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それぞれの準備3
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ダッシュでキッチンに台拭きとタオルを取りに行き、後始末をしていると、宮本くんが頭を抱えて呻いている。
「う、嘘だ…昴が女相手にそんなこと言うはずない」
「私だって何かの間違いと思って止めたわよ。だけど…だからどうしたらいいか分からなくて逃げて来たんだってば!!」
「『だけど』って何だ!…昴があんたなんかのどこに欲情したって言うんだよ!?」
「…カラダが薄っぺらいから、○学生とイケナイコトしてるみたいって言ってた…」
宮本くんが、今度はお茶を噴いた。
もう!さっき噴いた豚汁をやっと綺麗にしたばっかりなのに!!
「昴そういう趣味もあったのか…まあ…ノンケの俺が昴とだけはできたんだから、ゲイの昴が常盤奏音と絶対できないってこともない…のか?」
半分自分に言い聞かせるようにブツブツ言う宮本くんが、ちょっと怖いなと思っていたらー
「あんた、ホントに昴の何なわけ!?」
と、またしても最初の時と同じ質問。
「だから!今は一応婚約者だけど、元はただの高校の先輩だってば!」
「…昴、あんたのこと本気で好きなのかな」
宮本くんの淋しげな一言が、私の感情を大きく揺さぶりかける。
羽立くんが私のことを?
だとしたら本当に嬉しいけどー
「それはないでしょ」
「だよな」
ムカつくくらいあっさり肯定された。
ちょっとくらい否定してくれたって…と心の中でいじけつつ、台拭きを洗いにキッチンに向かった。
そこで思い出したことが一つ。
「そういえば、前に羽立くんって誰にも本気にならないって言ってたよね?あれ、何でなの?」
高校の時、羽立くんは間違いなく矢吹に本気で恋をしていたと思う。
側で見ているこちらが苦しくなるくらい、真っ直ぐ、一途に。
矢吹との恋は叶わなかったけど、心から愛し合える相手を見つけることは、彼にとってそう難しくないはずだ。
一体何が、彼を変えてしまったんだろう。
「ああ…あれね。あんま言いたくなさそうだったから、俺も詳しくは聞いてないけど、最初の相手に酷いことされたっぽい」
「酷い…こと?」
頭の中で、私の妄想が暴走する。
最初の相手にいきなり二股かけられたとか?
それとも、あんな写真やこんな写真をネット上にバラ撒かれた?
もしかして…近づくことさえ嫌な相手に、保健室でいきなり初めてを奪われたとか?
「落ち着け!常盤奏音!!怖えよ!!」
我に返ると、水切りカゴからさっき洗ったばかりの包丁を持って、宮本くんの前に立っていた。
「あ…ごめん」
ショックと怒りで、どうにかなってしまいそうだ。
「それって…いつ頃の話?」
「だから、あんまり詳しく聞いてないんだって。それより、何であんたが包丁持ち出すほどショック受けてんだよ?もしかしてあんた、昴のこと本気で…」
そこで話を遮るように、タイミング良く宮本くんの電話が鳴ると、宮本くんはほぼ同時に通話ボタンをタップした。
もしかして、モデルの他に早押しクイズ王かかるたの名人でも目指してるんじゃないだろうかという速さで。
多分、宮本くんの言葉の続きは「昴のこと本気で好きなの?」だと思うから、助かった。
元カレの宮本くんに、上手く誤魔化せる自信なんてない。
と、思っていたら。
「は?今から俺ん家来る?もうマンションの前!?おいちょっと待て!昴っ!?」
「え?ちょっと何??今の会話???もしかして羽立くん…」
「家に来るって」
言ってるそばから鳴り響くインターフォン。
「何も疚しいことなんてないけど、ややこしくなるから、あんたちょっと風呂にでも隠れてろ!!」
宮本くんは私をバスルームに押し込むと、玄関へと向かった。
「う、嘘だ…昴が女相手にそんなこと言うはずない」
「私だって何かの間違いと思って止めたわよ。だけど…だからどうしたらいいか分からなくて逃げて来たんだってば!!」
「『だけど』って何だ!…昴があんたなんかのどこに欲情したって言うんだよ!?」
「…カラダが薄っぺらいから、○学生とイケナイコトしてるみたいって言ってた…」
宮本くんが、今度はお茶を噴いた。
もう!さっき噴いた豚汁をやっと綺麗にしたばっかりなのに!!
「昴そういう趣味もあったのか…まあ…ノンケの俺が昴とだけはできたんだから、ゲイの昴が常盤奏音と絶対できないってこともない…のか?」
半分自分に言い聞かせるようにブツブツ言う宮本くんが、ちょっと怖いなと思っていたらー
「あんた、ホントに昴の何なわけ!?」
と、またしても最初の時と同じ質問。
「だから!今は一応婚約者だけど、元はただの高校の先輩だってば!」
「…昴、あんたのこと本気で好きなのかな」
宮本くんの淋しげな一言が、私の感情を大きく揺さぶりかける。
羽立くんが私のことを?
だとしたら本当に嬉しいけどー
「それはないでしょ」
「だよな」
ムカつくくらいあっさり肯定された。
ちょっとくらい否定してくれたって…と心の中でいじけつつ、台拭きを洗いにキッチンに向かった。
そこで思い出したことが一つ。
「そういえば、前に羽立くんって誰にも本気にならないって言ってたよね?あれ、何でなの?」
高校の時、羽立くんは間違いなく矢吹に本気で恋をしていたと思う。
側で見ているこちらが苦しくなるくらい、真っ直ぐ、一途に。
矢吹との恋は叶わなかったけど、心から愛し合える相手を見つけることは、彼にとってそう難しくないはずだ。
一体何が、彼を変えてしまったんだろう。
「ああ…あれね。あんま言いたくなさそうだったから、俺も詳しくは聞いてないけど、最初の相手に酷いことされたっぽい」
「酷い…こと?」
頭の中で、私の妄想が暴走する。
最初の相手にいきなり二股かけられたとか?
それとも、あんな写真やこんな写真をネット上にバラ撒かれた?
もしかして…近づくことさえ嫌な相手に、保健室でいきなり初めてを奪われたとか?
「落ち着け!常盤奏音!!怖えよ!!」
我に返ると、水切りカゴからさっき洗ったばかりの包丁を持って、宮本くんの前に立っていた。
「あ…ごめん」
ショックと怒りで、どうにかなってしまいそうだ。
「それって…いつ頃の話?」
「だから、あんまり詳しく聞いてないんだって。それより、何であんたが包丁持ち出すほどショック受けてんだよ?もしかしてあんた、昴のこと本気で…」
そこで話を遮るように、タイミング良く宮本くんの電話が鳴ると、宮本くんはほぼ同時に通話ボタンをタップした。
もしかして、モデルの他に早押しクイズ王かかるたの名人でも目指してるんじゃないだろうかという速さで。
多分、宮本くんの言葉の続きは「昴のこと本気で好きなの?」だと思うから、助かった。
元カレの宮本くんに、上手く誤魔化せる自信なんてない。
と、思っていたら。
「は?今から俺ん家来る?もうマンションの前!?おいちょっと待て!昴っ!?」
「え?ちょっと何??今の会話???もしかして羽立くん…」
「家に来るって」
言ってるそばから鳴り響くインターフォン。
「何も疚しいことなんてないけど、ややこしくなるから、あんたちょっと風呂にでも隠れてろ!!」
宮本くんは私をバスルームに押し込むと、玄関へと向かった。
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