婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

文字の大きさ
14 / 115
第一章

13脅迫

しおりを挟む



「申し訳ありません!」


蛇に睨まれた蛙状態のキャスティ商会の会長。


キール・キャスティはウルリーケに呼ばれていた。


「まぁまぁ、そんなに頑なならないでくださいな」

「そうですわ。貴方の商会の方が私の娘の元婚約者を寝取ったぐらいで怒ったり増しませんわ」

「ええ、キャスティ商会は信頼していましたが…致し方ありませんわ」


口では責めてないと言いながらも目は全く笑っていないし、遠回しに責めている。


(殺される!)


キールは一番怒らせてはいけない人物に覚悟を決めた。
宰相の妻であり、社交界に影響力が強いウルリーケに、女性でありながらも王宮で秘書として優秀なアリエル。


この二人にかかれば、商会一潰すなんて簡単な事だった。



「なんとお詫びをしたら良いか…どうか私の首だけで!使用人や従業員達には!」

キールは罪のない使用人や会員達だけは守りたかった。
訴えられたとしても抵抗する気もなく、慰謝料も払うつもりでいたのだが。


「私は貴方を訴える気はありませんわ」

「ええ、少しお願いを聞いてくださればね?」


二人の笑みは悪魔のように恐ろしかった。


「貴方は聡明な方です。私達に協力してくだされば全て水に流しますわ」

「男女の関係ですもの。雇い主でしかない貴方に責任を取ってもらうなんておかしいでしょう?ですから少しだけ協力をお願いしたいんです」

「それは…私にできる事なら」


キールに断る選択はない。
許されるならどんな事もするつもりでいたのだから。



「貴方の商会の顧問弁護士に今回の事を訴えるとオイシス家に伝えてください」

「え?」

「正直、私はランドルフよりも彼女に対して怒りを覚えています」


愛に目覚めたというランドルフに憤りを感じたが、ウェディングアドバイザーでありながら新婦となるカナリアを侮辱して、何もかも奪う神経が許せない。


「エミリー・エスタークの事は既に調べています。彼女は既に一線を越えて何度も密会をして。挙句の果てに新居に寝泊まりしている事が解りました」

「なんですって」

「しかも、カナリアの為に用意した洋服も勝手に着ているそうですわ」


(なんて事を!)


キールはエミリーがそこまで愚かな事をしている事を知らなかった。



「カナリアは貴方も被害者だと言ってましたの」

「そんな!」


キールはカナリアに慰謝料を支払うつもりでいたのだ。


「協力してくだされば、私の力で貴方は被害者として処理いたします」

「ウルリーケ様!」


キールは感動して涙を流した。
本来ならば商会を潰されても当然だというのに慈悲をかけられたキールは協力を惜しまないことを約束したのだった。



しおりを挟む
感想 136

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。 そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。 第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。 周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。

〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。

藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。 バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。 五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。 バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。 だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 感想の返信が出来ず、申し訳ありません。

二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん
恋愛
 傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。  二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。  アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。    アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。  何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。  全二十八話。  十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。

百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」 妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。 でも、父はそれでいいと思っていた。 母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。 同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。 この日までは。 「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」 婚約者ジェフリーに棄てられた。 父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。 「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」 「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」 「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」 2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。 王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。 「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」 運命の恋だった。 ================================= (他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)

処理中です...