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第二章
※迷宮の屋敷:中編2
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何だか不気味な場所……。
壁などに施された装飾は豪華だが……シャンデリアなどはなく、棚や、机、置物……そういった家具も見当たらない。
薄暗く、ただっぴろい空間にポツンと存在する階段と王座、何とも言えない気味悪さを演出していた。
そんな事を考えていると、突然に蝋燭の炎が消えた。
「えっ!?」
思わず声を上げ、大きく飛び跳ねると、私は自分のローブに脚を絡ませ倒れ込んだ。
いたたたた……。
ネイトは慌てた様子で私に手を差し出す中、私は恥ずかしさに項垂れていると、一斉に部屋の明かりが一気に灯った。
先ほどの蝋燭とは違い、魔法で照らされたような眩しい光。
私はそっと顔を上げると、先ほどまで誰もいなかったはずの豪華な椅子の上には、美しい女性の姿があった。
燃えるような赤い髪をアップにまとめ、目は切れ長で琥珀色の瞳が輝いている。
体のラインが出るマーメイドドレスを着こなす姿は女性の私が見ても、ドキドキしてしまう。
私はぽうっと女性に見惚れる中、彼女は妖麗な笑みを浮かべながら、そっと唇を動かした。
「おやおや、本当に黒髪で黒い瞳の少女が現れるとはねぇ……それに聖獣ネイトまでご一緒とはたまげたわ~」
女性は美しい所作で、流れるように階段を下りると、そっとネイトの傍へ佇んだ。
ネイトは嫌そうに顔を歪めると、冷たい眼差しを女性へ向けている。
「ネイトォ~ようやく私に抱かれに来てくれたのかい……?うん……何よあなた《想いの実》を失っているじゃないか……」
美しい女性は興ざめしたような様子を見せると、私へ顔を向け、美しい琥珀色の瞳を細めた。
「ほう……この小娘に贈ったのかい。あんたの胸の中に、ネイトの想いが見えるねぇ~」
女性は座り込んでいた私へ徐に手を差し出す中、私はその手を取らず、慌てて立ち上がる。
勢いよく顔を上げ、綺麗すぎる女性に緊張しながらも、私はしっかりと目をあわせた。
「あの……突然のご訪問、申し訳ございません。失礼を承知でお伺いしたいことがございまして……ここに金髪でターコイスの瞳をした女性が訪れたと思うのですが……」
「ふふっ、あぁ来たよ~」
「その女性がどこにいるのかを、ご存知ありませんか?……後……その女性は、この屋敷へ何をしにきたのでしょうか?」
私は勢いそのままに彼女へ問いかけると、女性は妖麗な笑みを浮かべながら、そっと私の前に手を広げて見せる。
「ふ~ん、ただでは教えてあげないわ~。私はね、聖獣の精液が欲しいの。でももう彼はあなたの物になってしまっているわ。だから情報と交換で、彼の精液をちょうだい」
精液……?
精液ってまさかあれの事……。
いやいや、この人何を言っているの!!
「はぁ!?そんなものあげれるはずないでしょう!」
私は顔を真っ赤にそう叫ぶ中、彼女はつまらなそうな表情を浮かべると、私に背を向けた。
「なら何も教えてあげないわ~。さっさとおうちに帰りなさい~」
「待って!!……他の物じゃダメなのかしら」
「他の物……?そうねぇ……ならネイトが欲しいわぁ~その《想いの実》をあなたの体から取り出してもいいかしら?」
「っっ!!!彼は物じゃないわ!!!」
女性は肩を揺らして大きく笑うと、軽く手を振った。
「今度来るときは、ネイトの精液を持ってきてね」
そう楽しそうに話すと、私たちの周りが光に包まれる。
魔力の流れを感じ戸惑う中、気がつけば……私は自分の部屋へ戻ってきていた。
どっ、どうして……ここに!?
移転魔法のような感じはしなったわ……、あの魔法は一体……?
突然の事に混乱する中、ふと先ほどの女性の言葉が蘇ると、怒りがふつふつと沸き起こる。
それよりも……精液ってあの女……何を言っているのよ……!!
