運命の落とし穴

恩田璃星

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運命の再会6

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 頼まれたら断れない性格の私に、事情を説明して嫁がせるのは酷だと思ったらしく、血眼になって私が気に入りそうな相手を探し、自然な流れで結婚させようと企んだそうだ。

 はっきり言って、状況は悲惨だ。

 このご時世に、身売りみたいな結婚だなんて。

 だけど、無駄に豊かな妄想力のおかげで、ショックは緩和されていた。

 私にとっては、予想していた状況よりいくらかマシだ。

 「…なーんだ。そういうことだったのか」

 「奏音?…あんた、もしかしてー」

 「まさか、何?」

 「あ、ううん。なんでもない」

   「そう?じゃあ、次のお見合いが決まったら、連絡ちょうだいね」

 母が震える声で「ありがとう」と言うのを聞き終え、電話を置いたのと同時に、深い深い溜息が漏れた。

 でも、これでいいんだ。

 最近は、お見合い結婚する人たちだって少なくないし。

 恋愛には不向きな私が、誰かと結婚して家庭を作るチャンスを、神様がくれたと思えばいい。

 それにしても、母が白羽の矢を点てた相手が、よりによって羽立くんだったなんて。

 神様も余計なことをしてくれる。

    そういえば、羽立くんはどうしてお見合いの場にのこのこ現れたのだろう?

 それを聞き忘れたのだけが心残りだ。

 話も聞かずに逃げてしまったし。

 もしかしたら、彼も何か困った状況に陥っているのかもしれない。

   羽立くんが私とのお見合いを断らなかった理由が気になって、結局その後も、全く漫画に集中できなかった。

 そして、眠る直前まで羽立くんのことを考えていたせいか、その日の夢は再現VTRみたいな、高校時代の私達だった。

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