24 / 358
第一章
絶望の淵に
しおりを挟む
ふと目覚めると、そこは私の暮らしていた部屋ではなかった。
いつもこうやって気を失った後は……必ず戻れていたのに……。
目の前に映る光景に私は静かに涙があふれ出す中、徐に体を起こす。
ふと自分自身に目を向けると、真っ白なドレスを着せられていた。
涙で視界が滲む中、徐に辺りを見渡すと、ヨーロッパ風のアンティークが並ぶ、豪華な部屋に一度流れ出した涙は止まらない。
もう本当に帰れないの……?
私はもうタクミに会う事が出来ないの……?
受け入れらない現実に絶望している中、薄暗い部屋の中に小さな光が差し込んだ。
光の先へ徐に顔を向けると、そこにはあの魔導師の男が、私に手を差し出し佇んでいた。
「異世界の姫、一緒に来ていただけませんか?」
私は何も答えず、魔導師の男を睨みつけると、流れる涙を何度も拭った。
彼はそんな私に小さく微笑みを浮かべると、私の元へと近づいてきた。
距離を詰めてくる彼から、必死に後ずさっていると、次第にベッドの隅に追いやられていく。
逃げ道がなくなると……私は脚を抱え、身を守るように小さく体を丸めた。
ふと彼の髪が私の脚にかかると、私の体は自然と強張った。
嫌……また襲われるの……?
そう思うと恐怖で体が震えだすのを感じ、私は必死に抑え込んだ。
すると彼はジャラッと金属音を鳴らしたかと思うと、私に触れる事なく、目の前に何かを掲げて見せる。
私は恐る恐る目線を上げると、そこには見覚えのあるシルバーリングに目が釘付けになった。
ハッと自分の薬指へ目を向けると、同じシルバーリングがキラリと輝いている。
信じられない思いで、私は徐にシルバーリングに手を伸ばすと、見覚えのあるシンプルなリングに、私は大きく目を見開き固まった。
うそ……これ……、どうして彼が持っているの……?
私は震える手でリングに触れると、リングの裏に書かれている、この世界で一度も口にしたことのない、自分の名前を確かめた。
「これは……どうして……あなたがこれを……?」
「答えを知りたければ、私についてきなさい」
彼はスッと目を細めると、私に背を向け歩き始める。
私は急いで彼の背中を追いかけると、彼は王宮の廊下を進み、広いエントランスを抜けていった。
そのまま道沿いに歩いていくと、ただっぴろい草原へとたどり着く。
彼はそのまま迷うことなく進む中、広場にポツンと置かれていた、一つの大きな石の前まで歩いていくと、静かに頭を下げた。
「ここは私の師が眠る場所です……そしてその指輪を、私に預けた人物でもあります」
あまりの衝撃に私は石へ駆け寄ると、そこには【偉大なる魔導師 ターキィーミ ここに眠る】と刻まれていた。
私は勢いよく振り返ると、彼のエメラルドの瞳がスッと細められた。
「こちらの文字も読めるようにしておきました。さぁ……何から話しましょうか……」
そう呟いた彼は私の隣へしゃがみ込むと、寂しげな瞳で墓石を眺めながら、徐に口を開いた。
私は平民に生まれ、私の母親には、5人の夫がいました。
その中で3番目に生まれたのが、私だったんです。
皆仲良く暮らしていたある日、母は病気で亡くなりました。
そうして母が居なくなるや否や、私の父は私を男娼館へと売ったんです。
私は自分で言うのも何ですが……今見て頂いてもわかるように、見目だけは優れていましたからね……。
この世界……子供と一緒じゃ……次の結婚相手なんて見つからないですから。
あの頃の私は魔法なんて物を全然知らなくて、毎日貴族の女相手に体を売ってました。
時には男に指名され、アナルを犯されることもありましたよ。
男娼館で見目が良かった私はすぐに店の看板になると、毎日……毎日女の喘ぎ声に魘された。
