[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

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第二章

※閑話;彼女と過ごす日々4(ネイト視点)

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あの日、やっと私の元へ黒蝶が飛んできた。
私はすぐに彼女の元へ向かうと、そこで彼女の願いを聞き驚愕した。
まさか迷宮の屋敷に行きたいと……言われるとは思ってもいなかった……。

迷宮の屋敷は、文字通り迷宮の中にある。
人間ではたどり着くことが、出来ない場所。
エヴァンのような魔導士ならもしかしたら可能かもしれない……だが辿り着くことは非常に困難だろう。
そんなところに彼女は行きたいと望む……。
私はあの森に住んでいるからな……連れて行けないことはないが……実を言うと、私はあそこに住む魔女の間には苦い記憶あった。

あれは……数十年前、私がまだ聖獣になりたての頃だった。
聖獣となった私は群れから外れ、初めてこの地へやってきた時の事だ。
海に囲まれたこの島は、魔法が溢れ、緑豊かだった。
すぐにこの場所に定住することに決めると、私は森の中へ足をのばした。
人間は聖獣の間でもあまり好ましく思われてはいない。
だが人間の繁殖能力は強く……どこに行けども人間はいる……。
だから私はなるべく、人間の住処から離れた場所に住処を探していた。

そうして私は人里から離れ、険しい山道を登り切った先に、エメラルドに輝く大きな湖を見つけた。
その傍には自然に出来たのだろう鍾乳洞を見つけると、私はすぐに気に入り、住処作り始めた。

そんな時……あの魔女に出会った。
この地に私よりも先に住んでいた魔女。
彼女はこの森のすぐ近くにある、深い深い森の中に暮らしていた。
初めて見る魔女に私は戸惑う中、魔女は優しい笑みを浮かべながら私に近づいてきた。
魔女は勝手の分からない私に親切にこの森の事や、国の事、人間の事について詳しく教えてくれた。
確かあの時魔女は……新しい仲間を大切にしたいと言っていたが……あの頃の私は、素直にその言葉を信じてしまった。

魔女は本当に物知りで、もうここに100年以上居ついていると聞いた。
不思議な雰囲気を漂わせる彼女に最初は警戒していたが、親切な彼女の姿に、私は徐々に警戒心を解いていった。

そんなある日、魔女が私を住処に案内したいと話してきた。
私は怪しむことなく魔女についていくと、移転魔法を防ぐ魔力で出来た膜を潜り抜け、魔女の住処へと向かった。
辿り着いた先には、大きな洋館があり……私は慎重に周りへ魔力を張り巡らせてみると、誰の気配も感じられなった。

そうして私は魔女に続くように屋敷へ入ると、中は美しい花が咲き乱れていた。
その幻想的な光景に見惚れる中、魔女は妖麗な笑みを浮かべ私へと振り向く。
その瞬間……体から力が抜けると、私は蹲るようにその場に倒れ込んだ。
次第に体の自由が利かなくなり、息が荒くなっていくと、何が起こったのかわからぬまま、私は意識を手放した。

次に目覚めたときには、私は人型の姿になっていた。
徐に体を起こそうとすると、視界が歪み、私はすぐにベッドの上へ横たわる。
くそっ……、何かの毒か……魔力は感じなかった。
なら思い当たるのは、あのエントランス一面に咲いていた花……。
きっとあの見渡す限りの花には、何か体の自由を奪う毒素が出ていたのだろう……。
油断していたとはいえ……私は一人頭を抱えていると、目の前に魔女の姿が現れる。

「ふふっ、やっぱり青二才を捕まえるのは楽ねぇ~」

魔女の声が耳に届く、私は必死に顔を上げた。

「ダメダメ、動かないで~。私はあなたの精液が欲しいのよねぇ~。でも聖獣ってとっても警戒心が高いでしょ~だからなかなか得る機会がなくて。そんなところにあなたが現れたのよ。あぁこれは神様が私にくれた贈り物よねぇ~」

甲高い声にズキズキと頭痛がする中、私は必死に足掻こうと身をよじらせるが……薬が効いている為か、全く体を動かすことが出来ない。
そんな私の様子に、魔女は優しく私の服を一枚一枚はいでいくと、露わになった私の肌に細い手をそわせていく。
ゾワゾワとする感覚に思わず顔を顰める中、魔女は妖艶な笑みを浮かべた。

「あぁんっ、そんな顔しないでぇ~すぐに気持ちよくなるわ~」

彼女は俺の股間へ手を伸ばしていくと、竿を強く掴んだ。
気持ち悪さに吐き気がする中、私の体はなぜかビクビクと反応を見せる。
自分の意志とは異なる反応を見せる体に戸惑う中、彼女の濡れた指先が私の竿を撫でていった。

「やめろ……っっ……うぅ……はぁ……」

「ふふっ、こんなに硬くしておいて、何を言っているのかしら」

魔女は舌を舐めずりながら、徐に私の股間へ顔を近づけた瞬間、扉が勢いよく開いた。

魔女はその音にすぐに反応すると、扉の方へ鋭い視線を向ける。
私も視線を向けようと首を動かそうとするが……体の自由が効かない。
魔女は私をそのままにベッドから体を離すと、彼女の姿は私の前から消えていった。

自分の馬鹿さ加減に拳を強く握りしめる中、私は毒が回っていない耳を研ぎ澄まし、必死に聞き耳を立てる。

「やめなさい。……解放……あげて。それよりも………………ここ……………よ」

「はぁっ!?……何を言っているの?……私の邪魔……には…………出来て……ね」

女……?
魔女の声に交じり、女の声の声が耳に届く。
しかし……話し声はところどころ聞き取れるが……何の話をしているのかはわからない。
私は動くこともできず、もどかしい気持ちのまま……只々ベッドで横たわっている事しか出来なかった。

暫くすると、二人の話し声が聞こえなくなった。
すると魔女は私のベッド脇へ現れたかと思うと、魔女は名残惜しそうな表情を浮かべながら、私に手を翳した。
魔女の手に魔力が詰まり、次第に景色が霞んでくると……ようやく私は移転呪文を掛けられていると、気が付いた。
どこへ連れて行かれるのか恐怖に駆られる中、必死に抵抗しようとするが……私の体は徐々にどこかへ引き寄せられていく。
そのまま意識が遠のいていくと、私の姿は獣に戻るのを感じた。
そうして次に目覚めたときには、私は獣姿で森の中に倒れていたんだ。

あの時現れた女は誰だったのか……それは今でもわからない。
只私はあの時、顔も名も知らぬ女に救われたことは間違いない。
あれから私は魔女に一度も会っていなかった。
私の住処に魔女が侵入しないように魔法を張り、二度と顔を見たくないと思っていたが……。

そんな過去を思い出す中、ふと顔を上げると、行きたくないのなら大丈夫だ、と必死に弁解する彼女の姿が映る。
その姿があまりにも可愛く、愛おしく感じると、胸の奥が温かくなってくる。
私は大きく息を吸い、彼女へ視線を合わせると、愛らしい彼女の姿を見つめていた。

……もうあの頃の私はではない。
あの頃は正直、魔法の力も未熟だったが……今は違う。
きっともう、私が魔女に囚われることもないだろう。

あたふたとする彼女の様子は可愛く、私は彼女の希望に応えてあげたいと強く願うと、二度と訪れる事のなかった迷宮の屋敷へと連れて行くことを決意した。
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