こんな条件受け入れられるはずがないわ……。
彼女のなまめかしい笑みが頭を掠めると、私の頬に熱が集まっていく。
私は自分を落ち着かせるように大きく息を吐きだし顔を上げると、ネイトは私の前に静かに佇んでいた。
「姫……あなたが望むのであれば、私の精液を捧げる」
「ちょっ、何を言っているのよ!ダメよ!」
「私は姫が好きだ。姫に抱かれる事はむしろ嬉しい。私の精液が必要なら使ってくれ」
彼は望むようにそっと私の頬へ手を添えると、優しい笑みを浮かべる。
「ダメ!!私にはまだ思い続けている人がいるの……そんな気持ちであなたを抱くことなんて出来ないわ!」
私は真剣な瞳で彼を見上げると、彼は静かに首を横に振った。
「それでも構わない。むしろこの国では普通の事。女性は何人も夫持つから、何もおかしいことはない……姫は私の事が嫌いか……?」
「嫌いじゃない……だけどそういった……その……愛とかそういう気持ちじゃないわ」
「嫌いじゃないのなら大丈夫。私を知って、好きになってくれればいい」
徐に顔を近づけてくる彼の姿に、私は思わず顔を背けた。
「ダメッ!!あの女性がどんな情報を持っているかもわからないし……もうあきらめるわ」
そう言葉をこぼすと、ネイトは悲しそうな表情を浮かべる。
そんな彼の姿に胸が痛む中、ネイトはそっと口を開いた。
「彼女はきっとあなたに必要な情報持っている。彼女はこの国に何百年と住む魔女だから……。魔女は人間と違って嘘をつくことはない。姫が何を望んでいるのかはわからない……でもきっと彼女は姫の役に立つと思う。私が自分で用意できればいいのだが……私はあなたに《想いの実》を贈ってしまったから、一人で果てることは出来ない。だからあなたの口で果てさせてくれないだろうか?」
ネイトは徐にベッドへ腰かけると、そっと私を見上げた。
渇望するようなその瞳に、私は彼から目を反らせなくなる。
すると彼は静かに服を脱いでいくと、大きくなった竿を取り出した。
「姫……私を慰めてくれ……」
懇願するような彼の言葉に、私は小さく顔を歪めると、そっと彼の前にしゃがみ込んだ。
壁などに施された装飾は豪華だが……シャンデリアなどはなく、棚や、机、置物……そういった家具も見当たらない。
薄暗く、ただっぴろい空間にポツンと存在する階段と王座、何とも言えない気味悪さを演出していた。
そんな事を考えていると、突然に蝋燭の炎が消えた。
「えっ!?」
思わず声を上げ、大きく飛び跳ねると、私は自分のローブに脚を絡ませ倒れ込んだ。
いたたたた……。
ネイトは慌てた様子で私に手を差し出す中、私は恥ずかしさに項垂れていると、一斉に部屋の明かりが一気に灯った。
先ほどの蝋燭とは違い、魔法で照らされたような眩しい光。
私はそっと顔を上げると、先ほどまで誰もいなかったはずの豪華な椅子の上には、美しい女性の姿があった。
燃えるような赤い髪をアップにまとめ、目は切れ長で琥珀色の瞳が輝いている。
体のラインが出るマーメイドドレスを着こなす姿は女性の私が見ても、ドキドキしてしまう。
私はぽうっと女性に見惚れる中、彼女は妖麗な笑みを浮かべながら、そっと唇を動かした。
「おやおや、本当に黒髪で黒い瞳の少女が現れるとはねぇ……それに聖獣ネイトまでご一緒とはたまげたわ~」
女性は美しい所作で、流れるように階段を下りると、そっとネイトの傍へ佇んだ。
ネイトは嫌そうに顔を歪めると、冷たい眼差しを女性へ向けている。
「ネイトォ~ようやく私に抱かれに来てくれたのかい……?うん……何よあなた《想いの実》を失っているじゃないか……」
美しい女性は興ざめしたような様子を見せると、私へ顔を向け、美しい琥珀色の瞳を細めた。
「ほう……この小娘に贈ったのかい。あんたの胸の中に、ネイトの想いが見えるねぇ~」
女性は座り込んでいた私へ徐に手を差し出す中、私はその手を取らず、慌てて立ち上がる。
勢いよく顔を上げ、綺麗すぎる女性に緊張しながらも、私はしっかりと目をあわせた。
「あの……突然のご訪問、申し訳ございません。失礼を承知でお伺いしたいことがございまして……ここに金髪でターコイスの瞳をした女性が訪れたと思うのですが……」
「ふふっ、あぁ来たよ~」
「その女性がどこにいるのかを、ご存知ありませんか?……後……その女性は、この屋敷へ何をしにきたのでしょうか?」
私は勢いそのままに彼女へ問いかけると、女性は妖麗な笑みを浮かべながら、そっと私の前に手を広げて見せる。
「ふ~ん、ただでは教えてあげないわ~。私はね、聖獣の精液が欲しいの。でももう彼はあなたの物になってしまっているわ。だから情報と交換で、彼の精液をちょうだい」
精液……?
