婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

文字の大きさ
15 / 115
第一章

14噂の恐ろしさ

しおりを挟む





それから一週間後。
社交界で噂が流れる事となった。


仕事が生き甲斐だったカナリア・ウィスターは女官の仕事を辞職し、国を出ることになった。


婚約破棄を突きつけられ、王宮も追われる形となろすべてを奪われ悲しみに暮れるも女官として最後の仕事と、社交界を騒がせてしまった始末をつけたとか。


元婚約者には一方的な婚約破棄をされ、花嫁道具も全て追剥のように奪われたと。
婚約者も、仕事も奪われたカナリアに対して同情する者が多い中。


一部ではこんな噂が流れた。



「お気の毒だな。カナリア嬢」

「ああ、追剥のような真似をされて」

「ランドルフもいくら劣等感を抱いていても、あまりにも惨いな」



以前からランドルフとカナリアの仲をお世辞にも良いとは思えなかったが、表立って声に出す者は少なかった。

だが、今回のやりようでランドルフはカナリアの優秀ぶりに劣等感を抱き、逆恨みにこのような惨い仕打ちをしたのではないかと噂が流れた。


「まぁ、カナリア嬢は最年少で女官となり、王太子殿下からも信頼されていたからな」

「外で女遊びをしても。結婚式前にないだろ」

「狙ったんじゃないか?気真面目な婚約者に一発かましてやろうと思ったんだろうよ」


「まぁ、カナリア嬢は望まない婚約だった話だしな」


前オイシス男爵とアンデスは友人関係にあった事から婚約を望まれたのは有名な話だった。
社交界では亡き友人の願いを叶えるべく婚約したと噂をされていたのだが。


「虫も殺さない目をしてながら、アイツもやるな」

「ああ、高位貴族でもここまで酷い事はしないな」


「慰謝料も払わず謝罪もなかったらしいな…俺だったら前婚約者の切るはずの花嫁衣装を恋人なんて無理だけどな」

「それがその花嫁衣装なんだが、恋人に合わせて作ったらしいぜ?」


「うわぁー…カナリア嬢が哀れに思えるな」


噂は酷くなり、カナリアはあくまで婚約者として完璧な振る舞いをしていた。
完璧するがゆえに劣等感に苛まれたランドルフはカナリアに仕返しと言わんばかりに土壇場で婚約破棄を突きつけ社交界からも、王宮からも追放されるように仕組んだという噂は信憑性が高かった。



ランドルフに対する非難は日に日に酷くなり、社交界から冷たい目で見らえるようになった。


これまで懇意にしていた友人は避けるようになり。
キャスティ商会を追い出されたエミリーは父親から縁を切られる事になった。


「二度と顔を見せるな。汚らわしい」

「お父様!」

元より妾の子として邸内に居場所はなかったが、今回の事で立場は更に悪くなったのだった。


しおりを挟む
感想 136

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。 そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。 第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。 周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。

二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん
恋愛
 傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。  二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。  アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。    アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。  何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。  全二十八話。  十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?

榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」 “偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。 地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。 終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。 そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。 けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。 「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」 全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。 すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく―― これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。

あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」 「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」 「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」 「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」  あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。 「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」  うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、 「――俺のことが怖くないのか?」  と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?  よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!

処理中です...