偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第四章未来への扉

37.恐妻の説教

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一夜にしてすべての問題が解決したが、その後の始末は大変な物だった。

言うまでもなく、貴族派の馬鹿がここまで調子に乗っていたのは父にも原因がある。


「本当に、このような真似が二度と起きてはなりません」

「ええ、本当に困りましたわねねぇ?貴方」


現在、父は二人の妻に説教を受け、正座をさせられている始末。
我が父ながら哀れにも思うが、今までのツケが回って来たと思えば弁護できない。


それ以前に、この世にそんな命知らずがいるはずもない。


「ジュリアス、下手な弁護は不要です」

「そうですわ。ジュリアス様…愚王を反面教師になさいませ」

「お前達ぃぃ!!」

哀れだな、父上。
どんな優秀な王であっても、貴族派を抑え込むのは至難の業だ。

なんせ、身内にも敵がいる状態で上手くやりこむには完璧な王より欠点があった方が奴らも失歩が出しやすい。

政治に関しては色々欠点だらけであるが、王としてはそれほど悪くない父の妻が恐ろしい程優秀だったのが幸いだったが、尻に敷かれた状態になっている。

まぁ、オルレア公爵も正妃と側妃が同盟を結んでいた事も。
二人が後に貴族派を粛正する計画をしていた事も知らず、二人は仲が悪いと思い込んでいたのが運の尽きだろうが。


「男というのはどうしてこうも馬鹿なのかしら?」

「本当に、クーデターなんて起こせば国が荒れて、他国から攻められるというのに」


女の立場よりも、為政者の立場を取っている二人は国の存続を一番に考えていた。
通常ならば王の寵愛を受け、贅沢する事を望むのだが。


「やはり今後は新たな改革が必要なのではなくて?」

「ええ、世を動かすのが男だから乱れるのです。これからは女の時代にすべきですわ」

「女が世を動かす時代にすべきでしょうね」

ああ、最悪な未来が見える。
今までは、公の場ではそこまで前に出なかったが、プライベートではかああ天下だったのでなんとかなったのだが。


まぁ、これも仕方ないな。
貴族派の粛清は二人が責任を持って行うだろう。

残党も平民となり、日陰で暮らさなくてはならないだろうが。



「ジュリアス様」

「サマンサ嬢」

部屋を出た俺は疲れた表情で自分の部屋に戻ろうとしたら、彼女も一仕事を終えたのか、挨拶に来ていた。


「お疲れ様です」

「ああ、君もな」

オルレア公爵を拘束するのに、一役買ってくれたサマンサ嬢には感謝してもしたりない。
あの場で、私の部下が行ったとしても、ここまで確実に仕留めるのは不可能だったのだからな。


「私は王族としてすべきことをいたしました」

「ああ、君は昔からそうだったな」

ジルベルトの婚約者候補に選ばれてからもずっと味方になってくれた。
身分、血筋、性格共に、彼女ほど王太子妃に相応しい者はいないと思っていた。


「君は、本当にいいのか」

「殿下…」

「君はジルベルトの事を思っていたはずだ。今はどうであれ…あんなに頑張っていたじゃないか」

激しい恋慕の情でないにしろ、幼少期から後ろ盾になっていた。
愛情を抱いていないはずはない。


だからこそ、私は胸が痛んだ。


気高くも優しい彼女には幸せになって欲しかった。



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