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波乱の同居生活5
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誰かの匂いと体温を感じながら眠るのは、いつぶりだろう。
幼い頃の記憶と重なる、言いようのない多幸感。
ずっと、いつまでも、こうしていたい。
ん?
匂いと…体温?
カッと目を開いた私は、声にならない悲鳴を上げた。
やっちゃってる!!
羽立くんのことを、抱きまくらにしてしまっている!!
弁解の余地もないほど、思い切りぎゅーっと抱きしめてしまってる!!!
わたっ、わたっ、私…なんてことを…っ!!
ところがー。
誰に対するアピールなのか、両手を羽立くんの身体から離し、仰け反って初めて気づいた。
身体が離れない。
私の背中には羽立くんの腕が回され、足には羽立くんの足が絡まってる。
これってもしかして、私、羽立くんに抱きしめられてる!?
10年前は、触ることもできなかったのに。
寝ているとはいえ、抱きしめてもらえるなんて。
こんなこと、もう二度とないかもしれない。
だから神様、羽立様…今だけ、許してください。
羽立くんを起こさないように、広い背中を柔らかく包み、羽立くんの胸元にそっと顔を擦り寄せた。
ドッドッドッドッ
え?
寝てる人の心音がこんなに早いなんて、あり得るでしょうかー?
もしかしてー
「羽立くん…起きてる?」
聴力検査並の小さな声で訊ねてみる。
返事はない。
でも…。
ドドドドドドドドド
心臓の音が倍速になった。
これ、絶対起きてるー!!
「ごめん!ごめんね!!温かくてすごくいい匂いで…寝てるからってつい出来心でスリスリしちゃって。気分悪い!?蕁麻疹出てない!?」
痴漢の言い訳のようなものを並べ立てながら、羽立くんから離れようとすると、背中に回された腕と、絡まった足で、逆にさっきよりもっと密着させられた。
まさか…証拠保全?
私に襲われたって証拠の写真でも撮る気?
「こんな時まで…どんだけお人好しなんだよ。どう考えても俺の心配してる場合じゃないだろ」
「え?」
「当たってるの…分かんないくらい俺の存在感ない?」
「は?」
グッと下半身を押し付けられて気づく、熱を持った塊の存在。
まさかー
「絶対ありえないと思ってたのに…女相手に勃つなんて」
それって、つまりー
「奏音さんとなら、できそう」
「で、できそうって」
「セックス」
羽立くんは、揶揄ってるわけじゃない。
むしろかなり動揺してる。
だって敬語じゃなくなってるし。
羽立くんが私に対して敬語を崩したのは、理科準備室で、女子が嫌いになったきっかけを話した時に激昂した一度きり。
なんて冷静に分析してる場合じゃなくて。
「そ、そんなのダメだよ!だって…」
「何で?俺がゲイだから?変な病気になるかもとか思ってる?」
「そんなんじゃなくて…羽立くんのアイデンティティ…いや、セクシュアリティが!!」
「それをグラつかせてるの、他でもない奏音さんなんだって分かんない?」
ピタリとくっついた上半身から伝わる鼓動が、怖いくらい激しい。
耳にかかる荒い吐息の熱も、羽立くんが私に欲情してくれていることを、ハッキリと伝えてくる。
「奏音さんのカラダ…細くて、薄くて…○学生のコとイケナイコトしてるみたいで、すっごい興奮する…」
…って、そこーーー!?
ノーマルな男女間の会話だったら、完全アウトなセリフにも、10年来恋の病に蝕まれている私は喜びを感じてしまう。
羽立くんに欲情してもらえるなら、胸なくて良かった…。
でも。
何故かここで走馬灯のように蘇る、BL漫画を読んだ時に妄想してしまった、羽立くん(受け)と矢吹(攻め)のセックス。
私には胸もないけれど、アレもない。
せっかく欲情してもらえたのに、今の私じゃ羽立くんを満足させてあげられない。
「高校の時みたいに、ありのままの俺を受け入れて」
羽立くんのキレイな顔がどんどん私の顔に近づいてきて、唇と唇が触れ合いそうになった瞬間。
渾身の力で羽立くんの胸を押し返し、絶叫していた。
「ち、知識も経験も0だし、準備不足だから!!ちょっと時間くださいっ!!!」
そして、脱兎のごとく羽立くんの部屋から逃げ出した。
幼い頃の記憶と重なる、言いようのない多幸感。
ずっと、いつまでも、こうしていたい。
ん?