精液ってまさかあれの事……。
いやいや、この人何を言っているの!!
「はぁ!?そんなものあげれるはずないでしょう!」
私は顔を真っ赤にそう叫ぶ中、彼女はつまらなそうな表情を浮かべると、私に背を向けた。
「なら何も教えてあげないわ~。さっさとおうちに帰りなさい~」
「待って!!……他の物じゃダメなのかしら」
「他の物……?そうねぇ……ならネイトが欲しいわぁ~その《想いの実》をあなたの体から取り出してもいいかしら?」
「っっ!!!彼は物じゃないわ!!!」
女性は肩を揺らして大きく笑うと、軽く手を振った。
「今度来るときは、ネイトの精液を持ってきてね」
そう楽しそうに話すと、私たちの周りが光に包まれる。
魔力の流れを感じ戸惑う中、気がつけば……私は自分の部屋へ戻ってきていた。
どっ、どうして……ここに!?
移転魔法のような感じはしなったわ……、あの魔法は一体……?
突然の事に混乱する中、ふと先ほどの女性の言葉が蘇ると、怒りがふつふつと沸き起こる。
それよりも……精液ってあの女……何を言っているのよ……!!
こんな条件受け入れられるはずがないわ……。
彼女のなまめかしい笑みが頭を掠めると、私の頬に熱が集まっていく。
私は自分を落ち着かせるように大きく息を吐きだし顔を上げると、ネイトは私の前に静かに佇んでいた。
「姫……あなたが望むのであれば、私の精液を捧げる」
「ちょっ、何を言っているのよ!ダメよ!」
「私は姫が好きだ。姫に抱かれる事はむしろ嬉しい。私の精液が必要なら使ってくれ」
彼は望むようにそっと私の頬へ手を添えると、優しい笑みを浮かべる。
「ダメ!!私にはまだ思い続けている人がいるの……そんな気持ちであなたを抱くことなんて出来ないわ!」
私は真剣な瞳で彼を見上げると、彼は静かに首を横に振った。
「それでも構わない。むしろこの国では普通の事。女性は何人も夫持つから、何もおかしいことはない……姫は私の事が嫌いか……?」
「嫌いじゃない……だけどそういった……その……愛とかそういう気持ちじゃないわ」
「嫌いじゃないのなら大丈夫。私を知って、好きになってくれればいい」
徐に顔を近づけてくる彼の姿に、私は思わず顔を背けた。
「ダメッ!!あの女性がどんな情報を持っているかもわからないし……もうあきらめるわ」
そう言葉をこぼすと、ネイトは悲しそうな表情を浮かべる。
そんな彼の姿に胸が痛む中、ネイトはそっと口を開いた。
「彼女はきっとあなたに必要な情報持っている。彼女はこの国に何百年と住む魔女だから……。魔女は人間と違って嘘をつくことはない。姫が何を望んでいるのかはわからない……でもきっと彼女は姫の役に立つと思う。私が自分で用意できればいいのだが……私はあなたに《想いの実》を贈ってしまったから、一人で果てることは出来ない。だからあなたの口で果てさせてくれないだろうか?」
ネイトは徐にベッドへ腰かけると、そっと私を見上げた。
渇望するようなその瞳に、私は彼から目を反らせなくなる。
すると彼は静かに服を脱いでいくと、大きくなった竿を取り出した。
「姫……私を慰めてくれ……」
懇願するような彼の言葉に、私は小さく顔を歪めると、そっと彼の前にしゃがみ込んだ。
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