見世物にされ……縛られることもありました。
そうして女を喜ばせる事を学び、女に媚びることを覚えた。
時には男を相手にさせられ、詰られ、侮辱され、心が壊れるほど犯される。
そんな地獄の生活が5年ほど続きました。
そんなある日、お店に師匠が来たんです。
師匠は私を指名し、すぐに私を買い取ろうとしました。
私は店で人気がありましたからね、かなり高額な料金を吹っ掛けられたようですが……師匠は平然とその金額を支払い、私を買い取りました。
そうして私は男娼から、師匠の所有物になりました。
最初は師匠も私の体目当てで買ったんだと思っていたんです。
慣れてきたとは言え、アナルを犯されるのは好きではなかった。
それでも私をあの地獄の場所から救ってくれたことに……私は媚びるように師匠に笑みを浮かべました。
そんな師匠は私を自分の家に連れて帰ると、シャワーを浴びさせ、新しい服を用意してくれました。
美味しいご飯も食べさせてくれて……優しい言葉もかけてくれた。
だからその夜、私は自分から師匠の部屋へと行きました。
ここまでよくしてくれているんだ、体で返さないと……と思いましてね。
あの時の記憶は、今でも鮮明に思い出せる。
あの日……満月が真上に浮かぶ深夜に、私は師匠の部屋のドアを叩きました。
ドンドンドン
静かに扉が開くと、師匠は澄んだターコイズの瞳を見開き驚いていました。
「……うん、どうしたんだ?一人じゃ眠れないのか?」
「いえ……色々良くしてもらって、私を使って頂こうと思いまして……」
ボソボソと私がそう話すと、師匠は肩を揺らして笑い始めました。
「ははっ、まだ言ってなかったな。俺は君をそういった意味で買ったんじゃない。落ち着いてから話そうと思っていたが……」
師匠は私を部屋に招き入れると、椅子へと座らせてくれました。
窓から眩い月明かりが差し込む中、師匠はどこからかグラスを持ってくると、私の前に差し出した。
いつもこうやって気を失った後は……必ず戻れていたのに……。
目の前に映る光景に私は静かに涙があふれ出す中、徐に体を起こす。
ふと自分自身に目を向けると、真っ白なドレスを着せられていた。
涙で視界が滲む中、徐に辺りを見渡すと、ヨーロッパ風のアンティークが並ぶ、豪華な部屋に一度流れ出した涙は止まらない。
もう本当に帰れないの……?
私はもうタクミに会う事が出来ないの……?
受け入れらない現実に絶望している中、薄暗い部屋の中に小さな光が差し込んだ。
光の先へ徐に顔を向けると、そこにはあの魔導師の男が、私に手を差し出し佇んでいた。
「異世界の姫、一緒に来ていただけませんか?」
私は何も答えず、魔導師の男を睨みつけると、流れる涙を何度も拭った。
彼はそんな私に小さく微笑みを浮かべると、私の元へと近づいてきた。
距離を詰めてくる彼から、必死に後ずさっていると、次第にベッドの隅に追いやられていく。
逃げ道がなくなると……私は脚を抱え、身を守るように小さく体を丸めた。
ふと彼の髪が私の脚にかかると、私の体は自然と強張った。
嫌……また襲われるの……?
そう思うと恐怖で体が震えだすのを感じ、私は必死に抑え込んだ。
すると彼はジャラッと金属音を鳴らしたかと思うと、私に触れる事なく、目の前に何かを掲げて見せる。
私は恐る恐る目線を上げると、そこには見覚えのあるシルバーリングに目が釘付けになった。
ハッと自分の薬指へ目を向けると、同じシルバーリングがキラリと輝いている。
信じられない思いで、私は徐にシルバーリングに手を伸ばすと、見覚えのあるシンプルなリングに、私は大きく目を見開き固まった。
うそ……これ……、どうして彼が持っているの……?
