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第二章_小悪魔シンガーと母子の絆
第四話_要の反抗期
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金剛寺要は憤慨していた。
時は少し進んで夕暮れ前。
東京某所にある要のアパートにて……
要はスマホで求人広告を眺めていた。
(なんですか!あの返信は!!)
彼の怒りの原因は抗議文に対する薄井の返答。
〔三週間も休む正当な理由?〕
について問いかけた時に返ってきた内容が、
〔君は少し世間知らずだから色んな事を経験した方がいい〕
という非常にノンデリなモノだった。
腹を立てた要が〔どこが世間知らずなのか?〕と問い詰めると、
〔コンビニにも、100均にも、激安スーパーにも、中古ショップにも行った事が無いのは流石にヤバイ。
君がこれから歌を届ける相手は著名な音楽家や一部の富裕層じゃなくて、どこにでもいる一般人なんだ。
君が一般人の感性を持ってないのは致命的だ〕
と長文且つ正論でボコボコにぶん殴られて完全論破されたのだ。
そこでおとなしく引き下がればいいモノの、
〔じゃあ、何をすれば世間知らずじゃないと認めてくれますか!?〕
と売り言葉に買い言葉で食って掛かった時の答えが、〔バイトでもしてみたら?〕である。
その結果が現在の行動だ。
(スーパーのパート時給1200円、コンビニのバイト時給1300円……お金を稼ぐのってこんなに大変なんだ)
要は生まれて初めて、世間一般の価値観に触れていた。
彼は有名音楽一家の息子として生を受けた。
両親が出演するコンサートのチケットを手に入れようと思ったら、一番安い席でも2万円は払わなくてはならない。
普通にバイトをしてチケットを買おうと思ったら十六時間以上、つまり丸々二日分以上の給料が吹き飛ぶという事だ。
(世間知らず……か)
薄井の言葉が要の胸に突き刺さる。
配信を見てくれた星学者がスパチャ(投げ銭)をしてくれる事がある。
100円、200円の少額の場合もあれば、10000円以上の高額な場合もある。
スパチャは応援したいという気持ちだ。
額面に関係なく真昼野ステラの活動を応援してくれる事がこの上なく嬉しかった。
でも、もしかしたら少額のスパチャでもその人にとってはナケナシの小遣いから絞り出したお金なのかもしれない。
高額スパチャに至っては生活切り詰めまくって捻出しているのかもしれない。
世間一般の金銭感覚を知らなかった事が星学者の皆にとって物凄く失礼だったように思えてならなかった。
そして何より……
(はぁ……今月、厳しいかも)
要自身が金欠だった。
つい先日真昼野ステラとしての初給料を貰った。
新人Vシンガーにとっては十分な額だったと思う。
嬉しくて自宅用のPC、マイク、音楽機材、それから好きなアーティストのライブブルーレイ等々、貰った給料全てをつぎ込んで買い漁った。
……親からの仕送りが無くなった事も忘れて。
Vシンガー活動を行うにあたって両親から勘当されたことも忘れて……
学費と家賃はあらかじめ両親が支払ってくれていたから問題ない。
だが食費と光熱費は稼がなくてはならない。
散財しなければ何の問題も無かったはずなのに……
要は世間知らずな過去の自分を張り倒したい衝動に駆られていた。
休業前の自分なら薄井に相談していただろう。
きっと薄井もため息を吐きながらも対応してくれていただろう。
だが今現在それをする事は要のプライドが許さない。
『世間知らず』を自ら証明するのに等しい行為だから……
(スポットで出来て、時間帯が選べるバイトは……)
こうして、要は近所のコンビニでバイトする事になった。
時は少し進んで夕暮れ前。
東京某所にある要のアパートにて……
要はスマホで求人広告を眺めていた。
(なんですか!あの返信は!!)
彼の怒りの原因は抗議文に対する薄井の返答。
〔三週間も休む正当な理由?〕
について問いかけた時に返ってきた内容が、
〔君は少し世間知らずだから色んな事を経験した方がいい〕
という非常にノンデリなモノだった。
腹を立てた要が〔どこが世間知らずなのか?〕と問い詰めると、
〔コンビニにも、100均にも、激安スーパーにも、中古ショップにも行った事が無いのは流石にヤバイ。
君がこれから歌を届ける相手は著名な音楽家や一部の富裕層じゃなくて、どこにでもいる一般人なんだ。
君が一般人の感性を持ってないのは致命的だ〕
と長文且つ正論でボコボコにぶん殴られて完全論破されたのだ。
そこでおとなしく引き下がればいいモノの、
〔じゃあ、何をすれば世間知らずじゃないと認めてくれますか!?〕
と売り言葉に買い言葉で食って掛かった時の答えが、〔バイトでもしてみたら?〕である。
その結果が現在の行動だ。
(スーパーのパート時給1200円、コンビニのバイト時給1300円……お金を稼ぐのってこんなに大変なんだ)
要は生まれて初めて、世間一般の価値観に触れていた。
彼は有名音楽一家の息子として生を受けた。
両親が出演するコンサートのチケットを手に入れようと思ったら、一番安い席でも2万円は払わなくてはならない。
普通にバイトをしてチケットを買おうと思ったら十六時間以上、つまり丸々二日分以上の給料が吹き飛ぶという事だ。
(世間知らず……か)
薄井の言葉が要の胸に突き刺さる。
配信を見てくれた星学者がスパチャ(投げ銭)をしてくれる事がある。
100円、200円の少額の場合もあれば、10000円以上の高額な場合もある。
スパチャは応援したいという気持ちだ。
額面に関係なく真昼野ステラの活動を応援してくれる事がこの上なく嬉しかった。
でも、もしかしたら少額のスパチャでもその人にとってはナケナシの小遣いから絞り出したお金なのかもしれない。
高額スパチャに至っては生活切り詰めまくって捻出しているのかもしれない。
世間一般の金銭感覚を知らなかった事が星学者の皆にとって物凄く失礼だったように思えてならなかった。
そして何より……
(はぁ……今月、厳しいかも)
要自身が金欠だった。
つい先日真昼野ステラとしての初給料を貰った。
新人Vシンガーにとっては十分な額だったと思う。
嬉しくて自宅用のPC、マイク、音楽機材、それから好きなアーティストのライブブルーレイ等々、貰った給料全てをつぎ込んで買い漁った。
……親からの仕送りが無くなった事も忘れて。
Vシンガー活動を行うにあたって両親から勘当されたことも忘れて……
学費と家賃はあらかじめ両親が支払ってくれていたから問題ない。
だが食費と光熱費は稼がなくてはならない。
散財しなければ何の問題も無かったはずなのに……
要は世間知らずな過去の自分を張り倒したい衝動に駆られていた。
休業前の自分なら薄井に相談していただろう。
きっと薄井もため息を吐きながらも対応してくれていただろう。
だが今現在それをする事は要のプライドが許さない。
『世間知らず』を自ら証明するのに等しい行為だから……
(スポットで出来て、時間帯が選べるバイトは……)
こうして、要は近所のコンビニでバイトする事になった。
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