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第二章
夜会:後編2
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アーサーに続き、ネイトやレックス、ブレイクも私の傍へやって来ると、女性の鋭い視線がグサグサと突き刺さる。
針のむしろ状態になる中、彼らは注目されている事に気が付いていないのか、素知らぬ様子だ。
いたたまれない気持ちに、次第に私の頬が強張っていった。
ちょっと、ちょっと……目立ちすぎだわ……。
どうやってこの場から逃げ出そうかと考える中、突然に男爵の女が現れると、私とブレイクの間へ入り込み、艶めかしくブレイクの腕にまとわりついた。
「ブレイク様~そんなおばさんと一緒に居ないで、私とおしゃべりしませんかぁ~?」
媚びるように上目遣いで視線を向けると、ブレイクはニッコリと笑みを浮かべ、女性を丁寧に腕から外していく。
「申し訳ございません、僕は彼女とお話がしたいので、邪魔しないで頂けませんか?」
ブレイクがそう冷たく言い放つと、男爵の女はキッと私を睨みつけた。
「何よ!!こんなまだ結婚すらしていない、行き遅れの女なんてどこがいいのよ!!」
男爵は手を伸ばすと、私の体を強く突き飛ばす。
突然の事にバランスを崩しゆっくりと後ろへ体が傾いていくと、レックスが私の体を包み込んだ。
「大丈夫か?」
レックスの胸の中にスッポリと体がおさまるや否や、ブレイクはスッと笑みを消し、冷たい眼差しを浮かべていた。
彼の周りから冷気が漂い始めると、男爵の女の腕を掴み、どこかへ連れ去っていく。
その後ろ姿に小さく身震いしながら眺めていると、頭上から声が響いた。
「あれはブレイクにまかせとけ。それよりも怪我はないか?足をひねったりしていないか?」
レックスは私の前にしゃがみ込むと、徐に足首へ手を伸ばす。
ハイヒールを脱がせ、彼の冷たい指先が足に触れると、私の体は小さく跳ねた。
そんな私の様子にレックスはニヤリと口角を上げると、指先をゆっくりと足趾の間を撫でていく。
くすぐったいような感覚に思わず身をよじらせるが……私の足首は彼の手にしっかりと捕らえられていた。
「だっ、大丈夫だから……っっ」
私は絞り出す様に声を出すと、レックスの力が緩む。
その隙に慌てて足を引き抜き、ハイヒールを履くと、キッと強く彼を睨みつける。
そんな私の様子に彼は肩を揺らせて笑うと、ごめんごめんと笑みを浮かべ立ち上がった。
「もうっ、こんなところで何するのよ!」
「悪い悪い、あんたがあまりに可愛い反応を見せるからついな」
レックスと言い合う中、ふとネイトの姿が視界に映る。
ネイトは素早く私とレックスの間に入ると、威嚇するようにレックスを睨みつけた。
二人の間に険悪なムードが漂う中、ネイトは守るように強く私を抱きしめる。
ふと彼の真っ白なサラサラの髪が肌に触れると、くすぐったさに身をよじらせた。
「姫を虐めるな……」
「俺は虐めてないだろう。それよりもネイト殿は、こんな人込みにいて大丈夫なのか?」
「姫の為ならこのぐらい平気だ……」
ネイトの弱弱しい声に、私は慌てて体を離すと紅の瞳を見つめた。
人込みによってしまったのか……ネイトの顔色が悪い。
「無理することないわ。人がすいている方へ行きましょう。ごめんなさい……気が付かなくて」
私はネイトの手をしっかりと握りしめると、人込み掻き分け壁際へと移動していく。
ようやく人込みの中から抜け出すと、ふとセーフィロが一人でテラスに向かう姿が目に入った。
……話しかけるには今しかないわね。
「ごめんなさい、ちょっと話をしたい方がいるの。行ってくるわ」
私はネイトとレックスを壁際へ残したまま、彼を追うように急ぎ足で会場を歩いて行った。
彼が出て行った扉を潜り、会場からテラスへ出ると、夜風の冷たさが肌に刺さる。
薄暗いテラスをキョロキョロと見渡していると、庭園に向かう彼の姿が見えた。
そのまま彼を追うように庭園を抜けると、手入れされた美しい花が咲き乱れる広場が現れる。
あれ……どこへ行ったのかしら……?
