスは職人の所だよな?面倒な案件だが、穏便に済むように頼む」
「問題ありません。あまりに話が拗れるようでしたら呼ぶかもしれませんが・・・」
「分かった。その時は遠慮なく呼んでくれ」

 執務室から教会へ飛んだタクマは、そのまま商業ギルドへと移動する。受付でギルド長との面会を希望すると、すぐに個室へと案内された。しばらく待っていると、ギルド長が颯爽と現れた。

「お主が来ると言う事は、店の進展があったのかの?」
「まあ・・・そうですね。進展したと言えばそうかもしれません」
「随分と歯切れの悪い・・・何かあったのか?」

 タクマは話し合いの結果をギルド長に話していく。話を聞きながらギルド長は難しい顔をしていた。

「レストランのう・・・やるのは良いが、値段はどのくらいで考えているのじゃ?トーランでレストランをやるには相当安くしなければやれんぞ」
「その辺はしっかりと考えています。全てのメニューは一般向けに安くすると思いますから。それに酒場と客層が分かれると思いますからバッティングする事はありません」

 タクマそう言ってギルド長に説明を行う。レストランは基本的に家族連れをターゲットにしているのだ。酒も軽い物しか出すつもりはない。

「それだったら問題もないかの。仕入れはどうする?あの屋敷の規模でレストランをやるなら、相当な食材が必要になるはずじゃ」
「その辺はギルドに・・・と考えていたのですが、違うルートで用意が出来るので問題はありません。不足した野菜などを買うくらいでしょうか」
「君に仕入れ方法を聞いても言わんのは分かっている。まあ、出来ると言うなら好きにやってみるといい」
「ありがとうございます」

 ギルド長にも許可を貰ったので、商業ギルドを出て屋敷へ向かう。レストランのフロアの配置などを実際に見て決めるつもりだからだ。屋敷に到着する手前で野太い声で争う声が聞こえてくるのだった。




 
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