偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第四章未来への扉

17.洗い場でぼやき

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湯気が立ち込める中、大量の皿がどんどん追加される。
洗っても、洗っても終わりがなく、永遠の続くと言われているような気がして気が滅入る。


「ちょっと、誰だい?この皿を洗ったのは!」

「新入りです!」


「またアンタかい」


ここは、王宮内の厨房を取り仕切っているお局は私を見てはため息をつく。
太っていて醜いから私に嫉妬心をぶつけ嫌がらせをしたいのは解るけど、これ見よがしな苛めをされている私はなんて可哀そうなのかしら。


「皿を満足に洗うことができないのかい?」

「私はこんな貧乏人と違うわ」

「まだ伯爵夫人気取りかい?アンタは元は平民に近い身分と聞いていたんだけどね?男を誘惑することはできても真面な主婦業もできないとはね?」

「なっ!」


なんて屈辱的なのかしら!
私の父は成り上がりの男爵で、元は平民だけど。

こんな事を言われるなんて。


「下級貴族は貴族のお邸で行儀見習いをするのが普通だけど、真面な教育を受けていないアンタは他所の邸で働いたこともないのかい?こりゃ、他の貴族の邸で働かさなくて正解だね」

「ええ、こんな使えないおばさんを雇ってくれる店もないわ。酒場じゃ即解雇だし」


この私をおばさんですって!


「私は…」

「ほら、やり直しだ!」

「きゃあ!」

洗い場に突き飛ばされた私はお皿と一緒に泡だらけになる。


「仕事はまだまだあるんだ。サボるなら食事は抜きだよ」

「いんじゃないかい?さっきの出された食事をまずいとか言って捨ててたんだし?」

「何だって!食べ物を粗末にするなんてどんな躾をされてんだい!アンタは夕食も抜きだよ…また捨てられたら困るからね!」



労働を強要するだけでなく食事まで出さないなんてなんて酷いのかしら。
夫も私を助けに来ないなんて。


どうしてなの?

何故こんなことになったのかしら。


「まったく本当に迷惑な話だよ…辺境地にでもぶち込めばいいものを」

「こんな泥棒猫をここに置いておくなんて、陛下も王妃様も優しすぎるわね…私だったら情けなんてかけないわ」

「ああ、いくら何でも我が国が、死刑を禁じていると言ってもね」


何が情けよ。
こんな惨めな思いをさせられて慈悲でも何でもないわ!


私は…


「ほら、早く手を動かしな!」

「仕事は山ほどあるんだよ。遊んでいる暇はないよ」


そう言いながら私の前には大量の皿が置かれる。


「ちょっと着替えは…」

「そんなもん乾くだろうよ?仕事もしないで何言ってんだ!こっちは汗だくで皿を洗ってんだよ」


「さぁ、さっきの皿をもう一度綺麗に洗うんだよ!」

逃げることもままならず私は皿洗いをするしかなかった。


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