匂いと…体温?
カッと目を開いた私は、声にならない悲鳴を上げた。
やっちゃってる!!
羽立くんのことを、抱きまくらにしてしまっている!!
弁解の余地もないほど、思い切りぎゅーっと抱きしめてしまってる!!!
わたっ、わたっ、私…なんてことを…っ!!
ところがー。
誰に対するアピールなのか、両手を羽立くんの身体から離し、仰け反って初めて気づいた。
身体が離れない。
私の背中には羽立くんの腕が回され、足には羽立くんの足が絡まってる。
これってもしかして、私、羽立くんに抱きしめられてる!?
10年前は、触ることもできなかったのに。
寝ているとはいえ、抱きしめてもらえるなんて。
こんなこと、もう二度とないかもしれない。
だから神様、羽立様…今だけ、許してください。
羽立くんを起こさないように、広い背中を柔らかく包み、羽立くんの胸元にそっと顔を擦り寄せた。
ドッドッドッドッ
え?
寝てる人の心音がこんなに早いなんて、あり得るでしょうかー?
もしかしてー
「羽立くん…起きてる?」
聴力検査並の小さな声で訊ねてみる。
返事はない。
でも…。
ドドドドドドドドド
心臓の音が倍速になった。
これ、絶対起きてるー!!
「ごめん!ごめんね!!温かくてすごくいい匂いで…寝てるからってつい出来心でスリスリしちゃって。気分悪い!?蕁麻疹出てない!?」
痴漢の言い訳のようなものを並べ立てながら、羽立くんから離れようとすると、背中に回された腕と、絡まった足で、逆にさっきよりもっと密着させられた。
まさか…証拠保全?
私に襲われたって証拠の写真でも撮る気?
「こんな時まで…どんだけお人好しなんだよ。どう考えても俺の心配してる場合じゃないだろ」
「え?」
「当たってるの…分かんないくらい俺の存在感ない?」
「は?」
グッと下半身を押し付けられて気づく、熱を持った塊の存在。
まさかー
「絶対ありえないと思ってたのに…女相手に勃つなんて」
それって、つまりー
「奏音さんとなら、できそう」
「で、できそうって」
「セックス」
羽立くんは、揶揄ってるわけじゃない。
むしろかなり動揺してる。
だって敬語じゃなくなってるし。
羽立くんが私に対して敬語を崩したのは、理科準備室で、女子が嫌いになったきっかけを話した時に激昂した一度きり。
なんて冷静に分析してる場合じゃなくて。
「そ、そんなのダメだよ!だって…」
「何で?俺がゲイだから?変な病気になるかもとか思ってる?」
「そんなんじゃなくて…羽立くんのアイデンティティ…いや、セクシュアリティが!!」
「それをグラつかせてるの、他でもない奏音さんなんだって分かんない?」
ピタリとくっついた上半身から伝わる鼓動が、怖いくらい激しい。
耳にかかる荒い吐息の熱も、羽立くんが私に欲情してくれていることを、ハッキリと伝えてくる。
「奏音さんのカラダ…細くて、薄くて…○学生のコとイケナイコトしてるみたいで、すっごい興奮する…」
…って、そこーーー!?
ノーマルな男女間の会話だったら、完全アウトなセリフにも、10年来恋の病に蝕まれている私は喜びを感じてしまう。
羽立くんに欲情してもらえるなら、胸なくて良かった…。
でも。
何故かここで走馬灯のように蘇る、BL漫画を読んだ時に妄想してしまった、羽立くん(受け)と矢吹(攻め)のセックス。
私には胸もないけれど、アレもない。
せっかく欲情してもらえたのに、今の私じゃ羽立くんを満足させてあげられない。
「高校の時みたいに、ありのままの俺を受け入れて」
羽立くんのキレイな顔がどんどん私の顔に近づいてきて、唇と唇が触れ合いそうになった瞬間。
渾身の力で羽立くんの胸を押し返し、絶叫していた。
「ち、知識も経験も0だし、準備不足だから!!ちょっと時間くださいっ!!!」
そして、脱兎のごとく羽立くんの部屋から逃げ出した。
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