慎重に辺りを見渡しながら彼の姿を探していると……突然後ろから抱きすくめられた。
私は慌てて振り返ると、そこにはアメジストの瞳が映る。
「ふふっ、僕を追いかけて、こんなところまで来るなんて……やっぱり誘ってるんでしょう?」
「違います!!!」
私は慌てて腕の中から逃げ出すと、彼は肩を揺らして笑っていた。
そんな彼の様子に苛立つ中、私は真っすぐに彼に視線を向けると、澄んだアメジストの瞳をじっと見つめる。
ニコニコとする彼にグット体を寄せると、彼の腕を捕えた。
「お聞きたいことがあります。あなたは……ターキィーミの友人ですよね?」
その言葉に彼はにスッと目を細めると、顔から笑みが消え、冷たい視線が私を射抜く。
「どうしてそう思うの?」
「それは……言えません。でももし彼を知っているのなら教えて欲しいことがあります。あの日……彼が使った魔法の事を……」
私の言葉にセーフィロは怒りを込めた瞳を浮かべると、私へと顔を近づいてくる。
底光りするような彼の瞳に恐怖を感じると、私は言葉を飲み込んだ。
この反応……やっぱり魔法の事も知っているのね……。
彼の威圧感に体が震え始める中、重々しく唇をゆっくりと持ち上げた瞬間……大きな彼の手が私の口を塞いだ。
そのまま彼は私を強く抱きよせ包み込むと、首筋へ顔を埋めた。
「ここではダメだ。夜会が終わったら……私へ蝶を飛ばせ。君の部屋でゆっくり話そう」
彼の言葉に私は深く頷くと、抱きしめる腕の力が緩んだ。
セーフィロは突き放す様に私から体を離すと、背を向け……一度も振り向くことなく、庭園の中へ消えて行った。
針のむしろ状態になる中、彼らは注目されている事に気が付いていないのか、素知らぬ様子だ。
いたたまれない気持ちに、次第に私の頬が強張っていった。
ちょっと、ちょっと……目立ちすぎだわ……。
どうやってこの場から逃げ出そうかと考える中、突然に男爵の女が現れると、私とブレイクの間へ入り込み、艶めかしくブレイクの腕にまとわりついた。
「ブレイク様~そんなおばさんと一緒に居ないで、私とおしゃべりしませんかぁ~?」
媚びるように上目遣いで視線を向けると、ブレイクはニッコリと笑みを浮かべ、女性を丁寧に腕から外していく。
「申し訳ございません、僕は彼女とお話がしたいので、邪魔しないで頂けませんか?」
ブレイクがそう冷たく言い放つと、男爵の女はキッと私を睨みつけた。
「何よ!!こんなまだ結婚すらしていない、行き遅れの女なんてどこがいいのよ!!」
男爵は手を伸ばすと、私の体を強く突き飛ばす。
突然の事にバランスを崩しゆっくりと後ろへ体が傾いていくと、レックスが私の体を包み込んだ。
「大丈夫か?」
レックスの胸の中にスッポリと体がおさまるや否や、ブレイクはスッと笑みを消し、冷たい眼差しを浮かべていた。
彼の周りから冷気が漂い始めると、男爵の女の腕を掴み、どこかへ連れ去っていく。
その後ろ姿に小さく身震いしながら眺めていると、頭上から声が響いた。
「あれはブレイクにまかせとけ。それよりも怪我はないか?足をひねったりしていないか?」
レックスは私の前にしゃがみ込むと、徐に足首へ手を伸ばす。
ハイヒールを脱がせ、彼の冷たい指先が足に触れると、私の体は小さく跳ねた。
そんな私の様子にレックスはニヤリと口角を上げると、指先をゆっくりと足趾の間を撫でていく。
くすぐったいような感覚に思わず身をよじらせるが……私の足首は彼の手にしっかりと捕らえられていた。
「だっ、大丈夫だから……っっ」
私は絞り出す様に声を出すと、レックスの力が緩む。
