48 / 115
第二章
17育まれる絆
しおりを挟むアレーシャの出産と同時に以前嫌味を言っていた夫人達の娘が出産した子供は体が弱かったり、出産と同時に娘の体が弱った事で離縁を突きつけられた噂を耳にした。
「人を呪わば穴二つね」
「同情する気にはならないな」
散々嫌味を言ってアレーシャを苦しめていた夫人の二人は今度は立場が逆になった。
何でも高位貴族と親族になり隊ばかりに早すぎる結婚、出産を娘に無理強いした所為でこうなった。
娶った貴族側も、妻は他にもいるので寝たきりの妻などっ必要ないと別邸に放り出したとか。
社交界でも笑い者になってしまった。
「娘を自分の見栄の為に使うからこんな目に合うのだわ」
「まさか貴女の言ったとおりになるとは」
「買いかぶり過ぎですわ」
早すぎる出産をするのは命取りでその逆もまたしかりだった。
だが、男側は軽視している。
産む側ではないから他人行儀で、出産した母親側が亡くなっても体が弱かったなどで済ませる事も多かった。
「王宮でも死産した女性、命がけで出産して亡くなられた女性を思う事無く冷たい言葉を言う方も」
「本来出産という命がけの行為を理解できてないのは他人事ではないな」
政治を担う側として女性の出産に関しても改善をしなくてはならないと思いなおす。
「医療の改善を以前から考えていたので、ご協力いただけますか」
「エンディミオン様、私に遠慮なさらないでください。そんなへりくだったお言葉も」
「あ…これは」
エンゼル王国に帰国してからも丁寧な口調であるエンディミオンが気になって注意をする。
「堅苦しいのが嫌いではないのです。ですがあまり気を使われるのも」
「それは…」
「直ぐにとは申しません」
カナリアの言葉に気づく。
特別気を使っていたわけではないが、婚約者としては問題だったと気づく。
「私はどうも理性が先に働くようで」
「私も言葉が過ぎました」
丁寧に言いながらも、少し言葉が厳しかったり偉そうだと散々嫌味を言われた過去を振り返る。
(失敗したわ…)
同じ過ちを犯すなんてと思いながらも。
「言って欲しい」
「え?」
「俺は君の知性に惹かれた。物怖じしない君に…だからそこは遠慮しないで欲しい」
「ありがとうございます」
愛から始まった関係ではないが二人の間には絆が生まれていた。
共に国を、民を守るという覚悟の中手を取り合う二人の関係は良好だった。
55
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?
しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。
そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。
第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。
周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。
〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。
藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。
バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。
五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。
バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。
だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる