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第二章
15親族
しおりを挟む結婚式は最低な終わり方をした。
友人は途中で帰り、オイシス家の親族は終わるまで苦痛の表情をして食事にも手をつけなかった。
「ライアン、私達は今日限りで君との付き合いを終わらせてくれ」
「もう、耐えられないわ」
「最低よ伯母様」
怒りを露わにしていたのは前オイシス男爵の姉夫婦だった。
「オイシス家に泥を塗り、こんなままごとに参加させられるなんて」
「伯母上!ままごととはどういうことですか」
「言葉の通りよ…ああ、別に理解しなくても良いわ。お前のような頭がおかしくなった男に何を言っても無駄だでしょうね?何が愛よ」
「どうしてこんな風になったんだ…タルボがあの世で泣いているな」
姉夫婦は亡くなった弟を思うと哀れでならない。
元よりタルボが亡くなってから関係は疎遠状態だったが、エスターが間に入っていた事から関係はギリギリの所を保っていた。
「こんなに日にそんな」
「いいえ、今日の結婚式を最後にしようと思っていたのよ」
「エスターを勘当したと聞いた時に決めていた」
ランドルフは絶句した。
この結婚式でが親族との顔わせの最後と思いもしなかった。
「そんなに兄が気に入らなかったの?」
「あげくに自分の尻拭いをさせるだけさせて、追剥のように何もかも奪うなんて…私はお前を当主とは認めない。まぁ、お前には爵位を継承等できないだろうがな」
「は?」
「そんな事も知らないのか」
「もう良いでしょう貴方。こんな馬鹿の為に時間を使うのも惜しいわ。橋の下で死んでも知りませんわ」
「そうだな…好きに生きればよい」
父方の親族は白い眼をしてそのまま去って行く。
対するライアンの親族も同様だった。
同じように罵倒を浴びせ縁を切られてしまった。
だが、これだけでは終わらず。
翌日王都内であるカップルの結婚式の特集がされた雑誌や、新聞記事に二人の屈辱的な写真が載っていた。
「何だこれは!」
「酷い…こんな写真を!」
朝一番で新聞を見たランドルフは激怒した。
新聞社は以前から知り合いであるが、カナリアとの婚約が白紙になって新聞記者の担当は別の人になったが。
こんな酷い記事を書かれるとは夢にも思わなかった。
「今すぐ…」
「無駄よ」
「母上?」
結婚式以来から部屋に引きこもりふさぎ込んでいるライアンが冷たく言い放つ。
「文句を言っても噂を抑え込むなんて不可能よ」
「ですが、これまでならある程度は…」
「解らないの!私達に味方はいないわ。なんの後ろ盾はないわ。今頃世間では笑っているわ!」
「そんな…なんとかならないんですか!」
「だったら自分でなんとかすればいいでしょ!泣いてるだけしかできないの!」
ランドルフの影に隠れてばかりのエミリーに苛立つ。
最初こそは従順で可愛いとさえおもったが、自分で何一つと動こうとしない受け身なエミリーに嫌悪感を抱いたのだった。
「そんな事言われても!」
「何もできないなら口を利かないで!役立たずの癖に!」
対するエミリーも厳し言葉に泣き出し、二人の関係は最悪なものになるのだった。
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