その隙に慌てて足を引き抜き、ハイヒールを履くと、キッと強く彼を睨みつける。
そんな私の様子に彼は肩を揺らせて笑うと、ごめんごめんと笑みを浮かべ立ち上がった。
「もうっ、こんなところで何するのよ!」
「悪い悪い、あんたがあまりに可愛い反応を見せるからついな」
レックスと言い合う中、ふとネイトの姿が視界に映る。
ネイトは素早く私とレックスの間に入ると、威嚇するようにレックスを睨みつけた。
二人の間に険悪なムードが漂う中、ネイトは守るように強く私を抱きしめる。
ふと彼の真っ白なサラサラの髪が肌に触れると、くすぐったさに身をよじらせた。
「姫を虐めるな……」
「俺は虐めてないだろう。それよりもネイト殿は、こんな人込みにいて大丈夫なのか?」
「姫の為ならこのぐらい平気だ……」
ネイトの弱弱しい声に、私は慌てて体を離すと紅の瞳を見つめた。
人込みによってしまったのか……ネイトの顔色が悪い。
「無理することないわ。人がすいている方へ行きましょう。ごめんなさい……気が付かなくて」
私はネイトの手をしっかりと握りしめると、人込み掻き分け壁際へと移動していく。
ようやく人込みの中から抜け出すと、ふとセーフィロが一人でテラスに向かう姿が目に入った。
……話しかけるには今しかないわね。
「ごめんなさい、ちょっと話をしたい方がいるの。行ってくるわ」
私はネイトとレックスを壁際へ残したまま、彼を追うように急ぎ足で会場を歩いて行った。
彼が出て行った扉を潜り、会場からテラスへ出ると、夜風の冷たさが肌に刺さる。
薄暗いテラスをキョロキョロと見渡していると、庭園に向かう彼の姿が見えた。
そのまま彼を追うように庭園を抜けると、手入れされた美しい花が咲き乱れる広場が現れる。
あれ……どこへ行ったのかしら……?
慎重に辺りを見渡しながら彼の姿を探していると……突然後ろから抱きすくめられた。
私は慌てて振り返ると、そこにはアメジストの瞳が映る。
「ふふっ、僕を追いかけて、こんなところまで来るなんて……やっぱり誘ってるんでしょう?」
「違います!!!」
私は慌てて腕の中から逃げ出すと、彼は肩を揺らして笑っていた。
そんな彼の様子に苛立つ中、私は真っすぐに彼に視線を向けると、澄んだアメジストの瞳をじっと見つめる。
ニコニコとする彼にグット体を寄せると、彼の腕を捕えた。
「お聞きたいことがあります。あなたは……ターキィーミの友人ですよね?」
その言葉に彼はにスッと目を細めると、顔から笑みが消え、冷たい視線が私を射抜く。
「どうしてそう思うの?」
「それは……言えません。でももし彼を知っているのなら教えて欲しいことがあります。あの日……彼が使った魔法の事を……」
私の言葉にセーフィロは怒りを込めた瞳を浮かべると、私へと顔を近づいてくる。
底光りするような彼の瞳に恐怖を感じると、私は言葉を飲み込んだ。
この反応……やっぱり魔法の事も知っているのね……。
彼の威圧感に体が震え始める中、重々しく唇をゆっくりと持ち上げた瞬間……大きな彼の手が私の口を塞いだ。
そのまま彼は私を強く抱きよせ包み込むと、首筋へ顔を埋めた。
「ここではダメだ。夜会が終わったら……私へ蝶を飛ばせ。君の部屋でゆっくり話そう」
彼の言葉に私は深く頷くと、抱きしめる腕の力が緩んだ。
セーフィロは突き放す様に私から体を離すと、背を向け……一度も振り向くことなく、庭園の中へ消えて行った。
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