私は震える手でリングに触れると、リングの裏に書かれている、この世界で一度も口にしたことのない、自分の名前を確かめた。
「これは……どうして……あなたがこれを……?」
「答えを知りたければ、私についてきなさい」
彼はスッと目を細めると、私に背を向け歩き始める。
私は急いで彼の背中を追いかけると、彼は王宮の廊下を進み、広いエントランスを抜けていった。
そのまま道沿いに歩いていくと、ただっぴろい草原へとたどり着く。
彼はそのまま迷うことなく進む中、広場にポツンと置かれていた、一つの大きな石の前まで歩いていくと、静かに頭を下げた。
「ここは私の師が眠る場所です……そしてその指輪を、私に預けた人物でもあります」
あまりの衝撃に私は石へ駆け寄ると、そこには【偉大なる魔導師 ターキィーミ ここに眠る】と刻まれていた。
私は勢いよく振り返ると、彼のエメラルドの瞳がスッと細められた。
「こちらの文字も読めるようにしておきました。さぁ……何から話しましょうか……」
そう呟いた彼は私の隣へしゃがみ込むと、寂しげな瞳で墓石を眺めながら、徐に口を開いた。
私は平民に生まれ、私の母親には、5人の夫がいました。
その中で3番目に生まれたのが、私だったんです。
皆仲良く暮らしていたある日、母は病気で亡くなりました。
そうして母が居なくなるや否や、私の父は私を男娼館へと売ったんです。
私は自分で言うのも何ですが……今見て頂いてもわかるように、見目だけは優れていましたからね……。
この世界……子供と一緒じゃ……次の結婚相手なんて見つからないですから。
あの頃の私は魔法なんて物を全然知らなくて、毎日貴族の女相手に体を売ってました。
時には男に指名され、アナルを犯されることもありましたよ。
男娼館で見目が良かった私はすぐに店の看板になると、毎日……毎日女の喘ぎ声に魘された。
見世物にされ……縛られることもありました。
そうして女を喜ばせる事を学び、女に媚びることを覚えた。
時には男を相手にさせられ、詰られ、侮辱され、心が壊れるほど犯される。
そんな地獄の生活が5年ほど続きました。
そんなある日、お店に師匠が来たんです。
師匠は私を指名し、すぐに私を買い取ろうとしました。
私は店で人気がありましたからね、かなり高額な料金を吹っ掛けられたようですが……師匠は平然とその金額を支払い、私を買い取りました。
そうして私は男娼から、師匠の所有物になりました。
最初は師匠も私の体目当てで買ったんだと思っていたんです。
慣れてきたとは言え、アナルを犯されるのは好きではなかった。
それでも私をあの地獄の場所から救ってくれたことに……私は媚びるように師匠に笑みを浮かべました。
そんな師匠は私を自分の家に連れて帰ると、シャワーを浴びさせ、新しい服を用意してくれました。
美味しいご飯も食べさせてくれて……優しい言葉もかけてくれた。
だからその夜、私は自分から師匠の部屋へと行きました。
ここまでよくしてくれているんだ、体で返さないと……と思いましてね。
あの時の記憶は、今でも鮮明に思い出せる。
あの日……満月が真上に浮かぶ深夜に、私は師匠の部屋のドアを叩きました。
ドンドンドン
静かに扉が開くと、師匠は澄んだターコイズの瞳を見開き驚いていました。
「……うん、どうしたんだ?一人じゃ眠れないのか?」
「いえ……色々良くしてもらって、私を使って頂こうと思いまして……」
ボソボソと私がそう話すと、師匠は肩を揺らして笑い始めました。
「ははっ、まだ言ってなかったな。俺は君をそういった意味で買ったんじゃない。落ち着いてから話そうと思っていたが……」
師匠は私を部屋に招き入れると、椅子へと座らせてくれました。
窓から眩い月明かりが差し込む中、師匠はどこからかグラスを持ってくると、私の前に差し出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる